付録のデザインブックに惹かれて買ったLAMYの限定ボールペン


 米国企業ではあまり見かけない現象だが、ヨーロッパ系の企業は自社のプロダクトを中心に置いたデザインブックなどの書籍をオマケに付けた限定モデルの発売が大好きだ。デザインブックに熱心なのは、筆者も古くからのファンであるデンマークのBang & Olfsen社だろう。毎年ユーザーに発送されていた分厚い冊子は圧巻だ。

写真集の様なデザインブックの後半はLAMY社の製品カタログになっている

 またBRAUN(ブラウン)社を代表とするドイツ系企業はそのブランド力を堅持、誇示する目的もあり、プロダクトとは別に自らの商品のコンセプトやメリットの詳細紹介を行うために多大な予算をとって、頻繁に出版物と連携した広報活動に務めている。

 ドイツに拠点を置き、世界中に筆記具の提供を行なっている「LAMY社」も広報宣伝活動には熱心な企業だ。今回、ラミー社の製品の魅力をユーザーやクリエーター等、第三者に語らせたインタビューやプロのフォトグラファーが特別に撮影した写真集形式の「Life with LAMY」というデザイン誌と「LAMY noto」ボールペンのスペシャルモデルをバンドルしたパッケージを販売した。

 書籍と商品をバンドルできるのは筆記具という小さなサイズの、そしてコスト的に法外にはならない商品を扱っているLAMYならではの特権だろう。日本国内で発売されたパッケージの外観と、同梱される“デザインブック”は全て同一だ。

 キットのLAMY notoボールペンは、よくある組み合わせではあるが、ボディカラーがマットなブラックでノック部分がレッドのスペシャルカラー版のnotoだ。ただボディ中央にはデザインブックの中で登場するドイツの著名なブランド7社のアイコンが記されている。

 日本国内でのブランド認知度の有無は別にして、GROHE(グローエ)、Miele(ミーレ)、MUHLE(ミューレ)、Nomos(ノモス)、VOLKSWAGEN(フォルクスワーゲン)、Wilkhahn(ウィルクハーン)、ZWILLING J.A.HENCKELS(ツヴィリングJ.A.ヘンケル)の7社だ。

 パッケージには、7社のブランド・アイコンのうちいずれか1つが記されたスペシャルnotoボールペンがランダムに同梱されるため、実際に購入して開封するまでどのブランド・アイコンのnotoが入っているのかはわからない。ドイツブランドの商品にディープな興味を抱いているユーザーには面白い試みだが、日本国内でのブランド認知では極めてニッチなブランドもあり、意見はまちまちだろう。

 筆者の購入したパッケージには、MUHLE(ミューレ)の“風車のアイコン”が記されていた。シェービング商品には疎い筆者は、最初、ドイツの有名な測定器型の質実剛健な腕時計メーカーである「ミューレ・グラスヒュッテ社」と混同した。デザインブックを読んで、「ミューレ」という企業がドイツの著名な“髭剃り関連商品”の著名ブランドであることを知った次第だ。

 「LAMYデザインブック」は、本来なら知る由もなかったブランドを、異国の人に理解させる、という工業国ドイツのクロスブランドパワー力を伝える戦略的なアイテムなのかもしれない。頑張れ日本ブランド!


LAMY社のスペシャルパッケージだ開梱すると「デザインブック」と特製notoボールペンが入っている


多くのLAMYを愛用しているが、特製と聞けば揃えたくなってしまう通常のnoto(奥)と、ブラックとレッドのツートンの特徴的な特製noto


商品名実売価格購入場所
LAMY デザインブック
(限定ボールペン LAMY noto 付き)
3780円恵比寿アトレ「スミス」


(ゼロ・ハリ)

2012/6/11 06:00