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Androidの国内展開、「日本のケータイの良いとこ取りを」
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2月2日、グーグルは同社内で定例会見を開催した。同社モバイルビジネス統括部長のジョン・ラーゲリン氏から、オープンソースの携帯電話向けプラットフォーム「Android」の最新状況や、日本市場に関する考えが紹介された。
■ グーグルの使命を果たすにはモバイル必至
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ラーゲリン氏
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アプリ開発者、ユーザー、端末メーカー・キャリアの三者間の中央に“自由”をもたらしたいという
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「Android」は、2007年11月に発表された携帯電話向けのソフトウェアプラットフォーム。開発推進団体の「Open Handset Alliance」(OHA)には、グーグルのほか、日本からはNTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイル、東芝、ソニー・エリクソンなどが参画している。
携帯電話向けのソフトウェアプラットフォームは、Linuxベースのものや、Symbian OS、Windows Mobileなどが存在するが、「Android」はLinuxベースのオープンソースであり、無償提供されることが最も大きな特徴とされる。ラーゲリン氏によれば、「Androidとは、シンプルに定義すればOS(Operation System)だが、LinuxカーネルやデータベースやSSL、OpenGL ESなどのライブラリや、Window Managerなどのアプリケーションフレームワーク、電話帳や電話機能、ブラウザなどのアプリケーションまで、個別かつ無償で提供する。これは革命的なことと考えている」と説明。無償提供することで、「端末開発コストの7~8割をソフトウェアが占めると言われており、無償提供は大きな変化をもたらす」(ラーゲリン氏)とした。
そもそも、なぜAndroidを提供するに至ったか、ラーゲリン氏は「グーグルは、デスクトップ(パソコン)の検索サービスだったが、“あらゆる情報サービスを世界中に提供する”という当社のミッションからすれば、常に手元にある携帯電話というものの存在は圧倒的だった」と語り、グーグルの使命を果たすには、携帯電話の世界に進出することは必須だったとした。
世界的に見ればマシンパワーに限度がある携帯電話が多く、アプリ開発者と端末メーカー・通信事業者、ユーザーという三者の関係においては、サービスプロバイダの意向を無視して標準化が進められたりした。日本はiモードなどで携帯電話を巡る各者の関係は良好に保たれていたが、それでも機種ごとのばらつきがあったり、海外展開が難しかったりする面もある。
ラーゲリン氏は、国内外のこうした状況を踏まえ、「ユーザー、端末メーカー・通信事業者、アプリ開発者という三者間の中央に、我々は“自由”という言葉を置きたい。ユーザーは好みのアプリをインストールでき、好みのWebサイトへアクセスできる。メーカーや通信事業者は、オープンソースのAndroidの良いとこだけを取って、ユーザーインターフェイスを変えるなど自由に使えるし、海外へも自由に展開できる」と、Androidは大きな役割を果たせるとの見解を示した。
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Androidの定義
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オープン性が一番の特徴
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ユーザーも自由にカスタマイズできる
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カーネル~アプリまで全て無償
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■ Android向けアプリ
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日本でもオープン性を重視
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開発キットにも注力
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Androidでは、アプリ配信プラットフォーム「Android Market」が提供されている。オープンさを重要視する姿勢を示したラーゲリン氏は、「これまでもiアプリのような形で、好みのアプリを作れるという環境はあったが、流通ルートが限られており、ユーザーに見つけてもらうこと自体も難しかった。たとえばiPhoneではAppStoreという仕組みがあるが、このような場があると、ユーザーは1カ所でアプリを見つけられるようになる」と述べ、各種アプリを集約する場の提供が重要とした。
Android Marketでは、開発者に対する審査は行われるものの、アプリ1つ1つに対する深い審査はなく、YouTubeのように自由にアプリを公開できるという。公開後はユーザーの評価を受けて、「良いアプリであれば高く評価され、そうでなければ沈む、自由な場になる」(ラーゲリン氏)という。Android Marketでの課金は、2009年の早い時期とされており、ラーゲリン氏は「間もなくスタートするだろう」と述べた。またアプリの種類についても、Androidではシステムの深い部分までカスタマイズできるとのことで、電話をかける際の電話番号が表示される画面をカスタマイズするアプリなども配信できるという。
日本では、一部のスマートフォンで審査を受けていないアプリをインストールできるが、多くの携帯電話では審査なしアプリで利用できる端末側の機能は制限されていたり、そういったアプリそのものをインストールできないこともある。Android Marketが日本でどうなるのか、ラーゲリン氏は「当社が日本の各事業者とお付き合いする前提は、オープンである、ということ」と述べ、詳細は語らなかったものの、オープンな形で展開する方針を示唆した。
開発者向けのツールは、現在αバージョンだが、改善を進めている最中という。エミュレーターなども充実され、テンキーやQWERTYキーでの操作を前提にした開発も可能とし、今後も開発ツールには注力するとした。
■ 日本市場での取り組み、世界にも反映
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今後のロードマップ
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ラーゲリン氏は今後のロードマップについても触れた。それによれば、2009年は多言語化を進めるとともに、日本語入力など入力方法のサポートなどに取り組む。日本市場については、「Androidを単純に日本語化するだけではない」と意欲を見せた。
また同氏は「日本で成功するためには、日本のケータイ文化を否定する必要は全くない。良いとこ取りをしたいと考えている。ユーザーが好む機能は数多くあり、それを取り込みながら、フルのインターネット、オープンな環境が楽しめるともっと良いのではないか。日本のケータイ文化とAndroidを土台に、力をあわせてやっていけば、日本のユーザーに喜んでもらえるものになるのではないか」と語る。
日本独自の仕様について、「グーグルだけで良い物と言い切れる権利はない」と語り、具体的には触れなかったものの、「(日本は)メール文化が非常に強いと思う」と述べた。なお同社では、昨年11月に絵文字のUnicode化を目指すプロジェクトをスタートさせている。
ラーゲリン氏は、「ここまで(ケータイを)身近に、毎日持ち運びたいというのは、世界の中でも日本が一番。しかし、欧米でのiPhoneの動向は、“幅広い情報をストレスなく見たい”というニーズが日本だけではなく、世界共通のものということを示した。日本は、iモード以来、音声・メッセージ以外の歴史が長い。ユーザーから寄せられるニーズは世界でも先進的。こういった部分はグローバル市場へも反映させる」とした。
■ URL
グーグル
http://www.google.co.jp/
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・ 第359回:Android とは
(関口 聖)
2009/02/02 14:04
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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