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KDDI、大規模災害時に稼働する「大ゾーン基地局」導入

 KDDIは、大規模災害の発生時に、半径7km以上と通常よりも広い範囲をカバーする基地局「災害用大ゾーン基地局」を導入した。まずは首都圏10カ所への導入が完了している。

 「災害用大ゾーン基地局」は、大規模な災害が発生して、多くの基地局が利用できない状況に陥った場合に稼働する基地局。通常の基地局は、都市部では数百m、郊外でも数km程度の広さをカバーしているが、大ゾーン基地局は半径7km以上をカバーする。大ゾーン基地局と通信センター(コアネットワーク)の間は光ファイバー回線と無線通信で二重化して結ばれている。

 全てのユーザーの通信が行える、というものではなく、緊急通報や公的機関などが保有する災害時優先電話が優先的に繋がる仕組み。大ゾーン基地局があることで、被災地の行政機関などとその他の地域で連絡を取りやすくする。

 KDDIでは、まず東京都の新宿区、千代田区、江東区、立川市、西東京市、千葉県の千葉市と船橋市、埼玉県の川口市と八潮市、神奈川県川崎市の10カ所で災害用大ゾーン基地局を設置。同時に利用できる端末数は、音声通話で100~150回線、データ通信では3Gで約100回線、LTEで約400回線となる。なお利用する周波数は800MHz帯と2GHz帯となる。

 今回のKDDIの大ゾーン基地局は、国内で初めてLTEにも対応したもの。既に同様の基地局はNTTドコモが展開しているものの、音声通話を確保できることを主目的にしたもので3G対応版となっているが、ドコモでもLTE対応の大ゾーン基地局を今後検討していくとしている。

 KDDIによれば、首都圏以外での展開は未定だが、被災想定を踏まえて検討していく方針。

関口 聖