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アクセンチュアとGLOCOM、「通信市場の2010年、4つのシナリオ」

アクセンチュア 程 近智氏
 アクセンチュアと国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)は、両者が2001年10月から続けてきた「第3世代および第4世代移動通信システムに関する共同研究」プロジェクトの成果として、「2010年の移動通信業界を見通す4つのシナリオ」を発表した。

 研究報告は、第4世代移動通信システムをIMT-2000ベースのサービスと無線LANやBluetoothなどのホットスポットサービスに代表される固定網系のサービスとをシームレスに統合したものと定義し、そこに行き着くまでの4つのシナリオを想定し、個別に解説する形で行なわれた。発表会には、アクセンチュアの程 近智氏、大原正道氏、国際大学の山田肇氏らが出席した。

 レポートでは2つのグループ、4つのプレーヤーを設定している。まず、今後、3Gベースでビジネスを手がけていく「3Gグループ」として、NTTドコモ、KDDI、J-フォンなど現在すでに移動通信網を持ち、サービスを展開している「既存キャリア」、日本における日本通信、ヨーロッパにおけるヴァージン・モバイルのような、いわば自前の通信インフラを用いない仮想移動体通信業者「MVNO」を設定。さらに、3G以外のインフラを利用し、通信業界に関わっていく「3G以外」のグループとして、ホットスポットサービスやVoIPサービスなどを手がける可能性のあるNTT東西などの「新規参入プレーヤー」、データ通信サービスを提供するニフティやIIJに代表される「ISP」の2つを設定。「3G」と「3G以外」のそれぞれが、その普及度合いによって「マス」になるのか、「ニッチ」になるのか、その組み合わせで4つのシナリオを描いている。


4つのシナリオを構成するマトリクス
 1つ目のシナリオは、3Gが普及し、いわゆる「マス」の状態になり、そのほかのサービスが「ニッチ」にとどまった場合の「はてしない物語」だ。この状態では、現在約6兆円程度とみられる、移動通信トラフィック(基本料金、音声通話料金、データ通信料金)の市場規模は、2010年に9兆円程度まで拡大。現在と同じように、端末、インターネット接続、コンテンツサービスの管理などはすべて既存キャリアが行ない、いわゆる「キャリアによるオールインワン」の状態が続くという。

 2つ目のシナリオは、3Gがニッチに3G以外のサービスがマスになった場合を想定する「新時代の夜明け」。このケースでまず重要となるのは、固定通信系の技術が普及することだという。各家庭はもちろん、商店街、コンビニ、公共施設にブロードバンド環境や無線LAN環境が整備され、コスト的に有利な「モバイルVoIP」が実現すれば、基地局ベースの3Gはきわめてニッチになるという筋書きだ。このケースだと、ユーザー負担が多い3Gサービスから、コスト安の固定通信網制ベースへと雪崩現象が起きるため、市場規模は4兆円あまりまで減少するという。

 3つ目のシナリオは、3G、3G以外がともに普及し、棲み分けている場合のシナリオ「覇権争い」。この場合では、ユーザーは固定系通信サービスと移動通信の双方を契約するのが一般的な状態となり、インターネットへの出口として、どちらがより多く利用されるかという競争が激化するという。各プレーヤー1社あたりの収益ベースの規模は小さくなるものの、3G以外のサービスで多くのプレーヤーが参入するため、結果的には2010年の市場規模は9兆7100億円に達するという。これは、4つのシナリオの中で最大の額となる。ただし、競争が激化しているため、3Gと3G以外のサービスを統合したいわゆるシームレスなサービスは育ちにくい環境なのだという。

 4つ目のシナリオは、3Gおよび3G以外双方が普及せず、市場規模が大幅に縮小するモデルとなる「神話の終焉」。このモデルを生み出す最大の要因は、「通信の無料化」。ブロードバンド環境の発達に伴い、個人・企業・自治体などが固定回線の一部を「公共物」として解放することにより、無料ベースのVoIPフォンが普及するという。すべての建物や乗り物が「ホットスポット」として機能する状態になる。このケースでは3G、3G以外ともに、一部ユーザーが使用するにとどまり、通信トラフィックの市場規模は2兆1700億円にまで落ち込む予測だ。

 同研究では、4つのシナリオのうち、実際どのシナリオになるのかという予測については触れられていないが、研究グループでは「移動通信市場の未来について、日本では楽観論が支配的。ここで様々なシナリオを描き、問題提起することには大きな意義がある」としている。

 アクセンチュアの大原正道氏がまとめとして、「トラフィックだけに頼った成長はすでに限界」と語ったのが印象的だった。なお、今回の発表により両者の研究は目的を果たしたことになるが、アクセンチュアの程近智氏は、「大きな技術革新など、シナリオ変動要因があったときに書き換える必要性が出てくるだろう」と今後の研究への可能性を示唆し、発表会を締めくくった。


1G~4Gへのロードマップ 3G、3G以外のサービスの特徴

「はてしない物語」シナリオの概要 「新時代の夜明け」シナリオの概要

「覇権争い」シナリオの概要 「神話の終焉」シナリオの概要

各シナリオの市場規模予測 研究グループから各プレーヤーへのメッセージ

・ アクセンチュア
  http://jp.accenture.com/jp/
・ 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
  http://www.glocom.ac.jp/top/index.j.html


(伊藤 大地)
2002/01/23 15:24

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