編集後記

2013年7月5日

湯野 康隆

 25週間かけて執筆中

関口 聖

 25週間かけて執筆中

津田 啓夢

 ケータイ Watchの「津田啓夢」は本日で閉店させていただきます。2002年にケータイ Watchに仲間入りして11年、早いもので今年で12年目を迎えました。これまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。そして、これからもケータイ Watchをよろしくお願いいたします!

 計算してみると、大学よりも小学校よりも長い間、ケータイ Watchにいたことになります。インプレスが出版社であることも知らなかった私は、入社初日から記事を書き、初日から取材に駆り出されるという即戦力起用にとてもびっくりしました。そもそもケータイに詳しくない私は、何もかもが勉強の毎日で、知らないことが多すぎてむしろ楽しい♪ と開き直りつつやってきました。今だって読者の皆さんの方がたくさんの知識をお持ちだと思っていて、私がこうしてなんとかやってこられたのも、読んでいただける皆さんの少しぐらいは役に立てたらいいなぁと考えていたからです。

 人の役に立っていると思うと、なんだか元気が出ますよね。私はたくさん元気をいただいちゃいましたよ。ケータイ Watchの読者は、がんばって企画したことや歯を食いしばって書いたことを、ちゃんと「ようやった!」と言ってくださる方たちばかりでしたから。そういう皆さんと10年以上も一緒にやってこられて本当に感謝でいっぱいです。

 私はこれから、ケータイ Watchの“中の人”から、“元中の人”になります。「元」がついても変わらないことがあるとすれば、ケータイ Watchは実際、最強メンバーが最強のライター陣と仕事をしているということです。インプレスのケータイ Watchという場所で遊べて本当に良かった、そう思います。

 読者のみなさん、長い間、大変お世話になりました! どうぞ、引き続きケータイ Watchと一緒に遊びましょう。よろしくお願いいたしますm(_ _)m

太田 亮三

 6月末の最終回ラッシュを終え今週から新作ラッシュだが、どうやら津田さんの編集後記が今回で最終回らしい。「津田、会社やめるってよ」とか「ズッ友だょ」とかいろいろな言葉が浮かんでは口から出る前に鼻や耳から抜けていったので口にはしていないが、最終出社日に鼻ではなく花をもらっていたので浅い持論「花をもらって辞める人に悪い人はいない」説を控えめに提唱しておきたい。

 私が2003年に入社して以来、編集部のコアメンバーである4人は入れ替わることがなかったので、2013年は同じメンバーで10年目である。激動の業界で媒体として存在感を示せたのは、もちろん、外部のライター諸氏や営業部そのほかのメンバー、関係各社との協力あってのことだが、4人が媒体と一体となって、一体化して、各人それぞれが媒体を体現してきた感覚が確かにあったように思う。休日などプライベートな時間ではほとんど付き合うことはなかったのに、陰口を叩き合うこともなくお互いを許容しながら過ごしてきたのだから、なにかの黄金期といっても言い過ぎでないというのが偽らざる感想だ。昔読んだ詩集の一節に、「黄金のような時間」という表現が出てきた。これは、猟銃に狙いを定められ、それに気がついて動きを止めた鹿の、その一瞬の時間を表した言葉だった。人間と動物の違い、死生観などを踏まえると示唆に富んだ表現で、今回のことに合致しているかどうかは分からないが、決して戻れない、選べない岐路に臨むにあたってはじめて、これまでが輝かしい時間だったのだと気がつく瞬間が、10年越しに訪れたということである。しかし、この4人でいられなくなることは、偶然ではない以上、防げたはずの悲劇といった類のものではないし、10年かかって“安定”していき、そしてお互いの関係を変えなかったことへの反動とでもいうべき、予想されたはずの苦さだ。同僚としてただひとつ悔やむことがあるとするならば、柱のタガを外す、そのトリガーとなる行動を津田さんただ一人が負ったことであり、悩み、決意する、辛い瞬間を共有できなかったことが悲しい。もっとも、お互いが同時に言い出すことではないし、自分にそのつもりはなかったのだから、まさに後悔という言葉そのものであると感じられる。私自身は、記者としての10年間に自負はあっても、編集者としての10年間は沈黙してきたに等しいと感じている。でかい津田さんが空けていった穴から流れこんでくる新しい空気を吸いながら、次の10年も自分にとって黄金の時間にすべく、編集者としても邁進していきたい。

中塚 裕志

 25週間かけて執筆中