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auの「povo」にドコモ井伊社長「さすがです」、でもahamo効果でMNP転入増に

2020年12月、ahamo発表会でのドコモ井伊社長(中央)

 13日に発表されたauの新料金プラン「povo(ポヴォ)」。翌日の14日、グループインタビューに応えたNTTドコモの井伊基之社長は「さすがという印象です。5分通話定額をスパッと分けてこられて、試合巧者だと」とライバルを称賛した。

 井伊社長は「我々も(povoと同じような料金を)考えていた。しかし面倒くささを排除しました」と続けた。

 説明によれば、「ahamo」を開発する際、ドコモ側では、ユーザーの1/3は5分通話定額、また別の1/3は完全通話定額、そして残り1/3は通話機能を求めていないという傾向にあると考えていた。つまり2/3は通話関連の仕様が必要と見ていた。

 無料で通話できるアプリがあることも踏まえ、5分通話定額を含めることに決めたが、「そこを突かれ、『最安値』と打ち出してこられた。やられました。じゃんけんは後で出すものですね(笑)」と素直なコメント。

 とはいえ、「それでも(20GBで5分通話定額込みの2980円が)真似されるようになった。これまでは追いかけてばかりだったから、褒めてやってください」と自負も見せていた。

MNPでプラスに転じる

 今後さらなる“後出しジャンケン”については「価格はほぼ横並びになったが、ahamoを出す段階でキャッチアップされることは予想していた。(社内では)最後は価格競争ではない、プロモーションや使い勝手などが争点になると言っていた。想像通り」とahamoの料金へ手を加えることについては否定的な見方を示す。

 その上で「これまで(中容量の市場は)我々の商品がなかった。ワイモバイルさん、UQ mobileさんだけ紹介される形だった。ここにahamoを提供できることは、結果的に、私たちのお客さまが他社へ乗り換えることが抑止できるのではないか」とコメント。

 実際に、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)ではこれまで他社への流出のほうが多い状況だったが、2020年12月単月の実績を見ると、他社への流出が減少し、プラスに転じたと井伊社長。

 ドコモがMNPでプラスを記録したのは、2009年以来、約12年ぶりとのことで、正式サービスを前に「ahamo効果」が示された格好だ。