レビュー

ありふれた日常動画、なぜ人気? いま話題のvlogを作ってみる

 一説によると、世界ではじめてブログに投稿された動画は「ペット禁止のホテルに飼い猫を持ちこむ」というもの。

 Adam Kontrasという一般男性が2000年に撮影した、15秒の動画です。猫を無事に持ちこんだあとの、安心した雰囲気が伝わってきて、たわいもない内容なのに見入ってしまいます。

 このような日常を記録した動画はのちに「vlog」と呼ばれます。海外では、ひとつのジャンルとして注目を集めているんです。

 そして2019年になって、日本にもその影響が現れはじめています。「vlog」はなぜ話題になっているのか、その魅力とはいったいなんなのでしょうか?

元AKB48もはじめたvlogとは

 「vlog」とは、Video logまたはVideo blogを略した言葉。日常生活をラフに撮影・編集し、Webへアップロードした動画を指します。シンプルな編集が定番で、映像をつなぎ、字幕を入れる程度の加工が多いです。

 vlogは、「Vlog」や「VLog」とも表記されます。ここでは、その先駆者のひとりと言えるドキュメンタリー映画監督、Luuk Bouwman氏の作品表記にならい、「vlog」とします。

 市場調査会社であるGlobalWebIndexによると、世界のインターネットユーザーの約4割がvlogを視聴しています。特に、ラテンアメリカやアジアで人気です。

 2018年9月には、中国版TwitterことWeiboが「vlogger召集令」(※vlogger=vlogを発信する人)というプロジェクトを開始しました。これはvloggerを認証済のクリエイターとして支援するという内容。そんなWeiboでは、ハッシュタグ「#vlog#」を含む投稿の閲覧数が、約100億回となっています。このように、vlogは海外で人気のジャンルとなっています。

hibihibiによるチャンネル。休日に散歩したり、家を掃除したりなどなにげない日常を発信している

 一方、日本での動向はどうでしょうか。ジャストシステムの調査によれば、国内でvlogを視聴したことがあるのは約1割。まだまだ少ないですが、グーグルトレンドを見ると、YouTubeでの「vlog」の国内人気度は右肩あがりです。2019年6月時点では、過去最高の人気度を記録しました。一般の方が発信しているケースも多いのですが、芸能人や著名人によるvlogももちろんあります。

元AKB48の小嶋陽菜によるvlog

 WeiboやYouTubeだけではなく、TikTokなどのショートビデオプラットフォームでもvlogは人気のジャンルです。

 TikTokで「#vlog」と検索すると、その総再生回数は20億回となっています。Twitter、Instagram、Facebookなど他のSNSでもvlogは投稿されていますが、その名前がもっとも知られていそうなのはTikTok。運営が投稿のネタとしてvlogを提案していて、「#だれでもvlogger」というタグとともに、作り方を分かりやすく紹介しています。

共感を楽しむvlogは、情報源にもなる

 注目を集めつつあるvlogですが、どうして日常を記録した動画が人気なのでしょうか。どんな気持ちで見ればいいのか分からない、と感じる人もいると思います。

 vlogを見る人は、投稿者の生活に共感することを楽しんでいるようです。vlogには、「自分と似た生活してる」「同じもの使ってる!」といったコメントがたくさんよせられています。自然体な表現のvlogは親近感がわきやすく、コメントなどの交流もしやすいのでしょう。

 人の生活を覗くことは、共感して楽しめるだけではありません。調査プラットフォームのJAKPATによると、vlogを視聴する理由としてもっとも多いのは「新しい知識・情報を得る」ため。

 vlogは、人のリアルな生活を知ることで、自分の生活に役立てることができます。たとえば、1人暮らしの生活に備えるために、同じ立場の人のvlogを見ることもあります。コメント欄を見ると料理やインテリアを参考にしている人が多いようです。

リアル過ぎなくても大丈夫。vlogを作る魅力

 リアルな生活を覗くことができるvlogですが、多くの人にとって、ありのままの生活を動画で発信するのは、少し怖いこと。でも顔や自分の部屋まで写さなくても、vlogはもっと手軽に作れるんです。

筆者によるvlog。週末にちょっと遠出するのが趣味なのだが、風景だけでもvlogにするといい記録になる

 趣味を記録したvlogを発信すれば、そのうち同じ趣味、近い価値観の人とつながることもできるでしょう。いわばvlogは、手軽に自分を表現できるツールという面もあります。

 イベントに出かけたときなど、思い出を鮮明に残せるのもvlogの魅力。動画は、音・表情・しぐさなど、当時の雰囲気を一瞬で蘇らせます。また、ざっくりでも編集をすることで、見どころを分かりやすくし、楽しく動画を見返せるようになります。ストレージでいつのまにか見なくなった動画がある……なんて方は、vlogにしてみてはいかがでしょうか。

 実は、vlogの編集は無料アプリだけで簡単にできるんです。ここからは、vlogを5ステップで作る方法を紹介します。

優秀アプリ「VUE Editor」でvlogを作る

 「VUE Editor」は、かんたんにクオリティの高いvlogが作れるアプリです。iOS、Androidに対応しています。上に記載した、筆者によるvlogもこのアプリで作りました。

ステップ1:vlogにしたい動画をインポートする

このアプリでは、動画をストレージからインポートするか、直接アプリから撮影するかの2種類の方法がある。今回は、ストレージからインポートする

 画面左下のカメラアイコンをタップし、vlogにしたい動画を選択していきます。選択したら、画面下部の「インポート」をタップします。

 選択が終わると、編集画面が表示されます。画面中央の動画をドラッグすると、順番を変えることができます。あまり難しく考えずに、ざっくりと時系列順に並べるのがおすすめです。

 ちなみに、風景だけのvlogでも、電車が出発する場面などを冒頭に配置すれば、ストーリー感を演出できます。

ステップ2:動画の長さを調節する

黄色の枠内には選択した秒数が表示される

 次は、各動画の長さを調節していきましょう。調節したい動画を選択し(選択された動画は赤枠になります)画面左下の「クリップ」をタップすると、黄色い枠を操作して長さを変えられるようになります。完了したら、右上のチェックマークをタップします。

ステップ3:フィルターをかける

13種類のフィルターがある。まるで映画のような雰囲気になる

 画面中央の「フィルタ」をタップします。好きなフィルターを選び、「すべてに適用」をタップすると、動画全体に1つのフィルターが適用されます。

ステップ4:BGMをつける

100曲以上のBGMから選択可能

 次は、動画にBGMをつけていきます。その前に、ミュート機能を使いましょう。話し声や、騒音が入ってしまった動画を無音にできます。

 ミュートが完了したら、画面右下の音符マークをタップしましょう。BGMを選択し、「USE」をタップすると全体に適用されます。「編集」をタップすれば、BGMのフェードイン・フェードアウトも設定できます。

ステップ5:タイトルをつける

タイトルとは、動くロゴのような機能

 次は、vlogにタイトルをつけていきましょう。最初の動画に挿入して日付や地名を入れると、vlogの内容が一目でわかります。画面左下の「T」アイコンをタップして、「タイトル」をタップします。好きな文字を入れて、画面右上のチェックマークを押せば完了です。

 最後に、完成したvlogを保存します。

右上の「輸出」をタップすると、ストレージに保存される

 今回は紹介していませんが、「VUE Editor」には、字幕やスタンプといったほかの機能がたくさんあります。いろいろ触ってみるのがおすすめです。

各SNSのアイコンをタップすれば、そのまま投稿できる

 vlogは、日常という大きなくくりのものを映します。こうでないといけない、というルールはありません。記録しておきたい、発信したいことがあったら、なんでもvlogにしてみてください。きっとあなたの日常に合う、vlogの作り方が見つかるはずです。