【CES 2017】

基調講演にファーウェイCEOが登場、「今後2年でトップ2になるチャンスはある」

Google、Amazonからゲストが登壇、Mate 9もアピール

 「CES 2017」の会期初日に当たる1月5日(現地時間)には、基調講演が開催され、ファーウェイのコンシューマー・ビジネス・グループCEOであるリチャード・ユー氏が登壇した。ファーウェイとしてはCESで初の基調講演。政治的な理由もあり、CESの開催地である北米は、同社の存在感が薄い地域の1つ。その“アウェイ”でユー氏からどのようなことが語られるのかが、注目を集めていた。

基調講演に登壇した、ファーウェイのリチャード・ユーCEO

 基調講演の冒頭では、ファーウェイの高い成長性や、それを支えるR&D(研究開発)への投資について語られた。ユー氏によると、昨年1年間の端末出荷台数は、1億3900万台。現在の世界シェアは第3位だが、「今後2年でトップ2になるチャンスはある」という。それに伴い、ブランド力も向上。「6年前は、ほとんどブランド力がゼロに近い状態だった」が、今では各種ブランド力調査でも上位に名を連ねるようになっている。

販売台数が急速に伸びており、2016年は1億3900万台を実現。ブランド力も大きく伸びている

 そのファーウェイには、3つのプリンシパル(原理原則)があるという。1つ目が「パッション(情熱)」で、「ベストなプロダクト、ベストなソリューションを提供できるリーダーになること」に全力を注いでいるという。そのために、研究開発への投資も加速。ユー氏は「過去10年間で380億ドル(約4.4兆円)を投資してきた。毎年収益が上がっているが、そのぶん、R&Dへの投資も上がっている。次の5年間で、世界最大になるチャンスがある」と語った。

過去10年の研究開発投資は380億ドル。今後は世界1位を目指す

 2つ目として挙げられたのが「集合知」。ファーウェイが世界各地に拠点を開設しているのは「業界でベストな人々を集めるため」。日本、ロシア、インド、ドイツ、フランスなどにそれぞれ目的が異なる研究開発拠点を設けており、「大学ともコラボレーションしている」。また、昨年は新たにライカとドイツに共同研究所を立ち上げており、デザインの観点では、「Mate 9」でポルシェデザインとのコラボも行っている。ユー氏は、こうした協業に積極的な姿勢も示した。

研究開発の拠点が、世界各地に作られている。現地の優秀な人材を雇い入れるのも、その目的の1つ
ライカとも、共同で研究所を設立した
ポルシェデザインとのコラボモデル

 3つ目のとなるのが「意義のあるイノベーション」で、チップセットの「Kirin」や、バッテリー技術、カメラなどの具体例が挙げられた。また、CESのテーマの1つである「マシンラーニング(機械学習)も使って、Android 7.0を最適化している」という。この機能はMate 9に搭載されており、「長時間使ったときの(ファイルシステムの)フラグメンテーションを防ぎ、18カ月使ったあとでもスムーズに動く」。

チップセット、バッテリー、写真撮影、指紋センサーなどの技術が紹介された

 将来のデバイスに必要な要素としてユー氏が示したのが、AI(人工知能)。ユー氏は「スマートフォンにAIが加われば、インリジェントフォンになる」としながら、IoTやクラウド、機械学習が可能なチップセットを通じて、「スマートフォンはもっと競争的なものになれる」と語った。

AI(人工知能)によって、スマートフォンはインテリジェントフォンになるという

「Mate 9」や「Mate 9 Pro」のDaydream対応、Amazon Alexa対応を紹介

 こうしたファーウェイの将来、スマートフォンの将来などのビジョンが語られた一方で、基調講演であるにも関わらず、しっかり新商品をアピールするのがユー氏の抜け目ないところ。米国では翌日にMate 9が発売されることもあり、同モデルの紹介にも時間が割かれた。

 また、ユー氏は「Mate 9 Pro」がGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」に対応したことを紹介。GoogleのVR/AR担当ヴァイス・プレジデントのアミット・シング氏がゲストとして招かれ、ファーウェイのヘッドマウントディスプレイがDaydreamに準拠であることなどを解説した。

グーグルのシング氏が登壇し、Daydreamを語った

 続けてユー氏は、「Mate 9はAmazonのAlexaを内蔵した、世界初のスマートフォンになる」と語り、2人目のゲストとして、AmazonのAlexa担当ヴァイス・プレジデント、スティーブ・ラブチン氏をステージに招く。ラブチン氏は、「我々にとっても、ビジョンの達成に近づける。ファーウェイとの取り組みは非常にエキサイティングだった」と語る。

Mate 9のAlexa対応を語る、Amazonのラブチン氏
ファーウェイのブースにも、Alexa対応のMate 9が展示されていた

 米Amazonが提供するAlexaとは、音声認識でさまざまな操作を可能にする仕組みのこと。これに対応するデバイスは各メーカーが開発しており、CESではレノボなどが製品を発表している。話しかけるだけで、他の家電をコントロールしたり、Amazonで買い物ができたりと、まさに家庭内のハブと呼べる存在だ。Mate 9はこれに対応する予定で、スマートフォンでは初の試み。時期は「来月(2月)後半」(ラブチン氏)になる見込みだ。

 最後にユー氏は、北米でのMate 9の価格を「599.99ドル」(約6万9000円)と発表。基調講演の“締めの一言”がまさかの価格発表という驚きもあり、会場からはユー氏に大きな拍手が送られた。

基調講演は、「Mate 9」の価格で締めくくられた

 北米では、まだファーウェイのシェアが低く、過去にはネットワーク事業でスパイ疑惑もかけられており、苦境が続いていた。基調講演でのMate 9の発表からは、新製品のアピールとともに、こうしたネガティブな評判の払しょくを狙うユー氏の思惑も見え隠れする。ゲストに代表的な米国企業のGoogle、Amazonを呼んだのも、北米市場へのアピールという見方ができそうだ。