スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

防災・ラジオ・ワンセグ・スマートデバイスを考える──シニアスマホが意外に最強?

災害時、ワンセグやラジオが高確率で役立つ

 本連載にて半月前に防災系の話を書いた。モバイルを切り口として災害に対する備えを考えたという話。

 それ以降、ずっとある2つのモノについて考えている。ラジオとワンセグである。やっぱり災害時にあると必ず役立つよな~、と。そして、常時携帯品としてラジオ放送やワンセグ放送を受信できる装置がやっぱり必須だよな~、と考えが進んで行ったのであった。

 やはり災害時にはネットに依存しない電波によるブロードキャストは強い。受信機さえあれば情報を受け取れる。もちろん情報を送信する装置としてスマートフォンなどは必要だし、ネット経由でテレビやラジオも利用できる。が、輻輳などにより一時的に通信不能になった場合にはラジオやワンセグなどの「電波放送もの」が頼りになる。

 そこで、手持ち品を持ち歩いてみることに。名刺サイズのAM/FMラジオで、ワンセグ視聴にも対応する製品である。↓こんなの。

ソニー「XDV-G200」。現在は残念ながら生産完了となってしまったが、画質も音質もナイスでありつつ受信感度も良好。ちなみにソニーのワンセグ関連製品は全て生産完了となっている。超残念。なお、XDV-G200の詳細については以下の記事でどうぞ。

 XDV-G200はバッグに忍ばせるのに好適なサイズ&質量でありラジオもテレビも利用可能。とても良い製品なのだが、このご時世にちょっと合わない点がある。

 それは、電源が内蔵充電池のみで、専用ACアダプターと専用スタンドを使わないと充電できないこと。USB充電とかできないんスよ!!!

 まさかACアダプターと専用スタンドを持ち歩くわけにも行かない。災害時に屋外で電池切れとなったら、けっこう困りそうな製品なのである。……XDV-G200の後継機種が登場してUSB充電対応だったりすれば、問題解決なのに~、残念。

ラジオのひとつの解は、Jelly 2

 ラジオ大好き野郎であり、ラジオ放送よりもラジオ本体がより好きな俺なので、ポータブルなラジオはたくさん持っているのだ。ポータブルでないラジオも多々持っている。

左はソニーの名刺サイズラジオSRF-SX905V(生産完了)。使いやすくて音もイイ!!! 現在もソニーからイイ感じの名刺サイズラジオが何機種か出ている。中央と右は往年の短波ラジオで、中央がナショナル「クーガー2200(RF-2200)」で、右はソニー「ICF-SW55」。てゅーかこういう「良い短波ラジオ」が次々と姿を消しつつ日本語短波放送も消えていって寂しい限りである。でも短波放送にご興味があれば、ゼヒ↓の記事を読んでBCLを始めよう!!!

 上の名刺サイズラジオを持ち歩こうかな? と考えた。電池も保つしサイズも小さいし、けっこう軽い。のだが、ラジオの携帯については前回ご紹介したUnihertzのスマートフォン「Jelly 2」の方がより現実的だと思う。

Unihertz「Jelly 2」はFM放送を聴取できる。FMラジオはワイドFM対応なので一部の中波放送を聴くことも可能。アプリもシンプルで使いやすく、音声をイヤホンで聴くか端末内蔵スピーカーで聴くかを選択可能。なので、イヤホンをアンテナとして使い、音はスピーカーから聴くことができる。また、3.5mmプラグ付きのロッドアンテナを装着してラジオを聴くこともできる。

 Jelly 2にはメインのスマートフォンとは異なるキャリアの通話対応SIMを挿し、電源オフで常時携帯しようと考えている。イザとなったら緊急連絡用のスマートフォンとして役立つかもしれないし、FMラジオとしても機能するし、おサイフケータイ対応なので電子決済専用小銭入れ的にも役立ちそうな気がする。

これから買うなら「ラジスマ」対応Android端末がイイかも!?

 モバイル系の災害対策として「ラジスマ」が注目を集めたりしている。ラジスマとは、インターネットラジオ(radiko)とFM放送の両方を聴取できるAndroidスマートフォンのことで、現在は10機種以上ある。アプリは、radikoとFMラジオの両方を聴取できる「radiko+FM」アプリを使用。2019年3月頃から、FM放送受信対応端末へアプリがプリインストールされるようになり、2年後の現在ではけっこー広がりを見せているラジスマなのであった。

 ラジスマ対応端末の中には、ワンセグ受信にも対応した機種がある。やはり音声のみのラジオよりも映像アリのワンセグの方が役立つ機会が多そう。なので、災害時を考慮したスマートフォンをこれから買うなら、ワンセグにも対応したラジスマがいいんじゃないかと思う。

ドコモの「らくらくスマートフォン F-42A」はワンセグ対応のラジスマ。FM放送もワンセグも受信できる(わりと数少ない)スマートフォンのひとつだ。
販売完了した機種だが、ドコモの「らくらくスマートフォンme F-01L」もワンセグ対応のラジスマ。
Y!mobileの「かんたんスマホ2」もワンセグ対応のラジスマである。

 んむむむ~、なんか急にらくらくスマートフォンやかんたんスマホが欲しくなってきたかも!!! んむむむむ!!!

ワンセグはスマートフォン用の外付けチューナーという手も

 でもラジオやワンセグのために新たにスマートフォンを買うって……けっこうコストがアレですな。そこで汎用的に使えるスマートフォン用のワンセグチューナーを買ってみた。2021年3月に発売されたサンワサプライ「ワンセグチューナー 400-1SG007」だ。

サンワサプライ「ワンセグチューナー 400-1SG007」の本体部分は手のひらサイズ。スマートフォンとはWi-Fiで接続するタイプで、付属アンテナのケーブル長は180cmあるので、チューナーを受信状態の良い場所に設置して、そこからある程度離れた場所でのワンセグ視聴が可能だ。家庭用アンテナと接続するケーブルも付属している。写真には写っていないが、本体に直接取り付ける短いロッドアンテナも付属している。電源は内蔵充電池でUSB充電できる。サンワダイレクト税込価格は9980円。
ワンセグ放送を専用アプリで視聴している様子(著作権を考慮してボカシをかけている)。縦表示にも横表示にも対応し、録画にも対応する。

 なかなかコナレ感がある製品で、もちろん電波状況にもよるが、けっこう快適に使える。比較的にコンパクトで軽量なので携帯にも向くが、常時携帯となると……。

 本製品には2種類のアンテナが付属しており、そのうち大きい方のアンテナには180cmのケーブルがつながっている(外せない)ので、携帯時にはちょっと嵩張る感じ。ただ、こちらのアンテナはなかなか高感度なので、緊急時に使うにおいて安心感がある。

 もうひとつのアンテナは、短いロッドアンテナ。こちらは電波の強いエリア向けという印象である。でも携帯性は抜群。本体とチューナーが合体しちゃうので、スマートに常時携帯できる。

 いや~でもコレ、コナレ感がありつつまとまり感もあるパッケージだ。やや高価という気がするが、様々な場面で扱いやすいハードウェアだと感じられる。

中古のワンセグ対応端末を買うのもアリ!?

 ワンセグかぁ~ワンセグねぇ~とモバイルにおけるワンセグ放送視聴について考えていたら……そう言えば持ってたわ、けっこうイイの、と思い出した。富士通のタブレットとスマートフォンで、「ARROWS NX F-06E」と「ARROWS Tab F-02F」であった。2013~2014年頃のAndroid端末である。

富士通「ARROWS NX F-06E」はワンセグ/フルセグ対応の防水スマートフォンで、初期搭載OSはAndroid 4.2、画面は約5.2インチ Full HD(1080×1920ドット)。スマートフォンとしてはかなり旧世代となるが、ワンセグ/フルセグ受信はフツーに良好♪ 防水という点もイイ感じ。中古品のタマ数もけっこうあるようで、中古価格レンジは3000円~6000円といったところ。
富士通「ARROWS Tab F-02F」は10.1インチタブレットで、初期搭載OSはAndroid 4.2.2。こちらもワンセグ/フルセグ対応であり防水仕様だ。テレビとして使っても、マップなどアプリを使っても、今でも快適に使えるのであった。中古価格レンジは1万円前後。

 スマートデバイスなので緊急時に通信端末として使えるし、USB充電もできる。古い端末とは言え、これらARROWSシリーズは防水だし受信感度も良好だし、スマートデバイスとしての作りがいい。上記のような中古価格で入手できることを考えれば……ワンセグ/フルセグ対応の非常用端末として非常にコストパフォーマンスが高いような気がする。

 ちなみに比較的に安価な外国製ワンセグ受信専用機は、新品の価格レンジが5000円~1万円といったところ。実は評判の良い品を1台購入して使ってみたが、性能的にも機能的にも良好だった。だが、作りは「ザ・オモチャ」という感じ。6480円で買ったが「6480円でこの作りなのかぁ……」と弱くないガッカリ感が発生した。またサイズも常時携帯向けではないので今回は敢えてご紹介しない。

 防災におけるラジオとワンセグとスマートデバイスについて考えてきたが、強いこだわりがなければ、「ワンセグ対応スマートフォンの常時携帯」が多くの人の「解」になりそうな気がする。受信エリア・環境の幅広さではAM/ワイドFM対応ラジオが欲しいところではある。まだもう少し、ラジオとワンセグについて考える日々が続きそうな気がしている俺なのであった。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。