【2014 INTERNATIONAL CES】

エプソン、メガネ型スマート端末などウェアラブル製品を発表

 ラスベガスで開催されている家電の総合見本市「2014 International CES」において、エプソンはプレスカンファレンスを開催し、メガネ型端末の新製品「Moverio BT-200」やリストバンド型の活動量計「Pulsense」の2機種を発表した。Moverio BT-200はアメリカにおいて3月から699ドルで発売され、「Pulsense」はアメリカにおいて今夏から発売される予定。

大幅に進化したメガネ型端末「Moverio」

Moverio BT-200

 「Moverio BT-200」は、2011年に発売された初代「Moverio BT-100」の後継機種となるメガネ型端末。シースルータイプでクオーターHD解像度のディスプレイを搭載し、さまざまなコンテンツを楽しむためのデバイスとしてデザインされている。

 メガネ部分と、手元で操作を行うタッチパッド部分の2つの構成になっていて、それらが1本の線でつながっている。利用時はタッチパッドを手に持ち、スマートフォンのように親指でタッチ操作を行なう。メガネ部分は、前モデルのBT-100に比べると大幅に小型・軽量化し、装着時の負担が小さくなった。通常の(視力矯正用の)メガネの上に装着することも可能。

メガネの上にクリアレンズのMoverioを装着しているエプソン説明担当者

 ディスプレイは液晶をベースにしており、レンズ部分に映像が投影される。解像度はクオーターHD(960×540ドット)で視野角は23度。映像は両眼の視野のほぼ中央に表示される。映像が投影されるレンズは、外の風景が透過して見えるクリアタイプと、スモークタイプで映像が見やすくなっているサングラスタイプの2種類に切り替えが可能。

 BT-200はAndroid 4.0をベースにしたOSが搭載されていて、動画などのコンテンツの再生だけでなく、単体で利用するためのアプリを追加できる。ただしGoogle Playからアプリをダウンロードすることはできず、GmailやGoogeマップといったGoogle純正アプリも搭載しない。アプリはapkファイルをインストールできるほか、エプソンが専用のアプリ配信環境を用意する。そのためにエプソンは同端末で利用できるAPIなどを開発者向けに公開する。プロセッサにはデュアルコアのOMAP 4460を搭載する。

タッチパッド側パーツ。バッテリなどもこちらに内蔵する

 ホーム画面などのUIはほぼ標準のAndroid 4.0に近い。Android標準のマウスによるポインティング機能を使っていて、タッチパッドでポインタを操作し、画面上のアイコンなどをタップする。タッチパッド部分にはホームボタンやバックボタン、メニューボタン、音量ボタン、電源ボタン、microSDカードスロット、microUSBスロットがある。Wi-FiやBluetoothに対応し、BluetoothはキーボードやマウスといったHIDにも対応する。

 方位センサーやGPS、加速度センサなども搭載しているが、それらはメガネ部分とタッチパッド部分の両方に内蔵され、アプリが起動時に専用APIでどちらを利用するか選ぶ形式になっている。これは、通常のAndroid端末向けに開発されたアプリを移植するとき、各種センサが手に持たれた想定なのか、画面と連動するべきかを開発者が選べるようにするためだという。メガネ部分には前方に向いたカメラを、ケーブルの途中にはマイクを搭載している。カメラはVGA解像度で、QRコードやARマーカーなどを撮影する用途を想定しているという。

側面。左右のフレームの耳に引っかける部分は調整が可能

 映像再生用のヘッドマウントディスプレイと異なり、HDMIを直接入力することはできないが、Miracastで映像を送受信可能。オプションのHDMI→Miracast変換アダプター(HDCP対応)を利用すれば、Blu-rayレコーダーなどの映像もWi-Fi経由でBT-200に表示できる。

 アメリカで3月に発売される。価格は699ドルになる見込み。現時点ではアメリカでの発売しか発表されていないが、日本を含むワールドワイド展開を想定しているという。

スポーツ用途のウェアラブルセンサーも発表

PS-500(左)とPS-100(右)

 「Pulsense」はリストバンドタイプの活動量計。液晶ディスプレイ搭載の「PS-500」とディスプレイ非搭載の「PS-100」の2モデルがラインナップされる。価格はPS-500が199ドル、PS-100が129ドルで、アメリカでは2014年夏に出荷される。

RS-500
RS-100

 Pulsenseは加速度センサーを内蔵し、歩数や消費カロリーといった活動量を測定できるほか、リストバンドの内側の光学式センサーで心拍数を計測することもできる。各種データは専用のスマートフォンアプリに転送して管理することが可能。iOSとAndroid両方のスマートフォンに対応する。

内側の心拍センサ

 充電時以外は24時間、装着し続ける想定で、就寝時には睡眠の深さなども計測・記録される。アラームを設定しておくと、睡眠が浅くなったときに起床を促す機能を利用できる。蓄積された心拍センサーのデータを元に標準値を算出し、それをベースにしてトレーニングに最適な心拍数を計算したり、トレーニング中にターゲットとなる心拍数を維持するのをサポートする機能も搭載される予定だという。

 基本的にスマートフォンなしでも独立して利用できる設計で、最大480時間の心拍データを本体内に保持できる。一方でスマートフォンとBluetoothで接続しているときには、通話着信とSMS着信を通知する機能も搭載している。

専用アプリ(iOS版)

 「PS-500」と「PS-100」の違いは液晶ディスプレイの有無のみ。「PS-500」が搭載する液晶ディスプレイは、腕時計などと同じ反射型モノクロ液晶で、暗い場所ではバックライトを点灯させて視認する一方、透過型のカラー液晶と異なり、明るい環境ではバックライト無しで視認でき、周囲が明るければ明るいほど見やすくなる。PS-100はLEDのインジケーターで各種情報を確認する形となっている。

 「Pulsense」はアメリカでの発売しか発表されていないが、日本を含むワールドワイドの展開も検討しているという。

 このほかにもプレスカンファレンスでは、ゴルフスイングを計測する「Swing Smarter」というデバイスも発表された。こちらは正式発売の予定についてはアナウンスされていないが、コンシューマー向け製品としての価格付け・使い勝手になるという。

白根 雅彦