ブロードコムは11日、無線LANとBluetooth、FM技術を1チップに集積した「BCM4329」に関する発表会を開催。米BroadcomのバイスプレジデントであるMichael Hurlston(マイケル・ハルストン)氏がBCM4329やBroadcomの展開について説明した。
■ 11nの無線LANとBluetooth、FM送受信を1チップ化
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BCM4329
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BCM4329は、IEEE 802.11nおよびIEEE 802.11a/g対応の無線LANとBluetooth、FM送受信機能を搭載した無線LANチップ。無線LAN構成は1×1の2ストリームで、 IEEE 802.11n準拠の製品と組み合わせると最大150Mbpsの通信が可能。IEEE 802.11a/g準拠の製品との通信では最大54Mbpsとなる。
無線LANとBluetooth、FMを搭載した無線チップとしては、2007年2月に「BCM4325」が発表されているが、 BCM4325は無線LANがIEEE 802.11a/g準拠であるのに対し、BCM4329ではIEEE 802.11nに準拠することで高速化を実現。また、FM機能はBCM4325が受信のみだったのに対して送信機能も備えたことで、FMトランスミッタとして利用できるようになった。Bluetoothもプロファイルとして新たにA2DPをサポートしている。
BCM4325と比べて40%の省電力化を実現したほか、サイズも専有面積が75平方mm以下と、従来と比較して15%縮小し、同社では業界最小サイズとしている。無線LAN電波のカバー範囲もSTBC(時空間ブロック符号化、Space Time Block Coding)の搭載により、50%向上したとしている。
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FMトランスミッタを搭載
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STBCで無線LANのカバーエリアが拡大
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11n対応でスループットも向上
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■ 複数のワイヤレス技術保有が強み。前モデルはiPod touchに搭載
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BroadcomのバイスプレジデントであるMichael Hurlston氏
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Hurlston氏は、「BroadcomはBluetoothと無線LANチップの提供で世界一であり、GPSについても今は世界2位だが急速にシェアを伸ばしている」と説明。「こうしたいくつものワイヤレステクトロジーを持っている点が我々の強み」と自信を示した。
2007年2月に発表したBCM4325については「複数の技術を統合することで複雑性もあり、簡単に作れるものではなく、1年前の製品だが現在も採用されている」とコメント。iPod touchなどアップルの製品にも採用されているとの実績を紹介した。
今回発表したBCM4329は、BCM4325と比較してIEEE 802.11n準拠で高速性を図ったほか、STBCの採用で無線LANのカバー範囲も大幅に向上したと説明。実際のスループットでは従来製品の 25Mbpsに比べて倍近い50Mbpsを実現でき、通信時間が短くなることでバッテリーの消費も見込めるとした。
無線LANの動向としては「IEEE 802.11gからIEEE 802.11nへの移行が進みつつあり、対応機器も携帯電話やゲーム機、音楽プレーヤーなどと広がっている」とし、「ビデオコンテンツを無線LANでストリーミング配信しようという流れもある」とコメント。「こうしたトレンドは2009年にかけて伸びていくだろう」とし、「日本市場はこのような動きをリードする存在」と語った。
今後のワイヤレス技術のトレンドとしては、DLNAによるコンテンツ共有、位置情報サービス、携帯電話のIP対応という3つを指摘。位置情報に関しては「屋内では利用が難しいGPSだけでなく、携帯電話の基地局や無線LANアクセスポイントといった位置情報を組み合わせることでより正確な情報が得られる」との考えを示し、携帯電話のIP化については「ユーザーのトラフィックが膨大になっており、無線LANを搭載してIP化を図ることでそうしたトラフィックをより効率的に扱える」とした。
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DLNAによるコンテンツ共有が今後のトレンドに
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GPSに携帯基地局、無線LANの情報を組み合わせて位置情報をより正確に
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携帯電話のトラフィックをIP化することで効率化
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コンボチップでコストとスペースを削減
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コンボ化によって消費電力化も図れるという
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Bluetoothと無線LANの共存技術も
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■ URL
ニュースリリース(英文)
http://ja.broadcom.com/press/release.php?id=1233460&industry_id=2
(甲斐祐樹)
2008/12/11 14:07
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