みんなのケータイ
Apple Watchで電子マネーを使うのがかなり便利!
2016年12月21日 06:00
10月下旬に配信されたiOS 10.1により、日本でもApple Payが使えるようになった。SuicaやiD、QUICPayといった非接触ICを使った電子マネーが、今秋発売の新製品群(iPhone 7/7 PlusとApple Watch Series 2)で利用できる。
正直に言うと、iPhone 7/7 Plusで電子マネーが使えることは、それほどたいしたことはないと思う。スマホも電子マネーカードの入った財布も、どちらも「ポケットやカバンから何かを取り出す」というアクションが必要ということには変わりない。
そもそもこれは、ずっと前からAndroidスマホやフィーチャーフォンのおサイフケータイで実現していたことだ。また、ジャケットケースにSuicaなど交通系ICカードを挟み込んでいれば、iPhone 6s以前でも改札は通過できる。
リモートロックや指紋認証などのセキュリティ面を考えると、カードよりもiPhone 7/7 Plusの方が便利な面もあるが、財布やカードを持ち歩かずに済むわけでもないので、全体として紛失や盗難のリスクをなくせるわけでもない。
しかし、Apple Watch Series 2で使うApple Payは、まったく別の話。Apple WatchにSuicaが入っていれば、改札を通過するとき、財布やカード入れ、スマホ、そのいずれも取り出す必要がない。ただドヤ顔でApple Watchをリーダーにかざすだけだ。iPhoneと違い、こちらは「魔法のよう」と言いたくなる体験である。
腕に非接触ICを使った電子マネーを巻くというのは、今に始まったことではない。Edy内蔵の腕時計やリストバンドは昔から販売されているし、ソニーのスマートウォッチ「wena」は、iPhoneと連動しつつ楽天EdyとiD、QUICPayを利用できる。しかし、これらは交通機関で広く使えるSuicaには対応しない。改札を手ぶらで通過できるのはApple Watch Series 2だけ。
Apple Watch Series 2上のSuicaは、カードのSuica同様、JR東日本以外のSuicaが使える交通機関やコンビニなどでも利用できる。発着駅のいずれかがJR東日本駅となるSuica定期も登録可能だ。このほかにも対応クレジットカードを持っていれば、iDとQUICPayも利用できる。
Apple Watch Series 2やiPhone 7/7 Plusでは、スリープ中も使える「エクスプレスカード」に設定できる電子マネーは、Suicaのみとなっている。iDとQUICPayはiPhone上では指紋認証、Apple Watch上ではApple Pay画面を呼び出さないと使えない。どちらも待受状態からダブルクリックで呼び出せるのでそこまで不便はないが、無操作で使えるSuicaの方が楽で、コンビニなどではついついSuicaを使ってしまう。
しかし、いくつかの問題もある。まずは利き手の問題だ。筆者は腕時計を左腕に着けるのだが、改札の非接触ICリーダーは通常右側にある。改札を通過するとき、軽く身体をひねらないといけないのがやや面倒である。一方、コンビニなどのレジでは客の左側にリーダが設置されることがほとんどなので、こちらは逆に使いやすい。
使う側にも課題がある。すでにApple Watch Series 2の利用を開始してから1カ月以上が経過しているが、改札を通るとき、これまでのクセで財布を取り出そうとしてしまう。もちろんこれは慣れの問題だ。券売機に並ぶクセはもう抜けたし、磁気式プリペイドカードを財布から抜き出す手順はすでに身体が忘れてしまった。そのうち、「改札はハンズフリーで通過する」というクセが染みつくと思う。
逆にApple Watchでの電子マネー利用に慣れすぎてしまうことにも問題がある。たとえば電池切れや故障などの理由で一時的にApple Watchが使えなくなることもある。Apple Watch以外のスマートウォッチあるいは普通の腕時計を着けることだってある。そうしたとき、腕にSuicaがあると思って改札を通過しようとしないように注意が必要だ。予備のSuicaカードも持ち歩いていた方が良いだろう。
便利な道具は便利なほど、使えなくなったときの落差が大きくなる。スマホほどではないが、筆者にとってはApple Watchも使えなくなるとかなり困るアイテムとなっている。幸い、Apple Watchはバンド交換でカジュアルシーンからフォーマルな場まで着用できる(と思う)ので助かっているが、「腕Suica」においてApple Watch以外の選択肢が広がるように、Android WearやほかのスマートウォッチでもSuicaが使えるようになって欲しいところだ。