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クアルコム「Javaより速く自由度が高い」携帯用アプリ開発環境。

■ Javaより自由に開発でき、実行速度も速い「BREW」

BREW
左から、クアルコム ジャパン社長 松本徹三氏、米クアルコム執行副社長ポール・ジェイコブズ氏、KDDI副社長 小野寺正氏

 クアルコムは31日、携帯電話向けのアプリケーションをC/C++言語で開発できるプラットフォーム「BREW」(Binary Runtime Environment for Wireless)を開発したと発表した。KDDIは「BREW」プラットフォームを採用した端末を遅くとも年内に発表する見込み。BREWのソフトウェア開発キットは、2001年5月にアプリケーション開発者に無償で提供される予定だという。

 「BREW」はC/C++言語による共通実行環境を、世界で使われているほとんどのcdmaOne端末に提供することにより、世界中のベンダーが開発したアプリケーションをこれらの端末にダウンロードして利用できるようにするもの。携帯端末にアプリケーションをダウンロードすることで、携帯端末に機能を付加したり、スタンドアロンでゲームを楽しんだりできるようになる。

 携帯端末にアプリケーションをダウンロードして機能を付加することができる、という点ではNTTドコモが発売したiアプリ(Java)対応の端末と同じだが、開発言語がC/C++であるため、アプリケーションの実行速度はより速く、アプリケーションサイズは小さくでき、またJavaにはできないようなデバイスを直接コントロールするアプリケーションも開発可能になるなど、Javaよりアプリケーションのバリエーションが豊かになるという。

 「BREW」対応の端末では、例えば500KB程度の携帯電話のウェブブラウザそのものをダウンロードすることも、Java VMをダウンロードすることもできる。パソコンではJava VMやブラウザソフトを複数ダウンロード/インストールして、選んで使うことができる。「BREW」環境では現実にできるかどうかは別として(パケット通信料や搭載メモリ容量などの問題もあるため)、こうしたことも技術的に可能となる。また、ダウンロードしたウェブブラウザを最新バージョンにアップデートするようなことも技術的には可能だ。

 日本ではKDDIが「BREW」を採用する予定だが、そのほか世界の移動体通信事業者では、米国のVerizon Wirelessをはじめとした複数の事業者、韓国のKTF、メキシコのPegasoなども採用するという。また、日本のアプリケーションデベロッパでは、バンダイネットワークス、三井物産、ナビタイムジャパン、ACCESSがクアルコムと覚書を締結済みであると発表された。

 なお、「BREW」は現在、クアルコムのチップセットに対応。クアルコムのチップセットの2000年出荷実績は約5000万、2001年は9000万の出荷を見込んでいる。ただしクアルコムではチップビジネスをスピンオフ、クアルコム社から切り離す方針であり、他社のチップ、例えばGSM用のチップなどに向けても開発を行なう用意があるという。

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BREWのロゴマーク 高機能になるほど、アプリケーションの重要性が増す
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通信事業者向けの、eビリング・アプリケーション検証機能を提供するミドルウェアも無償提供 BREWのプラットフォームアーキテクチャ。Java VMやブラウザ、メールなども含むアプリケーションがBREWプラットフォームの上で動く

■ クアルコム松本氏「ドコモは緒戦で勝っただけ」

 発表会冒頭で、クアルコム ジャパン代表取締役社長 松本徹三氏が挨拶に立った。松本氏は「現在インターネット接続機能を持つ携帯電話の代名詞のように言われるiモードだが、iモードの成功物語は今年前半に収束するだろう」と述べ、その理由として「WAPは2001年後半から次世代に移行する」こと、「まだ携帯電話でのブラウジングは入り口のところの基本的な機能が提供されているだけの段階であり、第2ラウンドはクライアント?サーバーシステムによる、アプリケーションをダウンロードして端末で実行する段階になる」ことの2つを挙げた。このクライアント?サーバーシステムの決め手となるプラットフォームが、今回発表された「BREW」であるというわけだ。

 米クアルコム執行副社長ポール・ジェイコブズ氏の「BREW」プレゼンテーションの後には、同席したKDDI代表取締役副社長 小野寺正氏が「BREW」に対する期待を述べた。「KDDIおよびauでは昨年、端末の出荷が思うようにいかない時期があったが、高機能化している現在の携帯電話の開発においては、アプリケーション開発が占める部分が大きくなっており、BREWがこれを解決してくれると期待している。BREWによって、アプリケーション開発が携帯端末の開発から独立すれば、キャリアから見て非常に大きいメリットがある」と述べた。導入時期については「検討中だが、年内には間違いなく導入できる」とした。

 小野寺氏はまた、KDDIではこの夏にもJava端末をリリースする予定だが、この時期の端末はBREW対応ではなく、BREWプラットフォームを使わずにJava VMを実装することになるだろうと述べた。BREW対応端末は、その後年内のリリースが見込まれている。また、KDDIは1.25GHz帯を複数使用するcdma2000(MC-CDMA)システムを導入予定だが、BREWプラットフォームは現行のcdmaOneとcdma2000の両方に平行して提供していくつもりである、と述べた。

 なお、BREWプラットフォームはJavaプラットフォームに比べてプログラムの自由度が高く、アプリケーション間通信なども可能、デバイスを直接コントロールすることもできる。このため、ウイルスプログラムなども容易に作ることができると思われる。こうしたセキュリティの面について、米クアルコムのジェイコブズ氏は「そのために、BREWでは、それぞれのアプリケーションをデジタル署名による認証を行なう」と述べた。この点について小野寺氏は、「BREWのインターフェイスを完全に(一般ユーザーに対しても)公開するつもりはない。ただし、コンテンツプロバイダーさんに対しては公平に公開する」「Javaの方が多くの開発者にアプリケーション開発をしてもらえる利点があるが、BREWの上にJava VMを実装する環境であれば、BREWとJavaの両方の良い点が持てると考えている」と述べた。



URL
  米クアルコムのニュースリリース(英文)
  http://www.qualcomm.com/cda/PR/0,1802,,00.html http://www.qualcomm.com/cda/pr/view/0,1800,505,00.html
  ケータイ用語の基礎知識「cdma2000」
  http://k-tai.impress.co.jp/column/keyword/2000/08/01/index.htm


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(工藤 ひろえ)
2001/01/31 18:20

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