クアルコムとエリクソン、LTEからW-CDMAへ通話切替実験に成功


 クアルコムは、エリクソンとともに行った実験において、LTEネットワークからW-CDMAネットワークへ音声通話のハンドオーバー(切り替え)に成功したと発表した。SRVCCという技術を用いた実験で、2月下旬に開催される「Mobile World Congress」で紹介される。

 LTE方式は、通信速度を向上させた新世代の通信規格で、国内ではNTTドコモの「Xi」(クロッシィ)に用いられている。現在はデータ通信サービスのみ提供されている状況だが、将来的には、LTE網を利用したIP電話「VoLTE」(Voice over LTE)の実用化が期待されている。一方で、世界各国において、通信事業者がエリアの隅々までLTE網を拡げるには一定の時間やコストがかかるため、3Gや2Gといった従来のネットワークも併存する見込み。そのため、LTEネットワークと従来のネットワークをまたいでシームレスに通話できる技術が必要となっている。

 今回両社では、SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)という技術を用いて、LTEからW-CDMAへ通話をハンドオーバーする実験に成功した。SRVCCは業界団体の3GPPで策定された仕様で、LTEと従来のネットワークをまたぐ通話を実現する。実験はクアルコムのSnapdragon S4シリーズのチップセット「MSM8960」を搭載した端末と、エリクソンのネットワークを使った。世界の通信事業者では、SRVCCの前段階にあたる技術としてCSFB(回線交換フォールバック)という技術の導入も選択肢に入っている。クアルコムでは、CSFBとSRVCCの両方を1つのチップでサポートすることで、端末にLTEと3Gのモデムチップを1つずつ搭載する必要がなくなり、部品コストの低廉化、端末サイズの小型化や低消費電力化が可能になるとしている。

(関口 聖)

2012/2/3 15:00