GALAPAGOSの電子書籍がAndroid端末で利用可能に


 TSUTAYA GALAPAGOSは、シャープ製のAndroid端末向けに電子ブックストアサービスの提供を開始すると発表した。ユーザーは、専用アプリ「GALAPAGOS App for Smartphone」をインストールすることで、専用端末(メディアタブレット「GALAPAGOS」)とほぼ同等のサービスを利用できるようになる。アプリは、シャープのメーカーサイト「GALAPAGOS SQUARE」およびAndroid Marketから無料でダウンロードできる。

 従来、TSUTAYA GALAPAGOSのサービスは、シャープ製の専用端末でしか利用できなかったが、今回のアプリ提供により、シャープ製のAndroid端末でも利用できるようになった。現時点での対応端末は、SH-03C、IS03、IS05、003SH、005SH、DM009SHの6モデル。アプリとしては、Android 2.1以上をサポートしており、前述6モデル以外でダウンロードした場合、非対応であることが案内される。なお、シャープ以外のメーカーの端末への対応については検討中とされている。

 スマートフォン向けのサービスは、基本部分は専用端末向けに提供されているものと同等となるが、一部異なるところもある。スマートフォン版では、より手軽に電子書籍を体験できるように「ゲストモード」が用意され、ログインせずにストアの中を確認し、立ち読みできるようになっている。専用端末では、最初にユーザー登録しなければストアにアクセスできない仕様となっている。

 また、専用端末ではPCアプリ連携機能が用意され、購入した電子書籍のデータをパソコンにバックアップすることができたが、スマートフォン版ではこの機能は省略され、クラウド化が進められた。これに伴い、専用端末とスマートフォンの間でアカウントを共有し、どちらの端末でも同じコンテンツを閲覧できるようになった。現在のところ、1ユーザーアカウントあたり3台までの利用が可能となっている。

 スマートフォン版では、アプリがバッググラウンドに常駐する形になり、定期配信コンテンツなどが自動でダウンロードされた場合、メールなどと同様、ステータスバーにアイコンが表示され、更新されたコンテンツの存在を知らせる機能が用意される。

 さらに、国際ローミング中には、バックグラウンドでパケット通信しないように定期配信機能をOFFにできる機能、定期配信OFF時や通信できずに自動配信が受けられなかった際に手動でコンテンツの更新チェックを行う機能も用意されている。

 電子書籍コンテンツは、各スマートフォンのディスプレイサイズの横幅にページ単位でフィットさせる。ページレイアウトが崩れることはなく、ページのレイアウトによっては、黒帯を入れて画面を調整する。画面の拡大縮小はスムーズに行える。

 決済方法については、現時点では専用端末と同様にクレジット決済のみに対応する。シャープでは、ユーザーのニーズを踏まえてキャリア決済の導入なども検討していく方針だ。

 なお、専用端末では日本経済新聞の電子版や日経BPの雑誌が配信されているが、スマートフォン版ではこれらのコンテンツは提供されていない。



シャープの千葉氏

 発表会に登壇したシャープのネットワークサービス事業推進本部長である千葉徹氏(執行役員 工学博士)は、GALAPAGOSのサービスについて、端末をネットワークサービスを融合させたものと説明。総合家電メーカーとして、シャープはこれまでハードウェアの開発に注力してきたが、ハードウェア単体の売りきり型のビジネスだけでなく、ネットワークやクラウドを融合させたサービスプラットフォーム基盤も本格的に提供することになる。同氏はユーザーに対して「わくわくして楽しいと思えるような価値を作っていきたい。技術力と日本のきめ細やかさをアピールしていきたい」と抱負を語った。

 また、商品企画担当の松本融氏は、「家電メーカーとして初のサービス、家電メーカーらしい、新しい生活習慣を提案していこう」と、GALAPAGOSサービスの意義を述べた。12月のサービス開始から3カ月が経過し、同氏は“よちよち歩き”と表現しつつ利用者の傾向を紹介した。

 専用端末についてシャープでは当初、30~40代をメインターゲットに据えていたが、50代の利用者が想定より多いという。利用者は40代が3割、30代と50代がそれぞれ2割程度で構成されている。今回のスマートフォン版の提供は、スマートフォンの中心利用者層である20~30代にアプローチするもので、利用拡大に繋がるとしている。

 なお、専用端末は、ディスプレイサイズによって、5.5インチと10.8インチの2タイプがラインナップされている。5.5インチモデルは書籍や雑誌、新聞の各電子書籍がバランスよくばらけているのに対して、10.8インチモデルは雑誌の比率が4割弱と高い。専用端末では毎月10%のユーザーがコンテンツを購入しているという。

 シャープでは今後、スマートフォンを皮切りに、動画コンテンツの配信を計画している。さらに液晶テレビなどへの展開へも展開し、マルチデバイス対応で展開していく方針だ。





(津田 啓夢/湯野 康隆)

2011/3/2 13:14