世界のケータイ事情

スマホでパリをきれいに

シャンゼリゼ通りから眺める凱旋門(筆者撮影)

 フランス最大の都市パリは、政治経済の中心というだけでなく、シャルル・ド・ゴール広場(エトワール広場とも呼ばれる)に立つ凱旋門、展望台からパリの街を一望できるエッフェル塔やゴシック建築を代表するノートルダム大聖堂といった有名な建築物を目の当たりにでき、美術館ではモナリザ等の歴史的な絵画を楽しめる世界的な観光都市でもある。街の華やかさのためか、花の都とも呼ばれる。日本からは羽田・成田空港からシャルル・ド・ゴール空港との直行便で直接つながり、近隣諸国とは、ユーロスター、タリス、TGVといった国際高速鉄道でつながっている。

 このパリ市から、このたび街をきれいにするアプリがリリースされた。その名も“DansMaRue”、日本語に訳すと「私の街で」あるいは「私の通りで」という感じだろうか。ちなみであるが、シャンソン歌手エディット・ピアフ(1915-1963)のモンマルトルを舞台とした曲も同じ名前“Dans ma rue”(私の街で)だ。とにかく、街をきれいにする“手助け”をするスグレモノである。

モンマルトルの丘(筆者撮影)

 このアプリでは、街で見かけたゴミ、落書き、公園の傷んだ設備、壊れた標識など、さまざまな問題を写真やGPSを利用した位置情報とともにレポートできる。街の問題を見つけたら、それがどんなタイプ(ゴミ、落書きなど)か選び、簡単な説明文を入力、写真とともに投稿するだけだ。

 投稿された情報は即座に最寄りの市の担当部署に届けられ、市の職員が内容を確認する。画像もあるため、対応の必要性や緊急度の判断もしやすく、計画的に清掃や修繕等の対応を行えるというわけだ。投稿時にメールアドレスを入力すればその後の進捗状況を確認できる。また、他の利用者もサイトを訪れて、投稿された問題がまだあるのかどうか確認でき、必要に応じて写真も追加できる。なお、投稿という仕組みには他人を中傷するような内容や市民の監視につながる懸念があるが、このアプリでは入力文字数を制限することで対応している。

セーヌ川から望むノートルダム大聖堂(筆者撮影)
夜のエッフェル(筆者撮影)

 パリ市によればこのアプリ開発のアイデアは、市民がゴミの不法投棄や道路の状況、街灯の故障などの地域の問題を共有し、解決を目指すイギリスの“mySociety”が提供する“FixMyStreet”から得ているとのこと。日本でも“FixMyStreet”に触発され、市民が街で見かけた問題点をサイトで共有、問題解決を目指す、“FixMyStreet Japan”というサイトが立ち上がっている。自分たちの住む街の問題を市民が共有し、問題解決を図る取り組みはパリに負けていない。