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ドコモの国枝氏
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NTTドコモは、同社の国際事業展開に関して説明会を開催した。ドコモの執行役員で国際事業部長の国枝俊成氏より、ドコモの国際事業戦略やLTEなど次世代通信への取り組みなどが語られた。
世界の携帯電話契約数は、2008年12月に約39.8億件となり、40億件近くまでせまっている。しかし、その8割が以前として2GのGSM方式を採用しており、ゆっくりとW-CDMAへの移行が進んでいる状況だ。
なお、総人口から計算すると世界の携帯普及率は6割ほどになる。とくに、アジアやアフリカ地域は今後も成長が見込める市場と言われており、逆を言えば、欧米市場の成長は鈍化している。
欧州では人口あたりの普及率は100%を超えているが、スマートフォンなどの2台目需要によって契約数自体は伸びている。国枝氏は、iPhoneを契機としたタッチパネルや、QWERTYキーボード付きモデルについて触れ、スマートフォン分野に伸び代があるとした。
次世代通信技術の世界動向についても言及し、世界の主要なキャリアがLTEを採用しつつある状況を説明した。日本ではドコモ・KDDI・ソフトバンクがLTEの採用を明らかにしており、米国ではAT&Tとベライゾン、欧州ではボーダフォン、オレンジ、T-Mobile、テレフォニカがそれぞれLTEの採用または検討している。
国枝氏は、多くの事業者がLTEに歩を進めたことで、大量生産が可能になるとメリットを語った。ただし、LTEには莫大な投資と新たな周波数の割り当てが必要で、欧州委員会は、事業者に対して相応の負担を求めている。スペインで行われたイベント「Mobile World Congress 2009」でも、複数のインフラベンダーがHSPA+の拡張機能を現実路線としていた。既存インフラの拡張で実現できるHSPA+に欧州のニーズがあるようで、LTEの導入については、国策との絡みもありハードルが高いようだった。
■ ドコモ国際事業
こうした中でドコモは、国際ローミング収入の拡大、法人向け国際ソリューション、海外事業基盤の確立の3本柱で事業収益拡大を図る方針。2008年度の国際事業分野の収益は約1000億円となる見込みで、このうち600億円が国際ローミングなどの通信料、400億円が海外向け投資のなど配当や、iモードのロイヤリティとなる。
国枝氏は、法人向けの国際ソリューションなどの収益は微々たるものと説明し、海外進出した邦人企業の多く集まる上海やインドなどで積極展開していくとした。将来的には、国際事業分野の収益を総収益の約10%まで引き上げたい考え。
なお、国際事業の収益を6割を占めるローミング収入は、2008年度560億円となる見込み。2007年度の460億円から22%伸びたことになる。日本人渡航者多い地域では、日本向けサービスの提供を進めており、グアムや上海、中国ではおサイフケータイ「iD」が利用できる。また、韓国のロッテ免税店やロンドンの三越などでは、買い物中に携帯電話が充電できるよう充電スタンドなども用されている。
国枝氏は、韓国KTFとの間で展開している「海外プラスナンバー」についても紹介した。韓国には年間250万人の日本人が訪れ、頻繁に行くユーザーにはメリットがあるとした。日本人の渡航者が多い国での提供も検討されているという。
このほか、海外事業への出資などについては、アジアや太平洋地域を中心に、成長国への投資を進めていく方針。国枝氏は「インドやバングラディッシュにネットワークを作り、そこから配当やキャピタルゲインを得る」と語った。
昨年11月に発表された、インドのタタ・テレサービシズへの出資については、当初の予定通り、3月末に行われる予定。「インドのレギュレーションは厳しいが、ようやく内閣の承認を得てあとは事務処理のみ。3月末には払い込みが完了する予定」(国枝氏)とのこと。
NTTドコモはかつて、iモードを海外展開し、各国企業への投資を積極的に行なってきたものの、成功とは言い難い結果に終わった。現在、海外のiモードユーザーは500~600万人で、国枝氏も当初の想定よりユーザー獲得が進まなかったと述べている。
国枝氏は、海外投資などについて「今回は過去の反省を踏まえた戦略。成長市場を慎重に選び、投資するだけでなくシナジーを求めていく」とした、また、自然な成長を待つだけでなく、必要と思えばM&Aも行うとした。世界的に景気が失速する中で、円高により資金調達はしやすい状況だという。国枝氏は、「チャンスがあればいつでも」と意欲を見せていた。
■ フォトギャラリー
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
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(津田 啓夢)
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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