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これまでNTTドコモ・au・ソフトバンクモバイルの3社では、それぞれ異なる内容のパケット通信定額サービスを提供してきたが、ドコモが10月1日より新たなパケット通信定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」を提供することになり、それを受けたソフトバンクモバイルが「パケット定額フル」の下限額を値下げした。
auでは2種類のパケット通信定額サービスを提供しているが、そのうち「ダブル定額ライト」は、ドコモの新サービスと、ソフトバンクモバイルの改定後のプランと、ほぼ同じ料金体系となっている。今回の改定を踏まえ、ドコモの新サービスと従来サービスの比較、そして各社のサービスをあらためて見てみよう。
■ パケ・ホーダイ ダブルと従来プランを比べる
ドコモでは「パケ・ホーダイ ダブル」の提供にあわせ、既存サービスのうち「パケ・ホーダイ」「パケ・ホーダイフル」「パケットパック10」「パケットパック30」の新規受付を12月末で終了する。新規受付終了となってもサービスそのものは今後も継続されるため、ユーザーからすれば12月末までに「パケ・ホーダイ ダブル」「Biz・ホーダイ ダブル」を含めて、どのサービスが自分に合っているか見極め、既存サービスを選ぶかどうか選択することになる。ここでは、スマートフォン向けの「Bizホーダイ ダブル」は置いておき、通常の音声端末向けの「パケ・ホーダイ ダブル」を中心に既存サービスと比較してみよう。
サービス名 |
月額利用料 |
パケット単価 |
パケ・ホーダイ ダブル |
1029円(12250パケット)~4410円(52500パケット) フルブラウザ利用時の上限:5985円 |
0.084円 |
パケ・ホーダイ |
月額4095円 |
0.021円(iモード以外の通信) |
パケ・ホーダイフル |
月額5985円 |
0.021円(データ通信) |
パケットパック10 |
月額1050円 |
0.105円 |
パケットパック30 |
月額3150円 |
0.0525円 |
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「パケ・ホーダイ ダブル」の料金推移イメージ(ドコモ報道資料より引用)
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従来の「パケ・ホーダイ」「パケ・ホーダイフル」と比べると、「パケ・ホーダイ ダブル」は、iモードとフルブラウザ両方の用途をカバーしていること、そしてiモード通信時の上限額が「パケ・ホーダイ」より315円高くなることが大きく異なる。
従って、iモードサイトを頻繁に使うユーザーからすれば、既存の「パケ・ホーダイ」のほうが今後も使いやすいサービスと言える。一方、これまで「フルブラウザはたまに使ってみたいけど、パケ・ホーダイフルは高いなぁ」と思っていたユーザーにとっては、「パケ・ホーダイ ダブル」は乗り換えやすいサービスだろう。
「パケットパック10」のユーザーにとっても「パケ・ホーダイ ダブル」はパケット単価が安いため、切り替え候補となる。「パケットパック10」の無料通信分は1050円。1パケット0.105円のため、1万パケット(約1.22MB分)の通信まで無料通信分でまかなえる。「パケ・ホーダイ ダブル」であれば1パケット0.084円なので、1万パケットの通信では840円しかかからないため、「パケットパック10」よりオトクだ。
「パケットパック30」の場合を見てみると、パケット単価では、無料通信分3150円で6万パケット通信できる。この通信量であれば、「パケ・ホーダイ ダブル」のパケット単価の場合、単純に考えれば60000×0.084=5040円となり、「パケ・ホーダイ ダブル」のiモード利用時の上限額4410円に到達するため、「パケットパック30」のほうが安い。
従って、「パケ・ホーダイ」「パケットパック30」のユーザーは、今後も同程度の通信しか行わないと仮定すれば、プランを変更しないほうが得とも言える。一方、「パケ・ホーダイフル」「パケットパック10」のユーザーにとって「パケ・ホーダイ ダブル」への切り替えは十分検討価値がある。もっとも、「パケットパック10/30」と比べ、上限額が設定される「パケ・ホーダイ ダブル」は、大容量通信を行ったとしても高額請求にならない、という安心感に繋がる。これはパケット通信定額サービスの魅力の1つと捉えていいだろう。
また、「パケットパック」の無料通信分は、通話料に使うこともできるし、最大2カ月間繰り越せる点は、「パケ・ホーダイ ダブル」にない点だ。
■ 3キャリアのサービスは全て段階制に
「パケ・ホーダイ ダブル」だけではなく、auの「ダブル定額」「ダブル定額ライト」、ソフトバンクモバイルの「パケットし放題」「パケット定額フル」は、いずれも下限額~上限額の間で推移する段階制のプランだ。
これまでドコモのみ固定された金額のパケット通信定額サービスで、「他社と比べて300円安い」と訴求してきたこともあるが、今回の改定により、3キャリアのパケット通信定額サービスは、下限~上限の金額、そして1パケットあたりの単価(パケット単価)がほぼ横並びとなった。
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サービス名 |
月額利用料 |
パケット単価 |
ドコモ |
パケ・ホーダイ ダブル |
1029円(12250パケット)~4410円(52500パケット) フルブラウザ利用時の上限:5985円 |
0.084円 |
au |
ダブル定額 |
2100円(40000パケット)~4410円(84000パケット) PCサイトビューアー利用時の上限:5985円 |
0.0525円 |
ダブル定額ライト |
1050円(12500パケット)~4410円(52500パケット) PCサイトビューアー利用時の上限:5985円 |
0.084円 |
ソフトバンク モバイル |
パケットし放題 |
1029円(12250パケット)~4410円(52500パケット) PCサイトブラウザ利用時の上限:5985円 |
0.084円 |
パケット定額フル |
1029円(12250パケット)~5985円(71250パケット) |
0.084円 |
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各社の定額サービスをグラフで見たところ。ダブル定額(黄のライン)はゆるやかな角度で上昇していく
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各社の基本的なサービス内容は携帯向けサイトの上限額とフルブラウザの上限額を設定しているため、いわば「3段階のプラン」と言える。また、ソフトバンクは、「パケット定額フル」がiPhoneやXシリーズのようなスマートフォン向けプランという位置付けで、通常の音声端末で、PCサイトブラウザを使わないのであれば「パケットし放題」を選んだほうがオトクだ。また下限額を見ると、auの「ダブル定額ライト」のみ、他の2社よりもわずかに高い。とはいえ、違いはわずかで、各社ほぼ同じ料金体系と考えられる。
3キャリアのうち、auは月額2100円~4410円(PCサイトビューアー利用時で上限5985円)という「ダブル定額」を提供している。他の定額サービスと比べると、下限額が2100円と割高な一方、パケット単価は0.0525円と安く、通信量が8万4000パケット(約10.25MB)に達して、ようやく上限の4410円となる。「ダブル定額ライト」では5万2500パケット(約6.4MB)で上限の4410円に達するが、同じ5万2500パケットなら「ダブル定額」では2756円になる。毎月のパケット通信量が6万パケット前後という人にとっては「ダブル定額ライト」より「ダブル定額」のほうが良いだろう。
■ 切り替えのタイミング、支払額に影響も
同じ内容に見える各社のパケット通信定額サービスだが、「いつから利用するか」という切り替えのタイミングや、支払う金額に違いがある。
ドコモの「パケ・ホーダイ ダブル」は10月1日から提供されるが、予約は9月26日より受け付ける。「パケ・ホーダイ」ユーザーが「パケ・ホーダイ ダブル」へ切り替える場合、当月中(当日)からの利用を希望すると、支払う利用料は「パケ・ホーダイ」分の4095円に加えて、「パケ・ホーダイ ダブル」分の1029円~5985円がかかることになる。つまり、利用料は日割り計算されない。10月1日スタートのサービスに対して予約受付を行うのは、そのためとも言えるし、同社では「翌月からの適用」という手続き方法を用意している。
ちなみに「パケ・ホーダイ ダブル」はiモード通信とフルブラウザ通信で、上限額が異なっている。計算方法をドコモに確認したところ「月末時点で、まずiモード通信分を算出する。その後フルブラウザ通信分を計算する。仮にiモード通信で膨大なパケット通信量となっていても、その分は4410円で留まり、その後フルブラウザ通信分を上乗せする」という。フルブラウザをちょっと使った程度であれば、4410円+数百円で済む可能性もある。
auでは、「ダブル定額」「ダブル定額ライト」に変更する場合、翌月からの適用となる。ただし、CDMA 1XからWINに機種変更した場合は当日から適用される。またWIN端末ユーザーがWIN端末へ機種変更する場合は、当月の1日にさかのぼって適用する。PCサイトビューアー利用時の料金計算は、ドコモと同じで、まずEZweb通信分を算出してから、PCサイトビューアー利用分が加算される。
ソフトバンクモバイルの場合、定額サービスの適用や解除は、当月中はできず、翌請求月での適用・解除となるため、こちらも当月利用による日割り計算という考え方はない(新規契約や2Gから3Gへの切り替え、解約では日割り計算となる)。また、「パケットし放題」契約中に一度PCサイトブラウザを使った場合、通信料はドコモやauと同じく、Yahoo!ケータイとPCサイトブラウザの通信は分けて算出される。
【お詫びと訂正 2008/9/1】
ソフトバンクモバイルの「パケットし放題」について、記事初出時、「一度PCサイトブラウザを使うと、その後の通信分はYahoo!ケータイ分とPCサイトブラウザ分を合算して算出する」と記載しておりましたが、正しくはYahoo!ケータイ分とPCサイトブラウザ分をわけて算出する、という形になります。お詫びして訂正いたします。
パケット通信の定額サービスは現時点で横並びの料金体系となり、「どこと契約しても同じ料金」と言える状況になった。一方、各社の基本利用料を見ると、ドコモの「プランSSバリュー」やauの「新シンプルプラン プランSSシンプル」、ソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」は、いずれも月額980円で、一見するとこちらも同じように見える。しかし、実際は無料通話分の有無や家族間通話、あるいは同じキャリア間通話の料金で違いがあるため、そのあたりで“オトク度”を判断しても良いだろう。ユーザーとしては、各社に対して今後も料金面での競争を検討してもらいたいところだが、パケット通信定額サービスの在り方は、これで完成形と言えるのか、あるいは今後も進化することがあるのか、注目したいポイントだ。
なお、今回取り上げたパケット通信の定額サービスは、パソコンなどに接続して携帯電話をモデム代わりにするデータ通信、あるいは海外渡航時に現地で使う国際ローミング時の通信は対象外。利用時には注意しておこう。
■ URL
NTTドコモ パケ・ホーダイ ダブル
http://www.nttdocomo.co.jp/charge/discount/new_service/
au ダブル定額
http://www.au.kddi.com/ryokin_waribiki/waribiki/double_teigaku/
au ダブル定額ライト
http://www.au.kddi.com/ryokin_waribiki/waribiki/double_teigaku_light/
ソフトバンクモバイル パケットし放題
http://mb.softbank.jp/mb/price_plan/3G/packet/
パケット定額フル
http://mb.softbank.jp/mb/price_plan/X/packet_full/
■ 関連記事
・ ドコモ、段階制のパケット定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」
・ ソフトバンク、「パケット定額フル」下限額を値下げ
(関口 聖)
2008/08/29 20:56
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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