俺のケータイ of the Year

AQUOS CRYSTAL X

AQUOS CRYSTAL X

石川温 編

「AQUOS CRYSTAL X」

 ここ2~3年、正直に言って、スマホの進化に「閉塞感」を抱いていた。確かに大画面化やチップセットの進化はあるものの、どれも似たり寄ったりのデザインで、違いがないに等しい。家電量販店やキャリアショップの店頭で、ちょっと離れたところから商品棚を見ると、どれがどれだかさっぱりわからないということも多かった。スマートフォンが出た当初から「デザイン面での差別化がしにくい」と各メーカー担当者がぼやいていたが、まさにここ数年は、デザインの進化もなければ、スペックの進化も一段落してしまい、スマホの新製品に「ワクワク感」を抱けなくなっていたのだ。

 そんな中、今年「やっぱりデバイスメーカーは強いな」と感じたのが、サムスン電子「GALAXY Note Edge」とシャープ「AQUOS CRYSTAL」だった。GALAXY Note Edgeは言わずと知れた曲面ディスプレイ。AQUOS CRYSTALはついに登場したフレームレス構造は、かなりのインパクトと言えた。

 AQUOS CRYSTALは、日本ではなく、アメリカ・ニューヨークでスプリントのMVNOであるブーストモバイル版を購入した。購入後、街中で使っていると、現地の人に「そのスマホ、クールだな」と声をかけられた。やはり、あの狭額縁がもたらす衝撃は、世界共通なんだと知った気がした。ソフトバンクとスプリントの共同開発、共同調達はかなり微妙な雰囲気になりつつあるが、シャープには是非とも踏ん張ってもらって、海外展開を積極的に進めてもらいたい。

 AQUOS CRYSTALの存在感は大きかったが、やはりこのタイミングになってくると、AQUOS CRYSTAL Xのほうが、俄然、お気に入り度は高くなる。何と言っても画面が大きく、狭額縁のメリットがさらに出てくる感がある。本当に画面だけを持ち歩いている気にさせてくれるのだ。

 おサイフケータイやワンセグに対応しているのも魅力だ。また、デザイン面でも、電源ボタンやカメラのレンズ部分に金属を用いており、AQUOS CRYSTALよりも質感が高くなっているのもうれしいところだ。ソフトバンク向けのシャープハイエンドモデルとして、充分な仕上がりとなっている感がある。

 個人的に気に入っているのが、画面キャプチャの機能だ。画面の上部を左から右になぞると、簡単に画面キャプチャが撮れる。ライターとして、アプリのレビューなどで画面キャプチャを撮る機会が多いのだが、これほど簡単に画面キャプチャが撮れる機種も珍しい。仕事でアプリのキャプチャが必要な人は是非ともこの機能を活用すべきだと思う。もちろん、一般の人でも、メールや地図など、ちょっとメモをしたいときに画面キャプチャを撮る人が多くなってきている。そんな人にも間違いなくオススメだ。

 AQUOS CRYSTAL Xからは設定を変えると、画面上部を右から左になぞると、撮った画像をすぐに呼び出せるという機能も付け加わった。これで思う存分、画面キャプチャをとって、読み出しまくれるというわけだ。

 ディスプレイの進化は、ケータイの時代から、誰もがわかりやすく、また誰でもメリットが享受できるため、常に各メーカーが追ってきた分野と言える。先日、シャープのディスプレイを担当する幹部に話をする機会があったのだが、その人によれば「スマホのディスプレイでも4Kになる目処が見えてきた。スマホでも紙のグラビアを超える時代が来るのではないか」という。スマホで解像度が上がると、バッテリーの消耗が問題になったり、操作の反応がもっさりとするといったデメリットも気になるが、やはり「スマホで4K」は見てみたい気がする。

 将来的に「AQUOS CRYSTALシリーズで4K」なんてのも夢ではないとすると、スマホの進化にはまだまだ期待しても良いのかも知れない。

石川 温