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NVIDIA、国内で「Tegra K1」を披露
(2014/1/30 15:59)
エヌビディア ジャパン(NVIDIA)は、モバイル向けチップ「Tegra K1」に関する記者向けの説明会を開催した。開発された背景や概要が語られたほか、試作機でのデモンストレーションも披露された。
NVIDIAの「Tegra K1」は、1月初旬に米国で開催された「2014 International CES」で発表されたもの。複数の機能を1チップに搭載するSoC(System-On-a-Chip)として、同社の「Tegra 4」の後継にあたるもので、グラフィックス処理や物理演算処理などに効果を発揮するGPUを、消費電力を抑えながら大きく強化したのが特徴。「Tegra K1」を搭載するモバイル端末は2014年上半期に登場すると案内されている。
「Tegra K1」にはGPU部分とCPU部分の大きく2つの要素がある。GPU部分は、デスクトップパソコン向けグラフィックスカードに搭載されるGPU(GK104)と同じ世代であるKeplerアーキテクチャを採用したことで、「Unreal Engine 4」やCUDA 6.0を含む、最新のグラフィックス処理の手法や機能に対応でき、簡単にモバイル端末向けゲームなどにも適用できるようになるとする。なお、名称が「Tegra 5」ではなく「Tegra K1」となったのは、Keplerアーキテクチャの採用に由来するという。
パソコン向けや据置型ゲーム機向けのゲームタイトルでは、大規模な開発による大作を、グルーバルに、マルチプラットフォームで展開する流れが加速しており、パソコンと同じアーキテクチャを利用できる「Tegra K1」の環境は、こうしたゲーム業界の流れを支援するものと位置付けられている。また、AAAタイトルと呼ばれるようなビッグタイトルが、モバイル向けにも期間を置かずに移植されることも可能になるとしている。
64bit版の詳細は今後案内、オートモーティブ分野にも注力
CPU部分では、32bit版と64bit版がラインナップされる予定。64bit版は32bit版とピン互換で、CPUにNVIDIAが独自に開発するDenverコアを2.5GHz駆動のデュアルコアとして搭載するなどの違いがある。利用目的や消費電力などの詳細は改めて案内される予定。グルーバル市場においては、64bit版は2014年の下半期に登場すると案内されている。
NVIDIAは、自動車関連のオートモーティブ分野にも注力しており、これまでNVIDIAがワークステーションなどで支援してきたデザインや設計、シミュレーションなどでの支援に加えて、車載コンピューターとしてTegraを提供し、車内にて情報処理や表示を行う取り組みも行われている。実際にいくつかの市販車には「Tegra」シリーズが搭載されているほか、今後活発化する自動運転分野では、カメラ処理を含めた、さらなる情報処理速度が求められるとしており、最新のTegraシリーズを投入していく方針。
30日の説明会では、実機をイメージした端末上でデモンストレーションも行われた。端末は「Tegra Note 7」の筐体をベースに「Tegra K1」を搭載し、ディスプレイもフルHDに強化された仕様になっていた。
デモは、さまざまな質感や光の効果を確認できるリビングルームを表示するデモ、リアルな男性の顔を表示し、リアルタイムに演算された効果を確認できるデモ、光の透過や反射と物理演算を組み合わせて表示するデモ、パソコン向けゲーム「Trine 2」を「Tegra K1」向けに移植したゲームのデモの、4種類が披露された。革の質感やカーペットの毛羽立ちなどがリアルに描かれているほか、透明な支柱で光が屈折する様子や破砕時に光の反射なども再現。人の顔を表示したデモでは、肌の表面や耳の薄い部分で光が透過するなどの処理により、リアルな質感を再現している様子が確認できた。
「Tegra K1」はまた、モバイル向けとして最大5Wという徹底した省電力を実現したのも特徴で、アーキテクチャレベルでの電力削減、ASICレベルでの最適化、リーク電流が少ない製造プロセスの採用、フレームバッファの圧縮などでメモリなど「Tegra K1」の外にあるチップへのアクセスを低減し省電力を図る仕組み、ローレベルでの最適化といった仕組みを積み重ねて、最大5Wという低消費電力を実現したと説明された。
このほか、ゲーム関連の取り組みでは、「Tegra 4」搭載のAndroid端末で、NVIDIAのGPUを搭載したパソコンのリモートプレイも行える「SHIELD」についても、最新のTegraを搭載していくとう当初の方針に変わりはないとしており、Tegra K1バージョンが登場する可能性があることを示唆している。