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AirH"の128kbpsサービス、その実力を検証
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AH-G10
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久しく苦しい状況が続いたPHS市場に活気を与えたDDIポケットのAirH"。いよいよ3月26日には128kbpsのサービスが開始される。現在は一部ユーザーに限った試験サービスが実施されているが、編集部でも対応端末「AH-G10」を使用して、スピードテストを行なってみた。
スピードテストは、HTTP通信とFTP通信の双方で行なった。HTTP通信は、ADSLなどブロードバンドユーザーに広く利用されているページ「SPEEDTEST( http://member.nifty.ne.jp/oso/speedtest/ )」で計測。一方のFTP通信に関しては、オンラインソフト情報サイト「窓の杜」のFTPサーバーからFTPクライアント「FFFTP」を用いて、定番テキストエディタ「秀丸エディタ Ver.3.15(712302バイト)」をダウンロードし、そのスピードを計測した。テスト日は3月4日で、9時から24時まで、3時間おきに計測を行なっている。両試験ともにその都度5回計測し、最高速および再低速のデータを取り除き、中間の3つのデータをサンプルとして取り上げた。
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AH-G10の電波捕捉状況をグラフィカルに表示するフリーウェア「AH-G10 Monitor」
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なお、テストに用いるHTTPおよびFTP通信以外は、Windows MessengerやほかのHTTPセッションなどいかなる通信も行っていない。パソコンは、ThinkPad X22(Pentium III 800MHz/640MBメモリ/Windows XP Professional)を用い、編集部がある東京都千代田区三番町のビル6F窓際から1メートル程度にあるテーブルで行なった。
接続に使用するプロバイダに関しては、現在のところDDIポケットのPRINのみとなっている。試験前には、電波捕捉状況を確認するため、ヨシヲ氏作のフリーウェア「AH-G10 Monitor」を使用した。同ソフトでは、捕捉基地局の数とそれぞれの電波強度が5段階で表示される。試験地が東京都心ということもあり、すべての時間帯で14以上の基地局を捕捉、うち8~10の基地局で電波状況も5段階中で最良の5をキープし続けた。すべてのケースで存分に実力が発揮できる環境だったと言える。
HTTP通信テストの平均は74kbps
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HTTP通信のテストに使用した「SPEEDTEST」
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まずHTTP通信の結果だが、すべての試験結果の平均速度は74.0kbpsだった。時間軸の平均で見ると、9時で74.0kpbs、12時で76.6kbps、15時で71.6kbps、18時で72.3kbps、21時で70.6kbps、24時で78.6kbpsとなっており、時間ごとのバラツキはほとんどみられなかった。
スペック値となる128kbpsの6割程度の速度で、ワイヤレス通信としてはまず合格ラインだと言える。タブブラウザを使用して複数サイトを一気にオープン、などという使い方はさすがに辛いだろうが、通常のサイト巡回は快適に行なえる。ADSL等でブロードバンドに慣れきっていると、使い始めこそ遅く感じるかもしれないが、十分実用的なスピードだ。従来の32kbpsパケット通信では、メールの送受信はともかく、昨今のブロードバンド化に伴い、Flashや画像の増加などコンテンツのリッチ化が進むWebページの閲覧には少々忍耐力が必要だ。しかし、128kbpsサービスにおけるWebアクセスでは、ISDN 64kbpsと同等もしくはそれ以上の体感速度であり、十分な満足感を得られるはずだ。
参考までにサンプルからはずれたデータを挙げておくと、全30回の試験のうち、最高速度は88kbps、最低速度は29kbpsだった。
HTTP通信 |
セッション |
9時 |
12時 |
15時 |
18時 |
21時 |
24時 |
トータル平均 |
1回目 |
67 |
71 |
77 |
76 |
72 |
79 |
74.0 |
2回目 |
81 |
81 |
72 |
73 |
77 |
83 |
3回目 |
74 |
78 |
66 |
68 |
63 |
74 |
平均 |
74.0 |
76.6 |
71.6 |
72.3 |
70.6 |
78.6 |
FTP通信テストの平均は43kbps
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FTP通信の実験に使ったフリーウェア「FFFTP」
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一方のFTPだが、全平均で43.6kbpsとなった。時間軸での平均はそれぞれ9時が46.4kbps、12時が35.1kbps、15時が42.0kbps、18時が42.9kbps、21時が45.2kbps、24時が49.8kbps。12時に若干低い数値を表わしたものの、全体的にはHTTP通信と同様に時間ごとのバラツキはあまり見られず、AirH"ネットワークにおける混雑の影響はほぼないとみていいだろう。
秀丸エディタのダウンロードに要した時間はおよそ120~130秒。体感速度としては「我慢できる」といった印象だ。よほど大きなムービーファイルやアプリケーションはともかくとして、1MB程度のファイル転送ならば十分実用的なレベルだろう。
FTP通信 |
セッション |
9時 |
12時 |
15時 |
18時 |
21時 |
24時 |
トータル平均 |
1回目 |
51.2 |
34.6 |
39.2 |
41.8 |
48.8 |
49.3 |
43.6 |
2回目 |
41.4 |
36.6 |
43.8 |
47.2 |
44.2 |
54.7 |
3回目 |
46.8 |
34.3 |
43.1 |
39.7 |
42.8 |
45.4 |
平均 |
46.4 |
35.1 |
42.0 |
42.9 |
45.2 |
49.8 |
まとめ
今回の試験では、実際の使用感を重視したものにするため、前述の通り、5回のテストのうち、最高速度と最低速度をサンプルから取り除いている。あくまでもテスト環境の上での話だが、データ転送中の通信エラーもしばしば見受けられた。正式サービスまでにさらなる改善を望みたいところだ。
正式サービス開始後は、試験サービス期間中とは比較にならない数のユーザーが利用することになる。そうした状況下でどのくらいの速度と安定性が得られるかがカギになってくるに違いない。
今回のテストの総評としては「かなり使える」レベルにあるAirH"の128kbpsサービス。今後もネットワークが整備され、90kbps前後出るようになれば言うことなしだ。月額9300円(年間契約割引利用時で8430円)の投資は決して安くはないが、HTTP通信試験時のように常時70kbps前後のスピードが出れば、ヘビーユーザーにとっては十分投資に見合ったリターンが得られるだろう。
・ DDIポケット
http://www.ddipocket.co.jp
・ AirH" Card(AH-G10)製品情報
http://www.ddipocket.co.jp/syohin/i_ah-g10.html
・ DDIポケット、128kbpsサービスを3月26日に開始
・ FOMA、高速パケット通信の実力は?
・ AH-G10 Monitor 作者ホームページ
http://plaza2.mbn.or.jp/~yoshio2/
(伊藤 大地)
2002/03/06 15:36
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