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ドコモ吉澤新社長が就任会見

 16日、株主総会を終え、NTTドコモの新たな社長に就任した吉澤和弘氏の会見が行われた。

 会見直前に発生した北海道・函館の地震について災害用伝言板サービスの提供を開始したこと、自動的な措置として固定電話への発信規制を行ったものの間もなく解除する予定であり、ネットワーク設備への影響はないことが紹介された。

NTTドコモ新社長の吉澤和宏氏

さらなる付加価値の提供へ

 吉澤氏が、社長就任にあたり、掲げる目標は「更なる価値をお客さま、世の中へ提供する」というもの。ドコモは通信事業を中核にしつつ、スマートライフ事業を第二の事業の柱に育てる方針を掲げており、吉澤氏は通信事業と、それ以外の新領域のビジネスをあわせた現状の営業収益が4兆6000億円となるところ、時期は未定ながら今後、5兆円を目指す。コスト構造の改革を行いつつ、新領域であるスマートライフ事業の規模そのものを拡大させる考えだ。

 そうした目標に向けて具体的な取り組みとして紹介されたのがデバイスやネットワーク、ソフトウェアなど「モバイルICTの高度化」、自社に閉じずさまざまなアイデアを受け入れていく「新たな発想」、そしてこれまで以上に重視するという「スピーディな経営」という3つ。

 また他社と協力する「+d」をさらに推進する計画で、企業の規模に左右されず、さまざまなパートナーとの協力を模索していく。

通信会社が取り組むAI

 たとえば「モバイルICTの高度化」というワードで表現されるテクノロジー面では、AI(人工知能)やビッグデータ、IoTといった分野にも積極的に取り組む考え。

 たとえばAIは、グーグルやIBMなどが研究開発を進めるが、通信会社であるドコモはどういった特徴を打ち出すのか、という問いに、吉澤氏はこれまでの“iコンシェル”のように、ユーザーの行動を支援するパーソナルエージェントの開発に意欲を示す。そのための要素として、自然対話プラットフォームや画像認識プラットフォームを進化させていくという。

スマホユーザーいかに増やす?

 吉澤氏は、AIベースのパーソナルエージェントとユーザーとの接点となるデバイスはスマートフォンになると説明。また「スマートフォンは成熟したと言われるかそんなことはない」とまだまだ発展の余地があるとアピールする。

 その一方で、同社ユーザーにおけるスマートフォン普及率は「6割程度」(吉澤氏)とのことで、フィーチャーフォンユーザーはまだまだ多い。

 これに吉澤氏は「日本のフィーチャーフォンは出来が良く、今の使い勝手で十分という考え方をする方もいる。フィーチャーフォンは安く、電池持ちがよく、操作も簡単。そのあたりを全てスマートフォンで克服できるかというと難しく、Androidベースのフィーチャーフォンもある。今後はLTE対応のAndroidフィーチャーフォンも計画しており、これをスマートフォンに含めるかどうかという点はあるが、(Androidフィーチャーフォンの)普及率を高くしていく。またタブレットもスマートデバイスであり、販売を強化していく」とコメントした。

「若者向け料金」出す?

 6月に入り、NTT(持株)の鵜浦博夫社長が一部報道で「携帯電話で若者向けの料金も充実させるべき」との考えを披露。16日の会見でも吉澤氏へ新プランの投入を行うのか問う声が挙がる。

 これに吉澤氏は、ユーザーからの要望を踏まえつつ検討を進める、として「今年(新プランを)出すのか断言できないが、しっかりと検討して、良い物を出せるよう努力していきたい」と述べた。