編集部スタッフ 編
ケータイ Watchの編集部スタッフが選んだケータイ of the Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2004年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2004」もぜひご覧ください。
【編集部スタッフの選出機種一覧】
俺のケータイ of the Year 2004 ケータイ Watch筆者編はこちら
高機能化にともない、仕方のないことながら携帯電話が分厚くなっていくのはなんとかならないかなと思っておりました。折りたたみ端末は必然的に分厚くなり、また通話の際に端末を開くという手間もあるわけで、そろそろストレート端末にしたいな、と思っていたところ。そこへ登場したのが「talby」です。
「talby」は、「INFOBAR」の成功を踏まえたデザインケータイの第2弾となるわけですが、極薄ボディながらQVGA液晶を搭載し、EZナビウォークにも対応。連続待受時間も250時間と実際に使用しても普通に困らないレベルで、機能的にもあまり不満はないところがポイント。欲を言えば、EZナビウォークを活用する上では電子コンパスが入っていれば最高だったんですが、電子コンパスは基盤の空いたところに突っ込むというわけにはいかないため、この薄いボディに入れるのは難しいそうです。このあたりは今後に期待したいところ。
カメラは有効画素数33万画素のCMOSですが、個人的にはいつもコンパクトタイプのデジタルカメラを持ち歩いているので、カメラはむしろなくてもOK。ただ33万画素のCMOSとしては画質は意外にキレイなので、メモ撮り程度ならこれで十分というユーザーが多いのではないかと思います。
しかし、もちろん決め手は、ともかく薄くてカッコいいデザインであるのは言うまでもございません。外観だけでなく、シンプルメニューが非常に見やすくデザイン的にもすっきりしていてお気に入りです。
ツーカーの「ツーカーS」や「INFOBAR」、「talby」のような製品は、市場が成熟してきたからこそリリースできるものと言えるでしょうが、それにしても、こうした新しいアプローチの製品はリリースする側からすれば冒険なわけで、こうしたチャレンジをしてくれるキャリアやメーカーがいなくては、端末選びも楽しくなくなってしまいます。というわけで、こうしたチャレンジ精神あふれる製品作りでユーザーを楽しませてくれるキャリアやメーカーさんを応援したい気持ちを込めて、今年は「talby」を選びたいと思います。
私が2004年のベストケータイに選んだのは「A5504T」だ。一番の理由はBluetoothによる音声通話機能にある。
自動車の運転が好きな人、あるいは仕事で自動車を運転しなければならない人にとって、2004年11月1日の改正道交法の施行は、他人事では済まされない一大関心事であった。しかし、車に乗る度にケーブルを繋ぐのは、本当に面倒。そこでBluetoothの登場となるわけだ。
世の中には、実際に使ってみないと、その便利さや面白さが理解できないものがたくさんある。おそらくBluetoothによる音声通話なんていうのも、そんな機能の一つだろう。やっぱりワイヤレスはラクチンだし、見た目にもスマート。
国内でも徐々にではあるが、Bluetooth対応の携帯電話が増えてきている。最近の携帯電話は、音楽を聴いたり、録画したテレビ番組を見たり、通話以外にも音を使う機能が多くなってきており、今後もBluetoothに期待するところは大きい。
この端末は、Bluetoothのほかにも、マニュアルをCD-ROM化したり、辞書を収録したminiSDを添付したり、新しいことにいろいろとチャレンジしている。そんなチャレンジ精神に敬意を表し、A5504Tを今年一番のケータイとしたい。
我らがタイガースは今季4位に終わった。連覇の夢は潰え、昨年のように特別バージョンの携帯電話が発売される見込みもなくなった……と失意に沈む私にもたらされた「P900i用カスタムジャケット、プロ野球70周年記念モデル発売」のニュース。
12球団(当時)のロゴマークがあしらわれた素敵すぎるカスタムジャケットには、もちろんタイガースのものも用意されており、カラカラに乾ききった私の心を潤してくれたのだった。こんな幸せな気持ちになれたのは、「P900i」がカスタムジャケットという機能をサポートしていたからだ。昨年の「P505i 阪神タイガース優勝バージョン」は、猛虎ファンのみフィットする端末だったが、「P900i」では、カスタムジャケットのおかげで、どんなユーザーでも自分好みのデザインに変更できるようになった。
着せ替え、という点だけであれば過去にもいくつか発売されてきたが、それらと異なる点としては、画面内もカスタマイズできるようにコンテンツが用意されていたことが大きい。また、本機の設計デザイナーであるパナソニック モバイルコミュニケーションズの谷山 示氏が狙った「ビス留めという行為」がもたらした影響もあるに違いない。
8,500万人もの利用者が存在し、年間では数十機種が発表される携帯電話。しかし1機種あたりに用意されるカラーバリエーションは、多くの場合、3色程度に留まる。いや、それはそれで良いのだが、「もうちょっとだけ、もう少しだけ自分好みにしたい」という欲求は誰もが持ってしまうだろう。そのフラストレーションを見事に解消した「P900i」こそ、今年ナンバーワンの携帯電話にふさわしい。
機能をはぎ取ることでシニア層にアピールした「ツーカーS」。業界内で物議を醸した同端末を推したい。
実は取材先で何度か「ツーカーの液晶がないケータイってどうですか?」と聞かれた。これまでの携帯電話の歴史からすれば、よくもまあ、あそこまで大胆に機能をはぎとったと思う。量販店では、カメラやディスプレイなど一通りの機能がそろった端末が新規1円の場合もあるというのに、機能らしい機能がほとんど存在しないツーカーSに数千円の値が付けられている。ツーカーの端末ラインナップの中では、売れ行きもなかなか好調のようだ。
ところでこの端末、当たり前といえば当たり前だが、機能面で語ることがほとんどない。通常ならば、機能や使いやすさなどを書き連ねたいところだが、この端末の場合は機能がないこと自体がアピールポイントになっている。
「らくらくホン」、「安心だフォン」などでは、工夫を凝らし高齢者でも使いやすいようにと考えられている。こうしたメーカーの姿勢には非常に好感が持てるし、今後も継続して開発を続けて欲しいと思う。しかし、ツーカーSのユーザーは、その想定からもはずれてしまった層ではないか。一般的な端末が使えるのであればそちらを使えばいい。らくらくホンが使えるのであれば、そちらをおすすめする。ひとくちに高齢者と言ってもさまざまだ。ツーカーSは、らくらくホンにも躊躇するユーザーがいたことを証明してみせた。「みんなが持っている」と言っても過言でなくなった携帯電話市場だからこそ、そして街角に公衆電話が見られなくなった今だからこそ、ツーカーSのような端末が生まれたのだ。
持つ者と持たざる者がいるケータイ過渡期に、ニッチなマーケットにターゲットを絞った端末が登場し、消費者がそれに応えた。私自身そのことに気付かされた。なお、今回はツーカーSを推したが、祖父母とともに育った私としては、現状維持ではなく、高齢者にとっての使いやすさの追求を是非とも継続して欲しいと思う。
ケータイのカメラの進化を見せつけるトピックとして話題を呼んだ「光学ズーム」搭載のボーダフォン「V602SH」を今年のベストケータイに選びたい。
メガピクセルカメラ、オートフォーカス対応など、携帯電話のカメラ機能は年々めざましい進化をとげてきた。2004年に入り、2メガピクセルカメラの次はどうなるんだろう? と思い始めた頃、時を同じくして発表されたのがカシオの320万画素カメラを搭載した「A5406CA」と、シャープの光学2倍ズーム対応2メガピクセルカメラを搭載した「V602SH」だ。
標準的なデジタルカメラでも光学4倍ズーム以上の機能を持っている機種が多い中、それまでの携帯電話のカメラには画質の面で劣るデジタルズームしか搭載されていなかった。いつも持ち歩く携帯だからこそ、写真を撮りたいと思うシーンもさまざま。思うように被写体に近寄れない場合に、光学ズームできれいにズームできたら、と思うことも度々経験してきた。「V602SH」が発表されるまでは、携帯電話のカメラに光学ズームの搭載が実現するなんて思ってもいなかったし、それを実現させたシャープの技術には感心させられた。「V602SH」以降、「Vodafone 902SH」以外光学ズームが搭載されていないのは少々残念だが、そのことは光学ズームの搭載が容易ではないことを物語っているのかもしれない。
auに続いてNTTドコモ、ボーダフォンも3Gへ本格的にシフトを始めた今年だったが、来年以降、パケット定額制が普及すれば今よりもっと容量が大きく高画質な画像を、手軽に送信・受信できる環境が整うだろう。そうなったときに、光学ズーム機能を搭載したカメラなどは、今よりもさらに重要性が増すのではないだろうか。
Eメール定額プラン、Compact HTML対応ブラウザの定額サービスと、発売される機種こそ少ないものの、毎年毎年着実に新たなサービスを提供し続けてきたDDIポケットから2004年に発売された端末が「AH-K3001V」だ。
最大の特徴は「パソコン向けサイト」を「定額で閲覧できる」こと。今年は携帯電話の3キャリアとも定額プランを開始し、auからはパソコン向けサイトを閲覧できる端末も登場した。「jigブラウザ」のようなアプリも出てきたが、定額かつカスタマイズすることなく利用できるのは、未だ「AH-K3001V」のみ。すでにパソコンでの定額サービスを提供しているDDIポケットならではのサービスだろう。
私はこの「AH-K3001V」を使って、外出中にWebサイトをよく見るようになった。適度な文字数で改行され、片手で読んでいけるAH-K3001Vでは、文章中心のサイトであればパソコンよりも読みやすい。むしろ最近では、気になったサイトは、パソコンではなく「AH-K3001V」で読むようにすらなった。私にとって「AH-K3001V」は、インターネット上のWebサイトを電子書籍に変えてしまう存在なのだ。
料金プランも魅力の1つ。割引サービスを併用すれば、新規加入のユーザーでも月額4,000円程度から利用できる。基本利用料に加えて、定額プランが「追加料金」になる携帯電話とは大きな価格差だ。“定額”かつ“低額”な料金体系は、ある意味「ダブルテイガク」と呼ぶにふさわしいかもしれない。
もちろん、端末のスペック自体は今時の携帯電話と比べるべくもない。携帯電話を使い慣れている人から見れば、11万画素のカメラは信じられないだろうし、端末の操作感も快適とは言いがたい。しかし、インターネットをいつでも見られるメリットは、その欠点を補うにありあまると、日常から使っている私は感じている。最近ではデザインを重視した携帯電話や、通話に特化したツーカーSなども登場し始めた。機能特化という意味では、AH-K3001Vもまた「パソコン向けサイト閲覧の定額端末」として唯一無二の存在だろう。
2005年は社名も変わり、新たなサービスも続々準備しているDDIポケット。来年は「AH-K3001V」を超える新サービスや端末を期待したい。
2004/12/27
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