iPhone駆け込み寺

iOS 15では「iOS 15にアップデートしない」という選択肢も可能になる?

 9月21日、「iOS 15」へのバージョンアップが提供される。本稿執筆時点ではまだ正式版は登場していないが、いくつかの新機能のうち、実は「iOS 15」から、これまでのiOSにはなかった「アップデートをしない選択肢」が用意される。これは「iPadOS」でも同様の仕組みが用意される。

 アップルはiOS 15の特徴紹介のページでは、「2つのソフトウェアアップデートバージョンのどちらをインストールするか、設定アプリで選べる場合がある」とアナウンスをされている。

 iOS 15はまだ一般配信が開始されていないので、どういった形式になるかわからないが、たとえばiOS 14の入ったiPhoneを使っているユーザーは、iOS 15のソフトウェアアップデートが公開された後も、「iOS 15にアップデートする」だけでなく、「iOS 14.xを使い続ける」という選択肢も選べるようになる、と考えられる(編集部注 21日11時40分 iOSのバージョンアップ画面のスクリーンショット2点を追加しました)。

iOS 14.8にしたiPhoneでは、設定内にある「ソフトウェア・アップデート」にアクセスすると、「iOS 15」へのバージョンアップが画面下部に
iOS 14.8にしていないiPhoneでの画面。上部に14.8、最下部に15へのアップデートが案内される格好

 これまでも自動アップデートをオフにして、アップデートボタンをタップしなければ、アップデートしないでいることは可能だった。

 しかし最新バージョンにできないと、最新のセキュリティパッチなどが提供されず、iPhoneが危険に晒される可能性もあった。

 今後は「iOS 15にアップデートしない人」に向け、iOS 14にも重要なセキュリティパッチを提供し続けるようだ。

 実は似たようなことは過去にも行なわれている。直近では2021年6月、iOS 14にアップデートできない旧モデル(iPhone 6以前)向けに、脆弱性を修正したiOS 12.5.4が提供された。しかしこれはiOS 13/14にアップデートできるモデル(iPhone 6s以降)では利用できない。これをより新しいモデルでも利用できるようにしたというわけだ。

パフォーマンス

 「iOS 15にアップデートしない」という選択肢にはいくつかの側面がある。

アップルのiOS 15特徴紹介ページでの記述

 まずはパフォーマンスだ。

 古いiPhoneだと、新しいOSにアップデートしたとき、操作が重たくなるなどの弊害が生じる可能性がある。新機能での「OSバージョンアップをしない」という選択肢は、操作性の悪化を避けるために、あえてアップデートしないことを選べるようになるというわけだ。

 ただし、iOS 15は対応モデルがiOS 14と同じだ。必要なマシンパワーが極端に増えているわけでもないと推測され、そこまで重たくなることはないはずだ。もっとも「iOS 14ですでに重たい」というならば、それはもう買い換えタイミングである。

アプリがiOS15対応になるまで

 次に互換性だ。

 アプリによっては、開発の都合でiOS 15へ対応しない、というケースがありえる。開発スケジュールが間に合わずに対応アップデートが遅れることもあれば、そもそもアプリのサポート期間が終了していて対応予定がないこともある。

 そうしたケースでも、ユーザーからすれば「業務のためにそのアプリを起動しなければいけない」という場面があるかもしれない。仕事以外でも、ログインボーナスのためにアプリを起動しないとギルド団員に詰められるということもあるだろう(ゲーム脳)。そうした場合、そのアプリがiOS 15に対応するか代替アプリを見つけるまでのつなぎとして、iOS 14.xを使い続ける、という選択肢が選べるわけだ。

安定した環境を

 安定性もある。

 iOSはメジャーアップデート後、新機能がてんこ盛りで追加される代わりに、しばしば不安定になる。たとえばレジで使うiPadのようなデバイスであれば新機能の追加を急ぐこともない。不安定になるよりも、安定して使えているiOS 14を使い続ける、という選択肢を選べることには意味がある。

「SharePlay」も今後登場に

 筆者としてはOSは可能な限り、最新版へアップデートしていきたい。最新の各種機能が使えないのはちょっとつまらない。早くiOS 15/iPadOS 15の新機能「SharePlay」を使い、イイ歳こいたおっさんだけでシン・エヴァのオンライン視聴会を開きたいので、みんなiOS 15にして欲しいと思っている。

 だが、しばらくアップデートしない選択肢もアリだと思っている。OSの安定性が増し、対応アプリも出揃う数週間後まで待つのは悪くない。そもそもSharePlayだってiOS 15.0には搭載されず、対応アップデートは「年内」とされている。新機能目当てでも、iOS 15.1やiOS 15.2まで待っても良いと思う。

 一度、iOS 15にアップデートしてしまったあと、iOS 14にダウングレードする道が用意されるかは不明だ。少なくともパブリックベータ版の「iOS 15」をインストールしているiPhone 12 ProにはiOS 14に戻す選択肢は表示されない。容易に後戻りはできないかもしれないので、レビュー記事や評判が揃うまで、アップデートを待っても良いかもしれない。

 もちろん弊誌でも可能な限り早く、iOS 15/iPadOS 15のレビュー記事をお届けするつもりだ。いや、iPhone 13シリーズなどでも忙しい時期なので、スケジュール的に厳しいけど、でも可能な限り早くお届けしたい。