ケータイ Watch
バックナンバー
読者が選ぶ ケータイ of the Year 2002 [2002/12/26]

俺のケータイ of the Year 2001 [2001/12/27]

俺のケータイ of the Year 2000 [2000/12/27]

俺のケータイ of the Year 2002

筆 者 編


 ケータイ Watchの筆者が選んだケータイ of the Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2002年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2002」もぜひご覧ください。

【筆者の選出機種一覧】
法林岳之
J-フォン
J-SH52
スタパ齋藤
au
A3014S
広野忠敏
DDIポケット
AH-S101S
ゼロ・ハリ
NTTドコモ
N504iS
白根雅彦
au
A5303H
伊藤大地
au
A3012CA

俺のケータイ of the Year 2002 編集部スタッフ編はこちら


 法林岳之: J-フォン 「J-SH52」

J-SH52

 2002年のケータイ市場と言えば、やはり、カメラ付きケータイが最大のトピックだったと言えるだろう。筆者は「俺のケータイ of the Year」で2000年、2001年と、カメラ付きケータイを選出してきたが、今年は多くのユーザーにカメラ付きケータイが受け入れられ、本当の意味でカメラ付きがケータイの主役になった印象だ。注目端末をピックアップしながら、「俺のケータイ of the Year」を選んでみよう。

 まず、「写メール」でカメラ付きケータイの市場を切り開いてきたJ-フォンでは、やはり、先駆者であるシャープが市場をリードし続けた。2002年2月の「J-SH08」、3月の「J-SH51」、9月の「J-SH09」、10月の「J-SH52」と、合計4機種も投入され、そのいずれもが販売ランキングの上位に常に付けている。しかも10月に発売されたJ-SH52は、いまだに品切れになっている店が多く、機種変更ができないという声も数多く聞かれる。

 これに対し、カメラ付きケータイの「カメラ」の部分で話題を集めたのがau向けに供給されたカシオ製端末「A3012CA」とその後継機「A5302CA」だ。過去にもレビュー記事などで紹介している通り、カシオ製端末のカメラ部分はデジタルカメラブームの火付け役となった名機「QV-10」のスタッフが開発しており、QV-10で得られたノウハウが随所に活かされている。特に、2002年4月から販売が開始されたA3012CAは、同時期にauがCDMA2000 1xのサービスを開始したこともあり、CDMA2000 1x普及の牽引役と言えるほど、高いシェアを獲得した。ちなみに、筆者は記事執筆のため、日常的に機種を変更せざるを得ない状況にあるが、サッカーW杯期間中も含め、今年、最も長期間、愛用した端末は「A3012CA」であり、現在は「A5302CA」を首から下げている。

 一方、NTTドコモでは今年6月から「iショット」サービスが開始され、対応端末「251iシリーズ」が新たにラインアップに加わった。10月には主力の50xシリーズもiショットに対応し、12月半ばには早くも400万台を突破するほどの普及ぶりだ。iショットサービスそのものの使い勝手はかなり悪いが、それでもカメラ付きケータイが欲しいというNTTドコモユーザーの反応が顕著に表われた格好だ。端末としては、初のメモリースティックDuo搭載端末となった「D251i」、3D液晶ディスプレイという新機軸を打ち出した「SH251iS」が注目されるが、カメラの使い勝手にとことんこだわった「P504iS」の完成度は高く評価できる。カメラ部分は普及モデル向けの11万画素ながら、前後2つのカメラを装備し、撮影モードやサイズの切り替えなどをワンタッチで可能にしたり、画面表示を撮影サイズに合わせて切り替えるなど、非常に細かい配慮が行き届いている。

 また、市場的にはあまり高い評価が得られていないが、筆者が今年購入した端末で最もインパクトがあったのはNTTドコモのシャープ製FOMA端末「SH2101V」だ。価格的にはかなり高価な端末だったが、「これぞ、次世代携帯電話!!」を示した端末であり、これからのケータイの可能性を感じさせてくれる製品だった。カメラ付きケータイ以外では、あまり話題になった端末が少ないが、メールが使い放題になるDDIポケットの「エッジeメール放題」に唯一、対応した九州松下電機製端末「KX-HV210」が健闘した。従来モデルのKX-HV200を継承しながら、SDメモリカードの特長を活かし、PHSの新しい可能性を示した端末だ。筆者自身も含め、周囲にはKX-HV210ユーザーが増えており、メールのヘビーユーザーやプロバイダのメールを転送したいユーザーには着実に浸透しつつある。

 これらの点を総合し、筆者が「俺のケータイ of the Year」の候補としてリストアップしたのは、J-フォンのシャープ製端末「J-SH52」、auのカシオ製端末「A5302CA」、NTTドコモの松下通信工業製端末「P504iS」の3機種だ。

 A5302CAはauのA5300シリーズの2番目にラインアップされたが、現時点でのCDMA2000 1x端末のフラッグシップモデル的な存在であり、A3012CAから継承されたカメラ機能も充実している。しかし、後発メーカーも急追しており、使い勝手ではわずかに一歩譲る面も出てきている。その使い勝手の面で他機種を一歩リードしているのがP504iSだ。P504iやP211iで示された薄型化の方向性を継承しながら、ユーザーが楽しくカメラを使えるようにさまざまな工夫が施している。筆者が友だちにデモをして、最もウケのいい端末のひとつであり、女性にも支持されているのが従来のP50xシリーズと大きく異なる点だ。ただ、ツインカメラとは言え、カメラ部分が11万画素だったのは惜しまれる点だ。

 そして、最終的に筆者が「俺のケータイ of the Year」として選んだのは、J-フォンのシャープ製端末「J-SH52」だ。高品質な静止画とムービーが撮影可能な「内蔵カメラ」、大容量のデータが保存できる「SDメモリカード」、CDからも録音できる「デジタルオーディオプレーヤー」、ボタン操作回数が格段に減る「予測変換対応日本語入力」、SDメモリカードを活かした「ICレコーダー」など、現在のケータイに求められる機能をほとんど搭載し、まさに「最強」の名にふさわしい端末として仕上げている。これで、筆者の「俺のケータイ of the Year」はJ-SHシリーズの3連覇ということになるが、今年に関してはA5302CAとP504iSとの差はごくわずかであり、できることなら、3機種に「俺のケータイ of the Year」を贈りたいくらいだ。いずれ劣らぬ名機であり、ぜひ読者のみなさんにも楽しんでもらいたい端末だ。

 スタパ齋藤: au 「A3014S」

a3014s

 2001年末に増してさらに“ソニー縛り”状態の拙者。すなわちソニー製端末のジョグダイヤルと日本語入力機構POBoxの使いやすさに慣れまくっており、他の端末に手を出せないでいる。で、結論から言えば2002年の俺的ケータイ of the Yearは、auのA3014S。ソニー・エリクソン製の着せ替え端末だ。端末についての細かな話はスタパトロニクスMobileをご参照いただきたい。

 A3014Sを拙者的ケータイ of the Yearに選んだ理由は、もちろんその使いやすさにある。使いやすいから最も多用した端末となり、とても役立ってくれたからケータイ of the Year、とした。

 のだが、ぶっちゃけた話、A3014Sに満足しきっているわけではない。いやむしろ徐々に不満が出てきている。例えば厚さが少々あってゴロリとした感じであること。サブディスプレイのサイズが小さいこと。カメラが内蔵されてないこと。ジョグダイヤルがヘタってくると時々誤操作してしまうところなども、まあ不満と言えば不満だ。けれど、他の端末になかなか乗り換えることができない。

 A3014Sを買った当初は、何しろ使い慣れたジョグ&POBoxのインターフェイスがたまらねえ良さであったし、着せ替えも愉快だったし、外見的にもかなり好めた。しかし最近では着せ替えにも飽きたし外見にも慣れ、結局、ジョグ&POBoxの使いやすさのみでA3014Sと付き合っている感じ。で、そろそろ次の端末を……なんて考えるわけだが、ジョグ&POBoxの良さを捨ててまで使おうと思う端末は実に少ない……狙っている端末はあるものの、現在迷い中だったりして。さておき、それほど、ジョグ&POBoxは俺にとって決定的に便利なギミックなのである。だからやっぱり「ケータイ of the Yearを1台選べ」と言われたら「やっぱA3014Sしかないなぁ」と。

 ソニー・エリクソン製のau端末として、その後にA1101Sが出てきた。ボディが光るちょいとおもしろそーな端末で、もちろんジョグ&POBoxも健在。なので手を出そ……と思ったものの、んー乗り換えるオイシサってのがない。カメラなし。とても残念。光らなくていいからソニエリのカメラ付きが欲しいっていうよりもむしろ、ジョグ&POBox&カメラ搭載の端末ならメーカーを問わず手を出していきたいんだよアニキ!! とか思う俺なのだ。

 ともあれ、A3014Sのジョグ&POBoxの利便の虜になっていた2002年だ。いや実際ジョグ&POBoxに慣れてしまうと、ホント、他の端末に手を出しづらいっス。逆に、ジョグ&POBoxってのはまったくマジで素晴らしいギミックだと思う。来年はジョグ&POBox&カメラ搭載のau端末が出てくれますよーに!! ……いや、神頼みせず、ジョグ&POBoxの楽園から一歩踏み出すべきなのかもよ>俺。

 広野忠敏: DDIポケット 「AH-S101S」

ahs101

 さて、今年も「俺のケータイ of the Year」の季節がやってきたわけだ。なんとも1年が過ぎるのは早いものである。今年のトピックはというと、なんといってもカメラ付きケータイの普及だろう。カメラを搭載し静止画のみならず動画の撮影ができる機種も多くなってきた。昨年まではケータイにただデジカメを付けてみました的なものがほとんどだったが、今年リリースされたケータイの中には撮影を補助するためのさまざまな機能、撮影した静止画や動画で遊ぶための機能が数多く盛り込まれてきているのが興味深い。カメラはオマケじゃなく、ケータイの一機能として確立されつつあるわけだ。

 さて、俺のケータイ of the Year 2002であるが、ハッキリ言って私はカメラ付きケータイにはさっぱり興味がないのである。最大の理由は、カメラ付きケータイがここまで普及してしまうと、カメラが付いているだけじゃまったく自慢のネタにならないこと。喜び勇んでポケットから取り出して自慢しようとしても、「ふーん、よかったね。オレのケータイにも、それあるよ」と言われるのがオチである。仲間内では、私があまり興味がないものは結構普及する、ものすごく興味があるものは始めはさっぱりだけどかなり遅れて普及するというジンクスがあったりするのだが、カメラ付きケータイはさっぱり興味がなかったので、今はかなり普及しているらしい。喜び勇んで速攻で買って自慢しまくったFOMA端末はさっぱり普及していないが、これもジンクス通りならば、遅れて普及しつつ普及した頃にはもはや興味がなくなるという図式になっていくハズだ。まあ、マイナー路線まっしぐら&単なる新し物好きっつーわけだね。

 なんだか前置きが長くなってしまったが、そんなわけで今年リリースされた端末の中にはあんまりそそられる機種がなかったりするのだ。その中で唯一気になったのが、先ごろ発売されたDDIポケットの「AH-S101S」。コイツは、AirH"の32kbpsパケット通信や64/32kbpsPIAFSに対応したSDカード型PHS端末。音声通話はできない純粋なデータ端末である。これ、実物を見ていただけるとわかるのだが、激烈に小さいのである。大きさは親指くらい、重さは6g。いやほんと激烈に小さいのである。何度も書いて申し訳ないが「えー、この大きさでデータ通信ができちゃうわけ?」って思うくらい小さいのである。うっかりすると、カバンの中で行方不明になるくらい小さいのである。まさに、恐ろしいほどの集積技術なのである。

 この手のアイテムは「大は小を兼ねる」ならず「小は大を兼ねる」という図式がなりたつ。たとえば、CFサイズの通信カードはPCカードアダプタを使えばPCカードで使うことができる。もちろん逆は無理だ。AH-S101Sもアイ・オー・データ機器から発売されるPCカードアダプタ「PCSDAH-ADP」を利用すればPCカードとして使うことができる。また、現時点ではCFサイズのアダプタは存在していないが、CFサイズのアダプタがもし発売されれば、さらに、さまざまな機器で利用することができるようになるだろう。

 ただ、残念なのはSDスロットを持つPDAなどは非常に多くなってきているのだが、AH-S101Sのような機器を装着できるSDIOに対応したSDスロットを持った機器が非常に少ないこと。SDカードにはメモリの規格とAH-S101Sのような機器を装着するためのSDIOと呼ばれる規格がある。多くのPDAはSDカードスロットを有していても、SDメモリしか使えない。つまり、メモリ専用のスロットになっているというのが状態なのだ。いまのところAH-S101Sを利用できるのは「Palm m515/m500/m130」と「東芝 GENIO e550GX/e550GS/e550G/e550X/e550」のみ。その他のPDAについては、たとえSDスロットが装備されていたとしてもAH-S101Sを使うことはできない。このように、汎用的なSD規格でありながら、現状では限られた機種でしか使えないのがほんと非常に残念な点だ。ただ、ほとんどのPDAがSDスロットを有している現状を考えると、SDスロットはメモリだけじゃなく、今後はこうした外部機器を装着できるような方向にシフトしていくハズだ。

 そんなわけで、小さいというメリット、対応機種がかなり限られているというデメリットを持つAH-S101Sではあるが、その小ささゆえに十二分に自慢のネタにはなる。もしも、Palm mシリーズや東芝のGENIOシリーズを持っているならば、コイツを購入して心行くまで自慢しよう。

 ゼロ・ハリ: NTTドコモ 「N504iS」

n504is

 ここ3カ月ほどで3回も携帯電話を買い換えてしまった。理由は新しい携帯電話が機能的に優れていたからではなく、以前の各携帯電話が筆者の特異な使用方法とは多少マッチングが悪かったからである。リボルバーのような自動オープンの最初のP504iは手触りというか、持ち具合がフィットせず、機密メールの管理もPC的ではなかった。次に購入したJ-フォンのJ-SH09は、カメラも快適で、文字サイズも見やすかったが、ファイルサイズの大きなインターネットメールを頻繁に転送する筆者の使い方では、安いと言われるJ-フォンの料金体系にはあまりマッチせず、今までで最高の月額料金を支払ってしまった。3度目の正直で、月額使用料金が10万円以上した頃から過去一番使用歴の長かったドコモのNEC製端末、N504iSに復帰した。

 N504iSは、売れているからか、自社のWebサイトのユーザーサービスもPanasonicサイトに比較すると低調で、初期搭載の着メロもショボい。しかし、持った時の手触りや、その感触はいつも手に持って、暇つぶしにあそびたくなるサムシング・グッドを持っていると感じる。多くの企業が直面するコスト削減の観点から見れば、どうでもよいことのように思われがちだが、通話やメールを終了した後、携帯を閉じるする時の「カチッ」という音もかなり研究されているだろう。  初代機より、製品に対するこだわりと、常に統一されたブランド・デザインコンセプトを持ち、携帯電話にもブランドコントロールという概念があるとすれば、間違いなくそれを実践している商品だ。液晶の解像度も必要十分に高く、筆者のようにスケジュール管理だけのためにPDAを持ち歩いている人間には、PDAは不要な時代になりそうだ。

 N504iSはNECのトラディショナルな製品であるがゆえに、本体そのものにはあまり不満はない。しかし、比較的良く利用される内蔵カメラの接写機能にコンタクトレンズのような外付けレンズが必要なことや、P504シリーズに比較すると、やけにiアプリの起動が遅く感じられる点には早急の改善策が必要だろう。これらを解決することで、今後、用途が広がり、より大きな市場となる可能性の高いビジネスユースでの本格的な携帯電話利用を促進する機種となることだろう。

 2002年度は、筆者の利用方法から言って、これが非常に優れているというよりも「他に敵がいない」という理由で、「俺のケータイ of the Year」にN504iSを選ばせてもらった。2003年度には前述の点を改善したN505モデルが早々に登場することを期待したい。

 白根雅彦: au 「A5303H」

a5303h

 今年は購入するケータイに迷う年だった、と思う。ほとんどのケータイが「折りたたみ」「大型カラー画面」「カメラ内蔵」「Java対応」という主流に収斂しているので、各ケータイが持つ「プラスα」で選ばなくてはいけない。どのケータイも完成度が高い上で個性的なプラスαを端末に搭載してきているので、今年のケータイ選びは迷う反面、ワクワクするものだった、とも思う。

 今年、注目したプラスαはいくつかある。とくに日本語入力。今年のケータイのほとんどが、予測変換に対応したATOKやモバイルWnnなどの銘入り日本語変換システムを搭載していたが、その中でもN504iは、子音で単語予測をするT9を搭載していて、スピーディな日本語変換が可能だった。

 このほかにも、画像管理がしやすいサムネイル機能やワンタッチでカメラを起動できる機能、メニューのカスタマイズ機能、カメラの色再現性、動画対応、メモリーカードなど、ケータイの高機能化に伴って、こだわりたいプラスαは増え続けている。私などはケータイ Watch誌上の「ケータイ新製品SHOW CASE」記事作成時にさまざまなポイントをチェックする必要が出てきて、だいぶ苦労させられた(液晶が綺麗になったので画面撮影は楽になったが)。

 そんな多数のプラスαを比較してわたしが今年のケータイに選ぶのは、auのムービーケータイ「A5303H」だ。A5303Hのプラスαは「ムービーメール」「サムネイル対応」「カメラのワンタッチ起動」「回転レンズ」などなどいろいろあるのだが、その中でもいちばんワクワクさせられたプラスαは、搭載CPUの「SH-Mobile」だ。ケータイのプラスαもさまざまなものがあるが、CPUが謳われたのは初めてではないだろうか。ケータイでCPUを気にしてどうする、と昨年ならば思っただろうが、今年のケータイはサムネイル表示や動画、Javaなど、処理能力が必要とされるシチュエーションが増えてきたので、高速なCPUを搭載するに越したことはない、という状況になってしまった。そうした状況をかんがみて、私は今年のケータイにSH-Mobile搭載のA5303Hを選ばせてもらった。

 来年以降のケータイにも、引き続き高速なCPUが搭載されるだろう。そしてその高速なCPUによって、新たなアプリケーションも追加されるだろう。ケータイはもっと楽しく、便利になるに違いない。非常に楽しみだ。

 伊藤大地: au 「A3012CA」

a3012ca

 昨年、J-フォンが他社に先駆け市場に投入し、ヒット商品となったカメラ付き端末。今年はドコモ、au、ツーカーもその流れに追従し、カメラが携帯電話の標準機能になったことが印象的だった。筆者は、今年発売された多くの端末の中から、auのA3012CAを推したい。

 まず、その選考理由としては、31万画素のモバイルカメラ内蔵、折りたたみ型、12MBと他機種を圧倒する大容量メモリなどユーザーが望むポイントをしっかりと押さえていることだ。特に、パソコンとの連携が必須となるカードスロットを設ける方向性ではなく、すべてのユーザーが恩恵を受けられる大容量メモリの内蔵した決断には拍手を送りたい。また、細かい使い勝手も洗練されており、着信メロディ鳴り分け機能やアイコンインターフェイスを自作のものに変更できる仕様など、マニア受けするカスタマイズ性も高かった。

 これまでのカシオは携帯電話市場において、耐衝撃性、耐水性をウリにしたG'zOneシリーズがトレードマークだった。しかしこのシリーズは熱烈なファンを生んだものの、決してマジョリティを掴む端末ではなかったように思う。だが、このA3012CAは久方ぶりの非G'zOne端末であり、この状況を打ち破ってトップベンダーにのし上がろうとするカシオの気合いが十分に伝わってくる端末だったと思う。

 現在、カシオからはムービーメールに対応したA5302CAがすでに発売されているが、この端末をあえて推した理由はもうひとつある。それは、今年4月にサービスインしたCDMA2000 1xの順調なスタートを支えた機種であるということだ。CDMA2000 1xへの対応をプッシュせず、auのラインナップ中、唯一のカメラ端末として人気を博し、「3Gを意識させず普及させる」KDDIの戦略にまさにぴったりはまった端末だったわけだ。また、春先、写メールで勢いに乗るJ-フォンに明け渡した業界2位の座を奪還する主力機種だったことにも触れておきたい。

 昨年J-フォンが種を蒔き、今年、そのほかの事業者に実った写真添付メール。来年は、今年、auやJ-フォンが種を蒔いたムービー添付メールが実る時だ。一斉にムービー対応端末が出そろう時が今から楽しみだ。



2002/12/26


ケータイWatchホームページ

ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 impress corporation all rights reserved