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読者が選ぶケータイ of The Year [2000/12/27]
俺のケータイ of The Year [2000/12/27]

俺のケータイ of The Year

 ケータイWatchの筆者とスタッフが選んだケータイ of The Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2001年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2001」もぜひご覧ください。

【筆者の選出機種一覧】
法林岳之
J-フォン
J-SH07
スタパ齋藤
au
C413S
広野忠敏
NTTドコモ
FOMA N2001
白根雅彦
au
C409CA

【編集部スタッフの選出機種一覧】
工藤
NTTドコモ
FOMA P2101V
湯野
NTTドコモ
F671i
松下
J-フォン
J-SH07
伊藤
au
C1002S
横田
au
C5001T


 法林岳之: J-フォン 「J-SH07」

J-SH07

 2001年の「俺のケータイ of The Year」を選ぶ前に、2001年のケータイ市場を簡単に振り返ってみると、『話題』よりも『課題』が数多く指摘された1年だったと言えそうだ。

 まず、第一の課題は、端末の不具合と回収の問題だ。今年も数多くの魅力的な端末が市場に投入されたが、いくつかの端末で不具合が発見され、回収という思わぬ事態を招いた。この回収に伴い、ユーザーは一度購入したコンテンツ(着信メロディや待受画面、Javaアプリケーション)を再購入しなければならないという理不尽な要求にも見舞われている。第二の課題は、未だ持って解決の糸口がつかめない迷惑メールだ。出会い系サイトやアダルトサイトの宣伝メールが無作為に送られたことにより、受信者であるユーザーが通信料を必要以上に負担しなければならないという事態に陥り、なかでもiモードのメール機能は事実上、使い物にならなくなりつつある。この他にも数多くの課題が指摘されたが、この2つの課題は業界をあげて、早急に対処しなければならない。

 さて、本題である「俺のケータイ of The Year」だが、注目すべき端末をいくつかピックアップしてみよう。デザイン的には、やはり「折りたたみデザイン」が人気を集めたが、右も左も折りたたみばかりで、逆にストレートタイプへのこだわりを見せたNTTドコモの「F211i」(富士通)などの方が新鮮味が感じられた。ただ、デザインという観点で見た場合、今年、最も評価できたのはソニーがau向け端末「C406S」や「C1002S」で打ち出した「着せ替えケータイ」というコンセプトだろう。国内では海外と違い、端末のボディ交換が法的に認められていないが、これをクリアしながら、他人と違うデザインのケータイを実現しやすくした功績は大きい。残念ながら、原稿執筆時点で最新モデルの「C1002S」の出荷が開始されていないが、今年前半で言えば、「C406S」は最も評価できる端末だ。

 一方、技術面ではW-CDMA方式を採用したNTTドコモの「FOMA」、Bluetoothを搭載したauの「C413S」(ソニー製)やNTTドコモのPHS「パルディオ633S」(シャープ製)、有機ELカラーディスプレイを採用したNTTドコモの「FOMA N2001」(NEC製)などが注目株だ。ただ、FOMAについてはまだ試験サービスの域を脱しておらず、現行サービスと張り合うだけの魅力と安定性がない。Bluetoothはようやくといった感が強いが、PDAやヘッドセットなど、周辺デバイスが揃っていないのが残念だ。年末商戦のノートPCでBluetooth搭載モデルが増えてきたため、2002年のBluetooth市場はかなり期待できそうだ。

 機能面ではJava搭載や日本語入力システムなどが新しいトピックだろう。Javaはまだ本領を発揮しているとは言い難く、不具合が起きる要因にもなってしまった。たしかに、ゲームや待受ツールは面白いが、通信機能を活かした実用ツールやビジネスアプリケーションが登場しなければ、本格的な普及は見込めないのではないだろうか。日本語入力システムではATOKをはじめとするPC系システムの移植が注目を集めたが、変換効率や辞書の強化がメインであり、システムそのものに斬新さはない。その点、ソニーがauの「C406S」「C413S」「C1002S」、NTTドコモの「SO503i」「SO210i」「SO503iS」で採用した予測入力システム「POBox」とフロントジョグの組み合わせは斬新な取り組みだった。一度、この環境を体験してしまうと、通常のマルチタップ式に戻れないくらいの出来の良さであり、ケータイをより幅広い層に普及させるための機能としても期待できる。発売が年末年始に差し掛かってしまったが、auの「GPSケータイ」に採用されている「gpsOne」も注目の機能だ。J-フォンの「ステーション」やNTTドコモの「iエリア」など、今後は地域コンテンツの発展が期待されているが、数メートルから数十メートルの範囲で捕捉できるGPSケータイはこれを飛躍的に向上させる可能性を秘めている。

 しかし、一般大衆に広く人気を得た機能という点で考えた場合、やはり、J-フォンの「写メール」の威力は絶大だったというのが筆者の見方だ。昨年もモバイルカメラを内蔵した「J-SH04」(シャープ製)を「俺のケータイ of The Year」に選んだが、「J-SH07」ではTFTカラー液晶を搭載し、「撮る」「見る」「送る」の「見る」機能を一段と強化した。技術的な新しさはないものの、昨年モデルの反省点を着実にクリアし、より実用性の高い端末として完成させた点は高く評価できる。また、J-SH07で採用されたJ-フォンのJavaは、3Dポリゴンとスプライトというゲーム機などでおなじみの機能を搭載することによって、インパクトのあるアプリケーションを開発しやすくしたことも評価できる。

 これらの点を総合し、今年の「俺のケータイ of The Year」として、筆者はJ-フォンの「J-SH07」(シャープ製)を選ぶことにした。端末としての総合的な魅力、市場での人気の継続性などを見ても今年一番の端末であることは間違いなく、次期モデル「J-SH51」もかなり期待できそうだ。ただし、僅差の次点として、auの「C406S」(ソニー製)も挙げておきたい。予想以上に早く新モデルに移行してしまったが、やはり、着せ替えというコンセプトは斬新であり、今年最大のトピックのひとつだからだ。

 スタパ齋藤: au 「C413S」

C413s

 くわわわッ!! 今年も「俺のケータイ of The Year」の時期なのかーッ!? 早いぜ早いぜ早くて死ぬぜーッ!! 来るな来年!! 俺の2001年はまだ終わっちゃいねえ!! 終わるのはあと20本原稿を書いてからだーッ!!

 ていうかそれにしても1年が経つのが早いこと早いこと。アッと言う間に1年が過ぎる感覚ゆえ、今年は7台しかケータイ買いませんでしたヨ!! 近年における携帯電話端末購入台数としては、かなり少な目と言えよう。しかし、買った端末が少な目なのは、今年は良い端末がなかったからというわけではないのである。いや、通信系サービスがすげぇ充実を見せ、また各社から続々と新世代・新機軸・新サービス対応端末も出て、今年は携帯電話の豊作の年であり、また時期的にも成熟期という感じだった。多くの端末が“しっかりマトモに使い倒せる端末”だったし、サービスや料金についても納得のいく状況になったと言えよう。

 だがしかし!! 俺はそーゆー多くの魅力的な端末には手を出さなかった。というのはデジカメいっぱい買っちゃって金欠だから……違う!! 金欠でもカードがある!! 3枚もあるからコレを使えば金欠なんか関係ねえんだよアニキ!! 現金がなきゃクレジットだ!! クレジットにしときゃ未来の俺がどうにかするゼ!! ってそーゆーコトやってるとそのうち破産するぜ破産して夜逃げだぜ>俺!!

 話が逸れちまったが、俺が端末をあんまり買わなかったのは、今年の早い時期に俺が手に入れた端末に起因する。それはソニーの端末。クルクルピッピのジョグダイヤルを搭載し、しかも日本語入力システムとして予測変換入力機能のPOBoxを搭載した端末。具体的には、auのC406SとドコモのSO503iである。

 結論から言えば、これらの端末がヤケに使いやすかったゆえ、他の比較的には魅力的である端末に手を出さなかった。いや、出せなかったと言った方が正しいかもしれない。ジョグダイヤル&POBoxのソニー製端末を使うと、そのあまりの心地よさに比類なき安堵を得る。それはユーザーを保守的にさえする快適さであり、他の端末に手を出すことに微妙なリスクを感じさせる安楽さなのだ。

 要するに、前述2機種のソニー端末が俺にとってヤケに気持ちイイものだったので、「この端末解約して他の新型にしたら、もしかしたら現在の快適さ加減が失われまくるかも!?」と思い、ずっとソニー端末を使い続けたというわけなのだ。

 ジョグダイヤル&POBoxのソニー製端末の良さは、ジョグの効率の良さ=各種操作を速く行えることと、そのジョグで快適に使えると同時に従来の入力方式では考えられないほど少ないキー押下数で実現できやがるPOBoxによる日本語入力だ。このふたつ。このふたつの要素が、非常なる快適さを俺に感じさせる揺るぎない決定打となる。ジョグとPOBox、これがありゃ通話なんかできなくてもいいゼとまで俺を狂わす、ヒッジョーにグレイトなギミックなのである。

 これらの端末、ジョグとPOBoxの他の点、例えばメニュー構成とか着メロ、電話帳などデータ管理機能、あるいはメール関連機能もけっこー良く、ケータイを電話としてあるいはメール端末として使うにも文句はない。また、両端末とも現在主流の折りたたみタイプで、収納時はコンパクトであり、使用時はキーや液晶のサイズ・余裕が十分あり、スピーカーおよびマイクの位置もシックリ来て使いやすい。ソニーの得意技(!?)とまで言われちまったバッテリー問題はあったものの、他の要素は十二分に実用的なレベルだった。

 さて、本題の、俺における2001年のベスト端末だが、これもやはりソニー製端末。キャリアはauで、機種名はC413S。俺にとってコレが現在最も使いやすいと思われる端末だ。

 まず、C413Sは、前述のふたつのソニー製端末と同様、ジョグダイヤルを搭載し、かつ、POBoxが使える。メニュー操作や文字入力効率は抜群なのだ。

 加えて、キャリアがauだということ。音質的にもFOMAに匹敵する程度良く、まあPHSとまでは行かないが携帯電話の中では最高レベル。利用可能圏もドコモの800MHzに匹敵するほど広くなっている。また、PacketOne 64対応端末を使えば論理値で最高64kbpsのパケット通信ができるあたりも実用的。さらに、近年のKDDI系は料金体系もヒジョーにリーズナブルっていうか他キャリアよりも有利な利用プランが多いあたりもナイス。なので、ジョグ&POBoxであってかつauであるC413S、俺にとって実に手が出しやすいし利用してグーな端末なのである。

 C413Sは日本製では初のBluetooth対応端末となり、C413S同士や、C413SとほかのBluetooth対応機器と通信できる。のだが、まだまだBluetooth対応機器が少ない。マニア的には面白いって程度だろうか。「実用的」というにはまだまだ活用シーンが少ない感じだ。それと、C413Sは、残念ながらauのJavaアプリケーション配信サービスのezplusに非対応。俺の場合はBluetooth機器とつなげて使いたくて、ezplusにはさほど興味ナシって感じだからまだいい。でも、Bluetoothに興味ナシだけどezplusに興味津々って人にはヒジョーに選びづらい端末になってしまうような気がする。

 ともあれ、ジョグダイヤルが使えて、POBoxも使えて、しかもauの端末で、さらにBluetoothにまで対応ってことで、俺のニーズを非常によく満たしまくりのC413Sを、俺的な今年のベスト端末とした。

 広野忠敏: NTTドコモ 「FOMA N2001」

N2001

 今年発売されたケータイのベストを選ぶのは非常に難しい。iアプリ対応端末などのJava搭載機、写メールやBluetooth、音楽再生機能など「通話をする」という部分以外での付加価値を持つケータイ、そしてFOMAやeznavigationといった新しいサービスに対応したものなど、あらためて今年リリースされたケータイの一覧を見てみると「これってホントに1年で全部リリースされたの?」と思うくらい様々なバリエーションのケータイがあるのだ。

 そうしたケータイの中でもいい意味、悪い意味を含めて最も話題を集めたものがNTTドコモのFOMAではないかと思う。鳴り物入りで登場したのはいいが、値段が高い、エリア内でも圏外になることが多い、FOMA対応の端末は総じて重い、さらには待受や連続通話時間はそのほかのケータイと比べても「まったく実用にならないほど」短いといった、実際にFOMAを利用しているユーザーがほぼ100%感じてしまうであろうデメリットはとてもたくさんある。実際のところ、私が活動するエリアはFOMAの通話エリアにすっぽり含まれているが、それでも発売当日にドコモショップへ行ったときは、ドコモショップのお姉さんに「つながらないし使い物にならないですけど、本当にいいんですか?」と念を押されてしまったのだが、ホントにその通りでした。

 たしかに通話をするというケータイの基本機能は、他のものに比べて劣るかもしれないが、電波が届けば非常に快適なのも事実。通話品質はPDCとは比較にならないほどクオリティが高い。実際のところ通話相手がPDC以外の場合、相手の声が聞き取りにくいと思ったことはほとんどない。ただ、コーデックの違いかcdmaOneにくらべて、周囲の音を拾いやすいという特徴があるように感じられる。また、連続通話時間は短く、かつ値段は高いがパケット方式による高速データ通信も可能。カタログスペックどおりに384kbpsをマークすることはまれだが、おおむね128kbps以上の速度で通信が可能だ。さらに、ケータイでイバりたい人は「所有している人が少ない」というメリットを最大限に活かせるのだ。FOMAはとにかくまだ珍しいのでイバり度は高し。実際のところ、業界人以外がFOMAケータイを使っている姿を私は見たことがありません。

 現行のFOMAケータイのラインナップは4種類。FOMAといえばiモーションのN2002やテレビ電話のP2101Vがクローズアップされることが多いが、私が「俺のケータイ of The Year」に選んだ機種は「N2001」。N2001は他機種に先立ち、有機ELディスプレイを採用した初めてのケータイなのである。有機ELディスプレイは、それ自体発光するために非常に視認性が良いのが特徴。たぶん、現行のケータイのなかでは最も美しい表現のできるディスプレイではないかと思う。ただ、太陽光の下など明るい場所ではさっぱり見えないというとても実用に支障のあるデメリットがあるが、私自身夜行性なので問題なし。それよりも、ナナメからだろうと正面からだろうとはっきりと文字を読むことができるのは素晴らしい。いや、マジで電車でメール読んでると隣の人からもはっきり読めるほど視認性はいいんです。

 また、FOMAでは新たにUIMカードがサポートされているのもいい。UIMカードには回線契約情報(電話番号も50件入力できる)が書かれていて、新しいケータイを購入するときには、わざわざ窓口で機種変更の手続きをしなくとも、UIMカードさえ差し替えれば、新しいケータイを同じ電話番号で使うことができるというものだ。つまり、1つの回線契約で2つ以上のケータイを使い回せるのである。たとえば、1つの契約で音声通話はN2001でパケット通信はP2401でということが可能なのだ。ただ、残念ながら回線契約が含まれていないケータイを追加で購入するよりも、回線契約込みのケータイを購入した方が安いため、UIMカードのメリットについてはやや疑問が残らないではない。しかし、FOMAが普及すれば「新規契約<ケータイのみ購入」という図式もユーザーがより恩恵を受けられる方向に改善されるのではないだろうか。というか、ぜひとも改善してほしいです。

 まあ、そんなわけで色々と問題も多いFOMAなのだが、新しいテクノロジーをさくっと市場に投入してくれるNTTドコモは評価できるのではないだろうか。ただ、現状のままの状況が続けば結局さっぱり普及せずに過去のものになって、後で振り返ってみると「あれっていったいなんだったんだろうね」と郷愁にひたるという事態も十二分に考えられる。そうはならないためにも、企業の独りよがりという視点ではなく、ユーザーの生の声を取り入れたケータイや、より良いサービスを模索していって欲しいと思うわけです。

 白根雅彦: au 「C409CA」

C409CA

 正直に白状すれば、わたしはC409CAをWAP 2.0対応端末までのつなぎとして、軽い気持ちで購入した。それから数カ月が経過し、WAP 2.0やGPSなどに対応する端末が登場した。しかしわたしは端末を買い換えていない。

 なぜなら、C409CAを手放せなくなったからだ。C409CAはケータイにもっとも必要とされる「携帯性」において、非常に優れた特徴を持っている。耐水・耐衝撃性能だ。

 わたしはC409CAを、付属のベルトに吊り下げるタイプのストラップで携帯している。C409CAは水に濡れても大丈夫なので、どんな雨が降ろうと、洋服が濡れてしまうのと同じ感覚でC409CAをびしょ濡れにできる。また、C409CAは頑丈にできているので、ベルトからぶら下げたまま何か固いものにぶつけても大丈夫だ。

 わたしは、C409CAをまるでそれがズボンの金具の1つであるかのように、それがケータイであることを意識せず、身に付けられる。これこそウェアラブル・モバイルだ。普通のケータイのように、壊さないようカバンにしまっておく気遣いはC409CAには不要だ。

 確かに、C409CAはJavaにも対応していないし、2001年のケータイとしては液晶も暗くて見づらい方だろう。しかしJavaは、ゲームなど特定のアプリケーションを使うときにしか役に立たない機能だ。液晶の見やすさも、液晶を凝視する瞬間しか意味はない。わたしたちは、常にケータイの液晶を見つめているわけではない。

 それに対して「持ち歩きやすさ」という要素は、常に意味がある。なぜなら、ケータイは常に持ち歩くべきシロモノだからだ。そんなわけで「腰からぶら下げて身に付ける」というスタイルにハマったわたしにとって、C409CAは今年1番のケータイなのだ。

 編集部工藤: NTTドコモ 「FOMA P2101V」

FOMA P2101V

 正直言って今年の選択はかなり困った。実はメイン端末は、昨年買ったDDIポケットのRZ-J90のままなのである。活動範囲が東京23区内で音声利用メインなら、DDIポケットのPHSがいちばん良いと個人的には思っている(H" LINKはお世辞にも使いやすいとは言えないけど)。しかし、SDカードスロット内蔵の折りたたみ型端末がこの年末久しぶりに九州松下から登場するものの、feel H"登場時に比べると、今年のベストに押すにはインパクトがいまひとつな感じがする……(機種変更しますけどね)。

 2001年の大きな動きとしては、FOMAの登場、Java対応、J-フォンの写メール&カメラ付き端末、auのGPS内蔵端末、F671iやシンプルフォンなど中高齢者向けの端末の登場などが思い浮かぶ。こうしてみると、盛りだくさんすぎてかえって選びにくいとも言えるかも。さんざん迷った結果、選んだのが実際自分でも購入しているP2101Vだ。

 P2101Vについて、不満点はいろいろある。まず150gは大きく重い。電池の消耗も早い。FOMAそのものが、日常生活で使ってみるとつながらなかったり切れたりすることもまだ多い、などなど。普通の、携帯電話をひとつだけ持つ人には正直おすすめできない。しかし、はじめて実用的に使えるテレビ電話端末、という点はやっぱり凄い! と感動したのも事実だ。P2101Vは映像も液晶もきれいだし、ヒンジ部分のカメラが回転するのはよくできていて使いやすい。個人的には、写メールの次に来るのはやはりテレビ電話じゃないかとも思う。相手によってはむしろ顔なんか見たくない場合もあるかもしれないが、家族や友人、恋人同士などプライベート用途なら、表情が見られる方が絶対楽しい。

 そんなわけで、かなり迷ったあげくの選択ではあるが、携帯電話の新しいビジョンを実際の製品で見せてくれた「FOMA P2101V」を今年は選んでみました。2002年はもっとたくさんのビジュアルタイプがリリースされ、普及して、テレビ電話で気軽に遊べることを期待しております。

 編集部湯野: NTTドコモ 「F671i」

F671i

 本誌の「NTTドコモ売れ筋ランキング」では、年間を通してNシリーズが圧倒的な強さを見せた。が、今年後半にかけて、50xシリーズでもなく21xシリーズでもない機種が売れ筋ランキングの常連となっている。それが「ムーバF671i」だ。

 「らくらくホンII」という愛称で親しまれているF671i。最近、ドコモのテレビCMにもよく登場し、いわゆる「アクティブエイジ」向けの端末として人気を博している。大きめのボタンやフォント、くっきりと見やすい120×160ドットの4096色表示TFT液晶、単刀直入なメニュー構成など、若者以外へのアピール度は非常に高く、コンセプトも分かりやすい。

 世には「シニア層はいろんな機能があっても使いこなせない」という先入観が存在し、「シニア向け」=「単機能」という図式で見られてしまうことが多い。しかし、実はシニア向けだからこそ、F671iのように通常の端末にはない機能を搭載していなくてはいけないのだと思う。老眼が入ってきて小さな字は読みづらいというのであれば、大きいフォントを用意しなければいけないし、さらには「音声読み上げ機能」を追加したりして、画面を見なくても大丈夫にする、といった配慮が必要なのだ。そういう意味では、iモード機能を削らなかったことや、ちゃんと16和音の着メロをサポートしていることなんかも評価できるところだ。

 それから、上述の音声読み上げ機能については、アクティブエイジだけでなく、視覚障害を抱える人たちにとってもありがたい機能だろう。「もともと電話なのだから音声通話で事は足りるじゃないか」という話もあるが、それは先ほどの「シニア向け」=「単機能」と同じ発想だ。視覚障害者向けだからこそ、高機能であるべきなのだ。一方通行ではあるが、聴覚障害者と視覚障害者のコミュニケーションツールとしても活用できる。

 メールからGPSまで、最近のケータイには本当にいろんな機能が搭載されていて、我々にこれまでにない可能性をもたらしてくれる。そういう可能性という意味では、「次世代携帯電話」なんかよりもずっと分かりやすくて、使い出があるのがF671iだ。というわけで、私が選ぶ今年一番の携帯電話は、いろんな人の可能性を広げてくれたF671i!

 編集部松下: J-フォン 「J-SH07」

J-SH07

 Javaやカメラ機能、Bluetooth対応、次世代サービスなど、高機能化が進んだ今年の発売機種からどれか1つだけ選ぶベストケータイ……なかなか迷うところです。携帯電話はやはり毎日持ち歩いて手にするものなので、見た目やデザインにはこだわりたいと思うのですが、デザイン重視で言うならアンテナ内蔵型で部分的にスケルトンの筐体をあしらった「D503iS」が、今年出た機種ではいちばん斬新でNo.1。でも、やはりデザインだけでは実際に購入する決め手にはできないので、機能に着目した場合ですと、今年ケータイに搭載された新機能で私が最も注目したのは、カメラ機能。

 カメラ機能で言うなら、auのパシャパだと撮影してから携帯電話に接続するため、突然撮りたいものがあった時を想定して常にケータイと一緒にパシャパを単体で持ち歩くというのが、ものぐさな私としてはちょっと面倒くさい。となると、J-フォンやツーカーのカメラ内蔵型の機種が気軽に楽しめて良いのですが、その中でも特にシャープ製の「J-SH07」は、カメラ機能に加えてJava対応、6万5536色TFT液晶と3拍子揃っており、実際に使用してみるとカメラのレンズが本体を開いた時の上部の背面に装備されているのが、操作ボタンの裏側にあたる背面に位置するよりも撮影しやすく使い勝手がよい。また、着メロのアレンジ機能も幅広く用意され、あらゆるパターンの音色アレンジが楽しめて気が付くと没頭している。

 そんなわけで、手軽に楽しめるカメラ機能とその他のバランスから、私は今年のベストケータイに「J-SH07」を選びたいと思います。ちなみに、カメラ機能を飛躍してテレビ電話機能が利用できるFOMAの「P2101V」も魅力的だったんですが、テレビ電話を楽しめる相手(=端末)やサービスエリアが整わなければ実用的ではないし、通信料の低廉化も待ちたいところです。

 編集部伊藤: au 「C1002S」

C1002S

 今年のケータイ業界は本当にトピック満載の年だった。J-SH07にも惹かれまくったし、FOMAのビジュアルフォンも十分楽しんだ。が。実はわたし、プライベートライフではほとんど通話しないしメールもしない。ケータイをあんまりコミュニケーションツールとして使っていないのである。事実、iモード端末とcdmaOne端末の2台、ともにいっちばん安い通話料込みのプランを契約しているが無料通話分なんて使い切ったことがない。となると、マイ・ケータイに必要な絶対条件とはなにか。それは、いじくって楽しい「おもちゃ要素」や「アクセサリー要素」になるというわけ。

 その要件をピタッと満たしてくれるのが、わたしの選出端末、初のソニー・エリクソン製の「C1002S」なのだ。なにしろ、フツーに持ち歩いて、メールが来てるわけでもないのに、意味なくパカっと開いた時の、カチッという音の良さに悦に入ったり(NEC製端末と並び、折りたたみ端末でトップクラスだと思う)、質感の良くなったジョグダイヤルをクルクルピッピとやってみたり(ソニー製ならではの感覚)、いろんなカバーを着せ替えて楽しんだり、「道具」としてのケータイ以外の、おもちゃ要素が満載なのである。たしかに、ezplusやezmovie、eznavigationといったauの次世代サービスに対応していないのは残念だし、基本的なコンセプトは昨年出たC406Sと同じだ。が、この端末は、見た瞬間、触った瞬間にそんなことを忘れてしまい、「コレだっ!! コレしかねぇ!!」とわたしを狂わせる熱い物欲フェロモンを放っているように思うのだ。カラーバリエーションも、ホワイト、ブラックといった定番モノを抑えつつ「攻めの色」とも言える斬新なツートンカラーのオレンジを用意してくるあたりも心憎い。また、パッケージには3枚のパネルが標準添付されるが、他のカラーのユーザーと、着せ替えカバーをトレードしたりしても楽しいかもしれない。こんなわけで、カメラやJavaなどトピックがたくさんあった今年にあって、テクノロジーという意味では地味目ながら、デザインや着せ替えというビジュアル面で異彩を放つこの端末をいの一番に挙げたい。

 また、C1002Sのほかにも、ソニー製のEZweb端末は、昨年暮れに出た音楽再生機能のC404Sにはじまり、初の着せ替えケータイ&POBox搭載機C406S、日本初のBluetooth搭載機C413Sと、常に先進的、魅力的な端末だったように思う。次に何が出るのか。C1002Sを買ったばかりのわたしだが、期待感はふくれあがりまくっている。

 編集部横田: au 「C5001T」

C5001T

 auユーザーの私が今年の「俺のケータイ of The Year」に選んだのは「C5001T」。最後まで「C1002S」と迷った結果、やはり「eznavigation」「ezmovie」といった次世代サービス群に対応した端末を選んだ。

 さて、C5001Tといえば、まずなんといっても動画再生機能の「ezmovie」だろう。2001年12月現在で「ezmovie」に対応している携帯電話はこのC5001Tしかないので周りに自慢するにはうってつけ。残念ながら、長時間再生が必要となる映画やドラマを見るといったことはまだ難しいが、ちょっとしたすき間の時間にイチローのクリーンヒットやお気に入りのあのアイドルのムービークリップが見れちゃうのは、今までになかった全く新しいケータイの使い方といっていいだろう。

 また、「ムービーケータイ」と銘打っておきながら、位置情報サービス「eznavigation」にもしっかり対応していることも大きなポイント。ナビゲーションサービスをはじめ、ゲーム、タウン情報といろいろな応用が期待されるが、大きな需要が見込まれる歩行者ナビのような機能では、自分がどこを向いているのかが非常に重要な要素になるので、今後、電子コンパス機能の搭載が望まれるところ。

 「ezmovie」と「eznavigation」双方に対応したいわゆる「ムービーケータイ」はこれからどんどん新機種が発売されるだろうが、C5001Tではこれらの機能と、高精細の低温ポリシリコンTFT液晶を薄さ22mmのコンパクトボディにまとめたことがもっとも評価できるところだと思う。そのほかにも、連文節変換や、よく使う機能にすぐアクセスできるランチャー機能といった目立たない部分も従来機種よりブラッシュアップされており、そしてなんといっても、気になるお値段が新規で2万円前後と、抜群にコストパフォーマンスが良いのも見逃せない点だ。

 以上の理由から、私の「俺のケータイ of The Year」は、「eznavigation」「ezmovie」に対応したC5001Tを選びたいと思う。


2001/12/27


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