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【ドコモ定例記者会見】02年度はFOMAの普及と国際戦略が課題

携帯電話市場は急成長期から安定成長期に

NTTドコモ 代表取締役社長
立川敬ニ氏
 NTTドコモの立川敬二社長は、3月28日の定例記者会見で、2001年度の事業報告と、2002年度の事業計画などについて明らかにした。

 立川社長は、携帯電話の普及率が57%に達してきたことなどにより、純増ベースで前年比70%と、前年の販売台数を下回ったことを示し、「携帯電話の市場が急成長期から安定成長期に入ってきたことを肌で感じた年」と2001年度を振り返った。

 iモードに関しても、2001年度は約1000万の純増となったものの、ドコモの携帯電話の全契約数4100万のうち、78%を占める3200万に達したことで、「iモードといえども、そろそろサチュレーションの時代に入ったきた」とし、今後は、サービス内容の充実が課題と位置づけた。

 一方、昨年10月からサービスを開始したFOMAに関しては、「昨日の段階で8万3000契約。3月末までの目標である15万契約には到達しなかったが、スタートの遅れや、経済環境の低迷、サービスエリアが限定されたことが影響しており、こうした要因を考えれば、むしろ、がんばった方ではないか」と、甘口の自己評価を下した。

 立川社長が問題としてあげているのはARPU(アベレージ・マンスリー・レベニュー・パー・ユニット=1台あたりの月間平均収入)の変化。音声ARPUは、前年に比べて10%のダウンに対して、iモードARPUは75%程度上昇しており、総合ARPUでは、前年比横ばいといったところ。

 「急成長期から安定成長期に移行したことによって、今後はボイス通信を追っかけるよりも、iモードで成功しているマルチメディア化、ユビキタス化が重要になってくる」として、データ通信によるARPU拡大が課題とした。


2002年度の事業計画、5つの目標

 2002年度の事業計画としては、「安定成長期における新たな取り組みと、経営改革を推進したい」とし、次の5つの項目を挙げた。

1)従来から掲げている「マルチメディア化」、「ユビキタス化」、「グローバル化」をより具体的に進める。
2)連結子会社72社と連携したグループ運営体制の推進。
3)不採算事業の抜本的見直しを含む、各種事業、サービスの見直し
4)仕事の仕方を見直すことにより、新たなサービスを作り出すチャレンジ精神を発揮できる体制の確立
5)4月1日から稼働する企業情報システムの運用をはじめとする効率的経営の推進

 新たなサービスとしては、4月から開始する「ゆうゆうコール」の割引拡大のほか、発売を予定している504iシリーズにおいて28.8kbpsのパケット通信サービスを開始するとともに、iアプリの容量を現在の10KBから30KBに拡大。さらに、デジタルカメラを搭載した251iシリーズの発売にも言及した。


FOMAの普及と国際戦略が2002年度の課題

 2002年度の重点課題のひとつとして、FOMAの普及戦略をあげ、「4月1日の時点で全国60%の人口カバー率に引き上げ、これを2003年3月で90%にする。そのほか、デュアルネットワークサービスの開始や、FOMAの新たな端末の提供も行なう」とした。

 4月からauが第3世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」を開始することについては、「各社が参入することはいいことである。店頭でも第3世代携帯電話がたくさん並ぶようになり、認知度をあげることができる。J-フォンにも早く参入してほしい」とコメントした。

 不採算事業の見直しでは、クイックキャストの例をあげ、「3年前には1000万だったのが、現在は90万程度に減っている。より効率的に提供する方法はないかといった点を含めて検討する必要がある」とした。「PHSも検討の対象になるほか、船舶通信、航空通信、列車電話、自動車電話なども対象になる」という。

 2002年度の設備投資は、「研究開発費のほとんどを占めていた第3世代携帯電話の投資が減ること、企業情報システムの設備投資がなくなることなどから、横ばいかやや減少することになる」という。

 一方、海外戦略については、「2年前から国際戦略を推進してきたが、ようやく陽の目を見るようになってきた。第2世代サービスでは、iモードぐらいしかやることがなく、3月16日にドイツでもサービスを開始した。オランダ、ベルギーでも今年春に、台湾、米国でも2002年度中にはサービスが開始でき、iモードの海外展開が緒についてきた」とした。

 しかし、「本来の国際戦略は第3世代である」と位置づけ、「イギリス、香港では年内、米国でも2003年度のサービス開始に向けて準備をすすめており、2002年度は、3Gによる国際戦略が緒につく年になるだろう」とした。


 一部報道にあった1兆円の特損処理については、「月末の作業によって明確になるものであり、いま、申し上げることはなにもないし、なにも決めていない。そうした事態であれば、ルールに照らし合わせて必要な措置をとる」と明確なコメントを避けた。

 ただし、「出資先の企業価値が下落しているが、これは回線オークション費用が高すぎ負債を抱えすぎた。通常のオペレーションについては何ら問題がなく、本来の事業を行なっていけば企業価値は高まるはず。3Gを世界規模で導入して、アプリケーションサービスをグローバル展開するという当初の戦略は変更する予定はない」と話した。

 また、「欧米については国際戦略が終わったが、アジア地域は、現在の香港、台湾だけに留まらず、さらなるパートナー戦略を推進したい。100%買収する、マイノリティの範囲で出資する、技術提携だけを行なう、友好関係をとるという4つの提携関係があるが、そのいずれかの関係の上で、日本と同じサービスを世界規模で展開することが目的。これにより、技術ライセンスの収入が得られる、上場によるキャピタルゲインが得られる、端末の大量共同調達が可能になることでのコストダウンができる、というメリットが得られる」とした。

 出資先の企業価値が下落したことでの国際戦略のつまづきや、FOMAの立ち上がりが鈍いといった課題が指摘されているNTTドコモだが、2002年度は、この2つの課題の解決が当面の目標となりそうだ。


・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

来年春からiモードが28.8kbps、iアプリが30KBに


(大河原克行)
2002/03/28 19:15

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