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富士通が「らくらくスマートフォン3」を解説

2014年の「家族の形」を描き出すコミュニケーションツール

 富士通は、使いやすさを重視する「らくらくスマートフォン」シリーズの最新モデル「らくらくスマートフォン3 F-06F」を解説する説明会を開催した。担当者が登壇しコンセプトや機能を紹介したほか、後半には新テレビCMに登場する大竹しのぶが登場したトークセッションも開催された。

 「らくらくスマートフォン3 F-06F」は、NTTドコモから7月26日に発売される予定。外観デザインおよびユーザーインターフェイスをデザイナーの原研哉氏が担当し、持ちやすさや見やすさ、分かりやすさといった点を重視してイメージが刷新されている。一方、OSにAndroidを採用するが、Google PlayやGoogle製アプリなどは搭載されない独自色の強いモデルというコンセプトは継承されている。

 家族間のコミュニケーションを図れる「ファミリーページ」機能を搭載しており、ほかの家族から投稿された写真やメッセージを待受画面に自動的にスライドショーで表示するといったことができる。日本語入力システムは「ATOK ULTIAS for らくらく」が搭載されている。

「らくらくシリーズに求められる価値は多様化していく」

富士通 執行役員 モバイルフォン事業本部 本部長の高田克美氏

 23日に開催された説明会では、まず挨拶に富士通 執行役員 モバイルフォン事業本部 本部長の高田克美氏が登壇した。高田氏は、IoT(Internet of Things)などのこれから訪れる世界に、センシングやセキュリティの技術で幅広く展開していくという富士通全体の方針を示した上で、「現実的な視点では、昨年度は非常に厳しい事業環境となった。この経験を活かして構造改革も推進している。キャリア向けのビジネスは重要な基盤で、ターゲットを明確にした事業を展開していく」と今後の方針を説明した。

 そうした中でも「らくらくシリーズは(富士通として)累計2300万台を販売し、現在も900万件の契約者がいる重要な商品群になっている」と、らくらくホンやらくらくスマートフォンの位置付けを示し、「高齢化社会により、らくらくシリーズに求められる価値は多様化していく」として、ドコモと共にシニア層を開拓していく方針を語った。

 高田氏は、「らくらくスマートフォン3」についても触れ、過去にも2機種を担当し好評を博したという原研哉氏にデザインを依頼したことや、富士通としてシリーズが13年年目に突入し、「らくらくスマートフォン3」が20機種目のモデルであることを紹介した。

dメニューもシリーズ向けに最適化

NTTドコモ プロダクト部 担当部長の樋口健氏

 会場には、ゲストとしてNTTドコモ プロダクト部 担当部長の樋口健氏が登壇した。樋口氏は、らくらくホンシリーズが(富士通以外の製品を含めて)これまで21機種を発売し、2014年4月には累計で2500万台を販売したと紹介。2014年は、この日新たに発表されたフィーチャーフォンの「らくらくホン8 F-08F」を含めて、らくらくシリーズ2機種を新モデルとしてラインナップすることを紹介した。

 「らくらくスマートフォン3」向けでは、さまざまなニュースの配信も行う、リニューアルされた「dメニュー」や、ニュースを音声で読み上げる「まいチャネル」といった新サービスを解説。樋口氏からはこのほか、カケホーダイとシェアパックのドコモの新料金プランも、らくらくシリーズに対応するものとして紹介された。

正統進化の機能に「ファミリーページ」を追加

富士通 ユビキタスビジネス戦略本部 モバイルプロダクト統括部 統括部長の林田健氏

 富士通 ユビキタスビジネス戦略本部 モバイルプロダクト統括部 統括部長の林田健氏からは、「らくらくスマートフォン3」の詳細が解説された。林田氏はまず、シリーズ通してのユーザーの満足度の高さや、近年取り組んできたコミュニティサービス「らくらくコミュニティ」について、月間で17万件の書き込みがあり、「日常のコミュニケーションの活発化と定着が見られる」と、サービス面でも浸透している様子を紹介した。

 新モデルの「らくらくスマートフォン3」については、開発テーマが「使いやすくて、きれい。」で、使いやすさを分かりやすい形で綺麗に見せていくことが、原研哉氏から提案されたテーマでもあったとした。

 機能面では、太陽光下でも輝度を変えずに見やすさを調整するディスプレイや、シャッターボタンを押す動作による本体ブレを検知して直前の画像を保存する「インテリジェントシャッター」機能、暖色LEDを搭載し暖かみのある写真を撮影できる機能、ボタン感覚に近く軽いタッチで操作できるようになった「らくらくタッチパネル」、ケータイ入力とツータッチ入力を共存させた日本語入力の「ATOK ULTIAS for らくらく」、脳トレなどのプリインストールゲームなどが紹介された。

 林田氏からはサービスとして「ファミリーページ」も紹介された。「核家族の世帯が6割を占めるといわれる現在、子供はメール・電話からSNSに移行している。では親世代は? という、コミュニケーションの課題がある。調査をすると、親と子供の間には、コミュニケーションしたいけれどできないといった実情がある」と林田氏は現在の課題を指摘し、家族、端末、SNSを融合したものが「ファミリーページ」であるとした。「ファミリーページ」において、親と離れて暮らす子供の側が投稿時に使うアプリは、Android、iOS向けに無料で配信される。

「特別なものではなく、扱いやすくて綺麗なものを」

デザイナーの原研哉氏

 外観デザインとUIを担当したデザイナーの原研哉氏は、ボディについて、これまで手がけてきたデザインも紹介しながら「丸い、まろやかな形を目指した」と説明する。画面については、当初の案ではアイコンが使用頻度順に整然と並んでいたところを、らくらくスマートフォンの前モデルの配置などからかけ離れた内容にならないように融合させていった様子を紹介し、「スマートフォンの画面は編集しやすく、高齢者向けに有効だと思う。きちっと整理・編集したデザインにすることで、(高齢者向けのデザインが)有効に働くのではないか。それができたと思い、喜んでいるところ」などとポイント語った。

 配色についてはボディカラーを反映させたものになっているが、ぱっと見はモノトーンに近い構成。「ボタンはある程度立体化した。色については、前モデルでは識別性のために付けられていたが、ターゲットの50代以上は、老人というより熟年層。特別なものではなく、扱いやすくて綺麗だというものを考えた。画面に必要な色は、必要な時に出てくる、そういう色彩設計が機能的にしかけられている」と解説し、文字フォントについても半角カナを排除し、見やすさや綺麗さにこだわって選ばれた様子が説明された。

 原研哉氏からは、シニア層とテクノロジーについても言及された。「2000年代の60代は老人というイメージで、14年前、60代の人が使うケータイというのは、特殊なものが想像された。しかし今日の60代は老人ではない。高齢者ではあるが、携帯端末を使う。これを使いこなせることが、日本の社会にとっては重要なことになるのではないか」。

 同様に原氏は端末のテーマである家族にも触れる。「現在の家族は、従来のような、一つ屋根の下で暮らしているわけではない。離散型だが、通信でつながっていく家族、それが日本の家族の姿だ。それ(コミュニケーション)がスムーズにできるかが携帯端末の課題」と家族とコミュニケーションの関係についても語った。原氏は最後に、「高齢者向けはシビアに使いやすさが問われる。自信のあるデザインに仕上がっている。注目してもらえれば」と自信の程も語っている。

「ガラケーから切り替える人がいたら、これがいいと思う」

 説明会の後半には、新しいテレビCMに出演する大竹しのぶが登場した。大竹しのぶは、富士通のCMに起用されてから10周年を迎えており、すでに40本のCMに出演したという。新たな「らくらくスマートフォン3」と手にして、「本当にスマートな形。使っていてウキウキすると思う。ガラケーから切り替える人がいたら、これがいいと思う」とコメント。「ファミリーページ」をすでに試用してみた様子も語り、娘のIMALUから送られてきた、IMALUの愛犬二匹の写真を公開。「(IMALUとは)一緒に暮らしているので、実際に会うんですけどね」と笑いを誘いながら、誕生日を祝うコメントが付けられた画面も披露した。

 大竹しのぶは「子供は大きくなってもやっぱり(親にとっては)子供で、今日はちゃんと食べたのかな? とか思ってしまう。コミュニケーションは大事だと思う」と、親の視点からのコミュニケーションの大切さを説いていた。

大竹しのぶ

会場での展示

らくらくホン8

太田 亮三