【2014 INTERNATIONAL CES】

192コアの「Tegra K1」を出展したNVIDIA、担当者が狙いを語る

 NVIDIAのブースには、5日(現地時間)に発表された192のGPUを搭載する「Tegra K1」を組み込んだリファレンスモデルが置かれており、同チップセットの実力の一端を体感できた。

車載向けに力を入れていることもあり、NVIDIAのブースには車も展示されていた

 Tegra K1は、192のGPUを組み込み、PC向けの「GeForce GTX 780 Ti」に採用したKeplerアーキテクチャーを採用。ゲーム開発エンジンの「Unreal Engine4」が対応するなど、高いパフォーマンスを実現すると同時に、PC向けゲームの開発者がモバイル向けにアプリを実装しやすい環境を整えている。CPUは32ビット版と64ビット版が用意され、2つを簡単に載せ替えることが可能な「ピンコンパチブル」の仕様になっている。

 ブースでは、リアルタイムで3Dグラフィックスをレンダリングした映像や、Unreal Engine 4で作られた部屋のシミュレーションが展示されていた。これらは、5日に開催された記者会見でも披露されたもの。PC向けと比べてもそん色ない映像に、足を止めて映像を食い入るように見つめる来場者も多かった。

写真のように精細なグラフィックが、スムーズに動く
部屋のグラフィックスは、「Unreal Engine 4」によって作成された。ソファの革の質感まで、リアルに再現されていることが分かる
2つの4K映像を、同時に出力するデモ
ボードは展示されていたが、チップセット自体にはカバーがかけられていた
Tegra K1の狙いを語ったNVIDIAのDoug MacMillan氏

 NVIDIAのモバイルマーケティングディレクター、Doug MacMillan氏によると、Tegra K1はPC向けと同じアーキテクチャを採用していることで、ゲーム開発者がモバイル向けに「再デザインをする必要がなくなる」という。「OSの違いがあるため、それに合わせる調整は必要だが、作り直しはしなくてよくなる」(同)というメリットがある。デバイスは、PC、タブレット、スマートフォンに加え、車載といった「フルレンジ」がターゲットになっているという。一方で、スマートフォンに関しては、「普及価格帯ではなく、スーパーフォンに採用されるもの」(同)という位置づけだ。現時点では「モデムを統合する予定はアナウンスしていない」(同)という一方で、「他社のモデムも自由に組み合わせることができる」(同)。

 Tegra K1を出荷する一方で、NVIDIAのラインナップには「Tegra 3」や「Tegra 4」も残されている。これは、製品のバリエーションを広く取っておくためだ。日本ではスマートフォンでの採用がなかった「Tegra 4」だが、Doug MacMillan氏によると「中国ではXiaomi(シャオミ)がTegra 4のスマートフォンを開発した」という実績もあるそうだ。

 NVIDIAのブースには、Tegraを活用したゲーム端末の「SHIELD」も展示されていた。SHIELDは、昨年のCESに合わせて発表されたモデルで、ゲームパッドを備え、OSにはAndroidを採用している。その後、Mobile World CongressやGoogle I/Oといったイベントにも出展され、昨年7月には北米での販売が開始された。現在はアメリカ、カナダ、香港で発売されているが、日本での展開は未定。担当者のNVIDIA テクニカルマーケティングのAndrew Coonrad氏によると、「日本でも発売はしたいが、今は市場を学んで少しずつ拡大している」方針だという。

チップセットメーカーのNVIDIAだが、「SHIELD」のような端末も発売している

石野 純也