PHSで通話も可能なシニア向けデジタルフォトフレーム「Luna」


デジタルフォトフレーム「Luna」

 T.MAPは、PHS通信モジュールを搭載し、通信機能に加えて通話もできるシニア向けのデジタルフォトフレーム「Luna」(ルナ)を4月25日に発売する。3年間の通話・通信料を含んだ価格は、4万2800円。当初は法人向けに展開され、個人向けの販売も決まり次第、順次案内される。

 今回販売される「Luna」は、主にシニア層の利用を想定し、操作の分かりやすに注力したデジタルフォトフレーム。PHS通信モジュールを内蔵し、メールや写真を受信できるパケット通信機能に加えて、本体内蔵のマイクとスピーカーを利用し、PHSによる通話も行える。OSにAndroid 2.1を採用するが、エンドユーザーによるカスタマイズ機能などは用意されない。

 画面の上部に6つのボタンを備えており、操作はすべてこのボタンで行う。ボタンはソフトウェア切り替え式で、画面にはシーンに応じてボタンの機能名が表示される。タッチパネルには対応していない。また、画面右の縁には「入/切」ボタンが用意され、画面のバックライトを消すことができる。電源ボタンは用意されておらず、ACアダプターを装着すると電源がオンになる。

 通話・通信機能は、T.MAPがウィルコム網を利用するMVNOとして提供する。通話では、本体に発信先のPHS(ほかの「Luna」でも可能)電話番号を1件のみ登録でき、「発信ボタン」を押すだけで電話をかけられる。登録した1件への通話(発信)は、かけ放題となる。あらかじめ登録しておく発信先の電話番号は、T.MAPに申請することで変更できる。着信については、携帯電話や固定電話などからの着信にも対応。本体内蔵のマイクとスピーカーを利用したハンズフリー通話となり、届いた写真を見ながら通話することもできる。本体にはイヤホン端子も用意されている。

 通信機能により、受信したメールの本文と添付された写真を閲覧可能。写真はスライドショーで楽しめるほか、管理機能も備えている。メールが届くと「ありがとう」ボタンを押すことができ、これを押すと自動的にメールが返信され、受信や在宅の確認、安否確認として利用できる。

 なお、Luna本体に届く写真は、サーバー側で1枚あたり150KB程度に圧縮される。通信量制限も設けられており、Lunaで受信できる写真は月あたりで約10MB。枚数にして約60枚となっている。また、本体のSDカードスロットを利用し、SDカード経由で写真のやり取りも行える。

 ディスプレイは9インチ、800×480ドット、約1670万色表示のTFT液晶。内蔵メモリは2GBで、最大8GBまでのSDHCカードを利用可能。USB端子が用意されるが、メンテナンス・拡張用で、エンドユーザーは利用できない。表示可能な画像ファイルフォーマットはJPEG。大きさは265×184×88mm。重さは約640g。本体カラーはパールホワイト。

 なお、4年目以降の通話・通信料については、T.MAPとの契約を延長する形になり、年間6300円の定額制になる見込み。

上部のボタンで操作するメールの本文も閲覧可能
設定画面「Luna」から、あらかじめ登録したPHS(左)に発信したところ
「Luna」に着信しているところ通話中の画面。「写真表示」ボタンを押せば、通話しながら写真を閲覧できる
側面通話用のスピーカーとSDカードスロット。USBは利用できない

 

「取扱説明書を見なくても高齢者が使える」

左から、トライウィン 代表取締役社長の中城正一氏、副社長の武内清氏、T.MAP 代表取締役社長の齊藤杉峰氏、ウィルコム 執行役員 法人事業本部長の鈴木龍雄氏

 21日には都内で記者向けに発表会が開催された。T.MAPの親会社であるトライウィン 代表取締役社長の中城正一氏は、冒頭の挨拶で「完成度の高い商品になっている。ご期待いただきたい」と自信を見せ、「取扱説明書を見なくても高齢者が使える、というのがコンセプト」と、分かりやすい操作体系をアピールした。同氏はまた、東日本大震災の被災地で仮設住宅が建築されることを受け、「全部にLunaを置けないか、検討している」と、被災地支援として取り組む姿勢も示している。

 T.MAP 代表取締役社長の齊藤杉峰氏からは、高齢者や介護・医療といった分野をターゲットにした開発背景が語られ、低電磁波などの理由でPHSを採用し、今後の汎用性や拡張を考慮してAndroidを選んだことや、タッチパネルの操作に馴染めない高齢者向けに大型ボタンのみの操作体系としたこと、通話料金を含めて価格を抑えたことなどが紹介された。

 同氏からは応用例として、集合住宅への一括導入や、病院のベッドサイドでの利用、独居老人の見守り用といった例も示された。

 ウィルコム 執行役員 法人事業本部長の鈴木龍雄氏は、「ペースメーカーを使っている人でも安心」と、4000以上の病院に採用されているというPHSの強みを挙げ、高音質な通話の性能についても紹介した。

 発表会ではこのほか、NPO法人のEBH推進協議会が、取り組みの中で「Luna」の採用を前向きに検討していることが担当者から説明された。また、知的発達障害者によるスポーツ競技会を提供する国際組織「スペシャルオリンピックス日本」にLunaが100台寄贈されることも発表されている。

実際に「Luna」を使い、福島県南相馬市在住の70歳代の男性(武内氏の兄)と通話するデモが実施された
4つの特徴ターゲットと仕様
安否確認に利用可能Android採用で将来的な拡張性を持たせたという
音声通話で高齢者向けのコミュニケーションも提供通話料込みで価格を抑えたとした
低電磁波や簡単操作、音声通話中心という高齢者向けの特徴見守り端末としてもアピール

 

(太田 亮三)

2011/4/21 18:23