Movidius、Android端末で動画編集が可能な半導体ソリューション


Movidius Myriadプラットフォームのマルチメディアプロセッサ。65nmプロセスで、8コアを搭載、20ギガフロップスを実現する

 Movidius(モビディウス)は、携帯電話向けマルチメディアプロセッサのプラットフォーム「Myriad」(ミリアッド)において、Androidに対応したバージョンを発表した。リアルタイムの動画編集や効果の追加など高い処理能力と機能が特徴で、動画のほか静止画カメラの処理も可能。Android版を発表したことで、スマートフォンを開発するメーカーに向けて提供していく。

 今回発表されたのは、8つのコアで最大20ギガフロップスを実現するというマルチメディアプロセッサとソフトウェアからなるプラットフォーム「Myriad」のAndroid版。同プラットフォームを利用したアプリケーションでは、リアルタイムでの動画編集、高画質化機能を備えたカメラ機能を備える。また、2つのカメラを制御でき、3D画像の撮影・表示が可能なほか、2つのカメラを使った効果として、高ダイナミックレンジ画像の生成や超解像、被写界深度調整、超ワイドパノラマ撮影なども可能になっている。

 半導体製品としては「MA1100」「MA1102」の2つがラインナップされており、映像・画像の編集と効果の追加、再生、動画の高画質化といった機能に対応する。「MA1102」ではさらに、720pのHD動画の撮影と再生、12メガピクセルの画像撮影にも対応している。なお、「Myriad」プラットフォーム全体では、ワンセグやフルセグ、ゲームの物理エンジン、オーディオ処理などの機能もサポートされており、提供される半導体の種類により対応する機能が異なる。

Myriadで提供できる動画編集機能動画編集の例。色変換などさまざまな機能を提供できる
カメラの高機能化にも対応できる
「MA1100」「MA1102」

 

Movidius マーケティング担当ディレクターのボブ・テイト氏

 19日には都内で記者向けに発表会が開催された。Movidius マーケティング担当ディレクターのボブ・テイト氏は、Android端末において今後は差別化が重要になるとして、動画のリアルタイム編集などを特徴とする同社の「Myriad」プラットフォームを紹介。半導体とソフトウェアを組み合わせたプラットフォームとしたことで、将来的にソフトウェアアップデートによる機能の拡張も可能とした。

 同氏は動画編集への注力に加えて、3Dコンテンツにも言及し、「モバイル端末は、視聴時にディスプレイとの距離が一定となり、3Dには適している」と指摘。3Dの表示や撮影をサポートした同プラットフォームをアピールした。同氏はまた、2つのカメラを搭載した端末向けの機能も明らかにするなど、より踏み込んだ機能に対応出来る点も特徴として挙げた。

3D画像の撮影・表示機能にも対応できるとしたデュアルカメラ端末向けの機能も用意されている

 スマートフォンでは、1GHzのCPUやデュアルコアCPUも登場するなど、CPUの高性能化が著しいが、「Myriad」は専用のプロセッサを用意することで、CPUに求める処理速度は数百MHz程度に収まるとのこと。このことは、端末の消費電力を抑えることにもつながるという。「Myriad」の半導体の消費電力は、数mW~400mW程度とのこと。

 同氏はこのほか、日本市場についても、「日本の市場はほかの国よりも抜きん出ており、学ぶことも多い」と技術面での先進性を評価。「日本の端末メーカーは、(落ち込んでいる)国内の状況から国際化を目指している。おそらく、最初の顧客は日本のメーカーだと考えている」と日本のメーカー向けにも積極的に展開していく方針を明らかにした。

 なお同社では、2月15日からスペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress」の同社ブースにて、今回発表したAndroid版のデモンストレーションを実施する予定。

 

(太田 亮三)

2010/1/19 14:51