ソフトバンクが障害者支援ワークショップ公開、iPhoneなど活用


ワークショップの模様

 ソフトバンクモバイルは、同社がCSR活動の一環として協力している障害を持つ若者向けの大学体験プログラム「DO-IT Japan 2010」のワークショップの模様を公開した。

 「DO-IT Japan 2010」は、障害や病気を持つ若者の大学進学や就職を実現するための支援活動として、高校生が大学や企業を訪問し講義を体験する夏季プログラム。ソフトバンクモバイルは、今年で4年目を迎える同プログラムに2007年より協力している。

 同プログラムを運営する東京大学 先端科学技術研究センター(RCAST)の巖淵守准教授は、「DO-IT Japan」の目的について、障害や病気を抱える参加者がコミュニケーションする力をつけつつ議論を重ね、社会に存在するバリアを解明しながら、多様性のある開かれた社会の実現を目指すものと説明した。

 毎年10名が選抜され、これまでに42名が参加、その半数が大学に進学している状況という。なお、参加者の障害の種類は問わずに選抜されるとのことで、2010年のメンバーも肢体不自由者や盲ろう者、聴覚障害者などさまざまだ。2010年のプログラムにはソフトバンクモバイルのほか、マイクロソフトや富士通なども協力している。


RCASTの巖淵氏ソフトバンクモバイルCSR推進部の梅原みどり氏

 巖淵准教授は、「テクノロジーはスカラー(プログラム参加者)たちにとって、彼ら自身の生活を最大限に支えるツールになる」と意義を語り、iPhoneに代表されるさまざまな用途に使える携帯機器が、障害者にとって健常者以上に必須のツールであるとした。同氏は、「これまで辞書をめくることができなかった子供が、画面をなでることで辞書がめくれるようになる」などと話していた。

 また、今回の夏季プログラム中のエピソードとして、弱視の参加者が新宿において、通常なら10分で行けるところに1時間かかったことが紹介された。自らの生活圏など慣れた場所であれば苦労はしないものの、障害者には置かれる環境が変わった際の対応の難しさがあるとした。巖淵氏は積極的にモバイル機器の活用をすすめているとのこと。

 現在、障害を抱える大学生は全国に6000名ほどいるという。RCASTでは2020年にこれを4万人まで増やしていきたい考え。巖淵氏は「大学はまだまだバリアフル、テクノロジーで生活を支え、将来的には就職にもつなげていきたい」と語った。



ワークショップ

 ソフトバンクモバイルでは、CSR活動として「障害を持つ子供にITで夢を支援する活動」を実践している。「DO-IT Japan」への協力もこの方針に沿ったもので、同社の経営資源を活かした「ソフトバンクだからこそできる支援」を行っているという。

 「DO-IT Japan」の企業体験ワークショップでは、参加者らが高感度NO.1を目指し、料金プランとCM企画作りにチャレンジした。ソフトバンクモバイルの料金プラン作っている料金企画部、そしてCMを担当するマーケティングコミュニケーション部からそれぞれ担当者が出席し、料金プラン作りの難しさやポイント、CM企画の流れなどを説明した。

 なお、前述の通り参加者の障害はさまざまであるため、ワークショップでは説明者が話した内容をBluetooth経由で飛ばし、テキスト化してiPhoneやiPadに随時表示させる試みなども行われていた。


ワークショップテレビCMの企画シート
音声をBluetoothで飛ばし、キーパンチャーがテキスト化して再び配信iPhoneでの表示
iPadも用意されたiPadでの表示
料金プラン作りに挑戦盲ろうの参加者には手話士が同行しており、手話に触れながら参加していた

 

(津田 啓夢)

2010/8/6 18:18