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ソフトバンクテレコム/ソフトバンクモバイル代表取締役社長兼CEOの孫正義氏
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ソフトバンクグループは9日、法人ユーザー向けの商品・サービス説明会「SoftBank Summit 2008」を都内のホテルで開催した。基調講演にはソフトバンクテレコム/ソフトバンクモバイル代表取締役社長兼CEOの孫正義氏が登壇。ビジネスの現場におけるiPhoneの優位性についてプレゼンテーションした。
今回のイベントには、ソフトバンク法人向けサービスの導入を検討しているユーザーらが招かれた。約2000名分の席が用意されたという基調講演会場はほぼ満席。また孫氏の基調講演以外に、サービスをすでに利用している企業の担当者らによるセミナーが複数実施されており、イベント全体では約2800名が参加したという。なお同グループによれば、「サミット」として大規模に法人向け説明会を実施するのは今回が初めて。
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会場ロビーには説明ブースなども設けられた
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約2000名分の席が用意された基調講演会場。開演直前にはほぼ満席に
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■ 「iPhoneのビジネス活用」をアピール
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講演中には、自身が日常的に使うiPhoneを披露するシーンも
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孫氏は2006年3月、ボーダフォンジャパンを買収することによって参入した携帯電話事業について「ソフトバンク創業以来掲げているただ1つの目標『デジタル情報革命の実現』、今風に言えばインターネット世界で革命を起こすためだ」とそのねらいを説明。音声通話が中心だった携帯電話の世界に、インターネットの概念を持ち込みたかったと解説した。
買収後には、ボーダフォン時代に問題とされた電波網、コンテンツ数、端末の魅力、営業体制などの改善に注力。孫氏は「当初こそ『1人負け』と言われたが、純増シェアの約半分を獲得できるまでに至った」と振り返る。また法人契約についても3年で10倍に到達しており、孫氏はこれを機に「日本のケータイを、ビジネスを戦い抜くための戦力にグレードアップさせたい」と展望した。
孫氏によると2008年は、携帯電話でインターネットを利用するための数々の要件がそろう「モバイルインターネット元年」とでも言うべき年だという。「8年間で通信速度は375倍、画面の解像度は24倍、CPUの能力も24倍。これだけの性能が実現されたことが大きなポイントであり、iPhoneをはじめとしたスマートフォンが2008年になって続々と登場したのは偶然ではない」と指摘する。
孫氏自身もiPhoneの登場によって、出張にノートPCを持参することがなくなったと話す。「これまではホテルに到着するたびに、ノートPCのネットワーク設定で30分から1時間くらいの時間を浪費していたが、それもなくなった。また、ちょっとした移動の時間などにもiPhoneでメール返信ができるようになったので、家に帰ってからPCと向き合う時間も節約できている」と、ライフスタイルに大きな変貌があったとも語る。
またビジネスの現場をコストの観点から分析した場合にもiPhoneは有効だという。「平均的なビジネスパーソンにとって、デスクと会議室のちょっとした移動なども含めた『移動時間』がはオフィスアワーの約30%に上るという調査結果がある。年俸500万円の社員で計算すると約150万円分の無駄。セキュアで、いつでも持ち歩けるiPhoneを使ってこの時間も仕事できれば、端末や通信コストもあっという間に回収できる」(孫氏)。
iPhoneの導入自体にコストはかかるものの、競争に勝てるだけのスピードを手に入れられることこそが魅力だとアピールする孫氏。「先進7カ国の中では日本の生産性がもっとも低いという統計もある。日本がかつての競争力を取り戻し、生産性を向上させるためにはiPhoneという武器が必要だ」とビジネスにおけるiPhoneの存在感を重ねて強調した。
■ iPhone3カ月無料モニターで「未来の携帯電話を体験してほしい」
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講演中には、自身が日常的に使うiPhoneを披露するシーンも
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iPhoneの魅力を具体的に解説していくなかで、孫氏が特に強調したのが、Microsoft Exchangeとの連携によるセキュアなメール環境の実現だ。孫氏が観客に対して「業務用メールをケータイでセキュアに利用している人」と質問したところ、挙手したのは数えられる程度。孫氏は「BlackBerryが普及している欧米に対し、ビジネスでケータイを使う上では日本が完全に後進国。日本のビジネスマンよ、恥ずかしくないのか! 目覚めよ!」と冗談交じりに訴えた。
またサイボウズやdesknet'sなど日本国内で普及しているグループウェアにも、ソリューションサービス「CACHATTO」との連携によってiPhoneはすでに対応済みであると孫氏は説明。iPhone専用アプリケーションを配信する「App Store」でもビジネス製品が続々登場していると補足する。
基調講演終盤ではiPhone活用法として、生花販売店チェーン、建設業界、化粧品や保険セールスなど各業種での導入例を提案。さらに、これら営業の現場だけでなく、労働者派遣業や介護業界における日報の処理などにも応用可能とした。
孫氏自身も運送業界での活用例を考えており、iPhoneの内蔵GPSを使って宅配ルートを自動選定することで、客先により正確な配送予定時間を伝えることが可能ではないか、と語る。「運送業界では留守による再配達の回数を平均2.5回から1.5回にできれば業界全体で3000億円のコストを改善できるという試算がある」と孫氏は話し、アプリケーションの実力次第では大きなコスト削減も可能だと指摘する。
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イベント参加企業向けに3カ月無料キャンペーンを実施
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なお孫氏は会場で、イベント参加の御礼として1社あたり最大5台のiPhoneを3カ月間完全無料で貸与するモニターキャンペーンの実施を発表した。「私用の電話に使っていただいても大丈夫。期間終了後に返却してもらってもノーペナルティなので、話のタネとしてでも使ってもらえれば。未来の携帯電話の姿が体感できるはずだ」。
「iPhoneを使い始めて最初の2週間くらいは、いままでのケータイと使い勝手が違うため頭にくるかもしれない」と語る孫氏。その上で「業務で使うアドレス帳をコピーし、社内メールにアクセスできる設定を行い、手持ちのCDをデジタル化して持ち歩いてもらえば3カ月経ったときにiPhoneが可愛くてたまらなくなるだろう。われわれの感じている興奮が無料モニターで少しでも伝われば」と述べ、講演を締めくくっている。
■ URL
SoftBank Summit 2008
https://www.sbsummit2008.jp/
(森田秀一)
2008/09/09 19:26
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