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「xiao」を持ち、記者の求めに応じてポーズを取るタカラトミー代表取締役社長の富山幹太郎氏
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タカラトミーは6日、インク不要で撮ったその場でプリントできるデジタルカメラ「xiao(シャオ)」を発表した。標準価格は「xiao」本体が3万4800円、専用フォトペーパー20枚入が880円で、11月28日に発売する。
「xiao」はプリント機能を内蔵したデジタルカメラで、撮ったその場でプリントできる、従来のインスタントカメラをデジタルカメラ化した製品だ。
撮影した画像を、プリクラ感覚でその場ですぐプリントできるほか、赤外線ポートも搭載。赤外線ポートを持つ携帯電話から、携帯電話で撮影した画像を送信してプリントすることも可能だ。赤外線通信規格はIrSimpleとIrMC(IrDA Infrared Mobile Communication;IrDAのうち携帯電話に特化した規格)に対応する。
■ インク不要のZeroInk技術でコンパクトにプリント機能を内蔵
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米ZINK Imagingの上級副社長、Paul Baker氏
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「xiao」は、国内では初めて、米ZINK Imaging(以下ZINK)社が開発したZeroInk技術を採用する製品となる。発表会にはZINK社上級副社長のPaul Baker氏が出席し、「ZeroInk技術は専用フォトペーパーに発色性のクリスタル(結晶)を使い、熱を加えることで発色する仕組み。このため、印刷のためのインクを必要とせず、小型デバイスや、小さなスペースにも組み込むことが可能となる」とZeroInk技術のアドバンテージを説明。ZINK社はZeroInk技術に関して、100を超える特許を取得しているという。
Baker氏は、「テレビやパソコンなど、プリントしたいデータを持つ機器で直接プリントする機能を省スペースで実装できるため、すでに多くの引き合いが来ており、今後いろいろな機器に実装される可能性がある」と述べた。
■ 「写真は、撮るときより見るときのほうが楽しい」
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富山社長は、「xiao」開発の経緯やコンセプトを説明。タカラトミーは多くの人に笑顔を提供する企業でありたいと述べた
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タカラトミー社長の富山幹太郎氏は、「ZINK社から2005年頃、興味深い提案を受けた。ZeroInkという、プリンタにインクを使わない技術ができたので、これでなにか一緒にできないかという提案で、これを受けて、デジカメの開発に着手した。けっこう時間がかかったが、ようやく発表にこぎ着けた」と開発の経緯を説明。
富山氏は「画素数やスペックを競い合うカメラを作りたいのではなく、遊び心の詰まったカメラを作りたい。“写真は、撮るときより見るときのほうが楽しいよね”というコンセプトです。xiaoという製品名には、小さいという意味のほかに、笑うという意味も含まれています」とコミュニケーションツールとしてのプリント機能付きデジカメであることを強調。
「タカラトミーは、玩具と玩具の周辺市場において、より多くの人に笑顔を提供する企業でありたいと思っている。そういう意味で、インスタントカメラをデジタルカメラ化することで生まれる楽しさをみなさんに実感してほしい」と、高解像度化などで競うデジタルカメラ市場とは違う製品として広めていきたいとの考えを示した。
■ 海外向けには1月のCESで発表、米国では日本の3倍の市場を見込む
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通常のコンパクトデジカメや携帯電話と比べるとふた回りほど大きい印象だが、その場でプリントできるインパクトは大きい
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「xiao」は海外市場にも展開する予定だ。タカラトミーでは市場規模について、米国が日本の3倍、ヨーロッパは米国の6割程度と予測。日本が5万台なら米国は15万台、ヨーロッパは9万台となる計算だ。
海外展開においてパートナーとなる企業とは、現在最終の詰めを行っている最中で、「パートナー企業の名は現段階では明かせない」(富山社長)が、2009年1月に米国で開催される家電業界最大の国際展示会「Internatinal CES」で海外向けのお披露目を行うという。
「まずは、日本で第1世代となるこの製品を成功させることが第一の課題。この製品については第2、第3世代の展開も考えており、最初にどこまで市場の反応を得られるかが大事だと考えている。」(富山社長)
■ おもな仕様
「xiao」は、 カメラ部有効画素数は500万画素、撮影素子は1/2.5型CMOSイメージセンサーを搭載。記録画素数は、2560×1920(5メガピクセル)、2048×1536(3メガピクセル)、640×480(VGA)の3モードから選択できる。レンズは焦点距離が35mmフィルム換算39mm相当の固定焦点レンズを採用、デジタルズームは4倍まで。
記録メディアはSD/SDHCメモリカードスロットを装備。SDHCメモリカードは4GBまで対応する。このほか、内蔵メモリを16MB搭載。5メガピクセルで6枚記録できる。記録フォーマットはJPEG(Exif2.20、DCF)。
通信ポートとして赤外線ポートを搭載し、IrSimple、IrMCに対応。赤外線ポートを搭載した携帯電話で撮影した画像を「xiao」に送信してプリントすることも可能だ。
重量は約294g、サイズは149.5×74.5×25mm(高×幅×厚、レンズ部突起6mmは含まず)。電源は、専用ACアダプタと充電式バッテリーが付属する。
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大きさは、小さめのシステム手帳くらいのイメージだ
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名刺と並べてみた。名刺の右がプリント済みの専用フォトペーパー
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撮影距離は通常撮影0.6~1.45mと、遠距離撮影1.45m~∞の2モード。左にあるのが撮影距離モードを切り替えるスイッチ。中ほどに赤外線ポートがある
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SDカードのスロットにはカバーがかかっている
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■ URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.takaratomy.co.jp/company/release/press/pdf/p081106.pdf
「xiao」製品情報(タカラトミー)
http://www.takaratomy.co.jp/products/xiao/
(工藤 ひろえ)
2008/11/06 17:19
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