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英Symbian CEO、Symbian Foundationは「革新的な一歩」

英Symbian CEOのナイジェル・クリフォード氏

シンビアンのイノベーションの領域
 シンビアンは、17日より開催されるカンファレンスイベント「Symbian Summit Tokyo」の開催に先立ち、来日した英Symbian CEOのナイジェル・クリフォード氏が出席する記者会見を開催した。6月に発表された新団体「Symbian Foundation」の構想が説明されたほか、会見後にはクリフォード氏にインタビューする機会も得た。

 記者向けの説明会では、10周年を迎えたシンビアンの歴史と近年の採用端末の拡大ぶりなどが紹介された。クリフォード氏は「OSに集中してきたことが成功の要因。パートナーが成功するためのプラットフォームを構築できた」と分析するとともに、イノベーションを継続して実現してきたことを紹介。「世界でもっとも広く利用されるソフトウェアを目指す」という同社のビジョンに対し、「達成するためのステップ」が次に説明する「Symbian Foundation」であるとした。

 同氏は、Symbian Foundationは「参画する各社で共有するビジョンを、実現するためのもの」と語り、無償化や、将来にわたるエコシステムの実現を目指すという。業界をリードする端末メーカーや通信事業者が集まったことで、「類のないプラットフォームを目指す」と意気込むとともに、誰でも参加できるとして、モバイル業界に広く参加を呼びかけていくとした。また、Symbian Foundationではプラットフォームの管理を行うとともに、各機能との連携やマスターコードの管理を行い、将来における互換性の確保も担当する。

 クリフォード氏はSymbian Foundationの取り組みが「思い切った、革新的な一歩」と述べ、今後の取り組みに意欲を見せた。


Symbian FoundationではS60、UIQ、MAOP(S)もオープン化され提供される 共通プラットフォーム部分は無償化されるのも大きな特徴

Symbian Foundationの参画メンバー。今後の参加も自由だ ロードマップ

シンビアン 代表取締役社長の久 晴彦氏

国内では累計で88機種、3800万台が出荷された
 日本法人のシンビアン 代表取締役社長の久 晴彦氏は、Symbian Foundationの取り組みによりオープンな共通プラットフォームが国内でも拡大するとし、「日本のパートナーが海外市場に進出できる良い機会になる」と述べると共に、「海外のパートナーにとっても同じことで、本当の競争ができるようになるだろう」と語り、国内市場と海外市場の垣根が低くなるとの見方を示した。

 質疑応答の時間では、グーグルが中心になって進めている携帯向けプラットフォーム「Android」やアップルのiPhoneに対する質問が多数を占めた。クリフォード氏は、Androidについて「Linuxプラットフォームのひとつ、という認識は変わっていない」と大きな脅威にはならないとの見方を示し、Androidが目指すプラットフォームのオープン化もSymbian Foundationが実現すると語った。

 一方で、Symbianにとってグーグルはすでに協業も行っているパートナーの1社でもあるとし、「アプリレベル、OSレベルであっても、協業することになるなら歓迎したい」と、Symbian Foundationの誰でも参加できるという基本方針を改めて強調した。

 日本の携帯に対する影響について久氏は、「各メーカーなどが、独自色を出すことがもっとやりやすくなる。(オープン化で)プラットフォームやミドルウェアのコストが下がり、ハードウェアやユーザーインターフェースなど付加価値の部分に投資できる。日本のよいところをますます出せるプラットフォームになる」と述べた。


会場には海外の最新端末も。写真はノキアのN78 こちらはモトローラのZ10。スライドした後、キー側ボディに角度が付くギミックを搭載

ナイジェル・クリフォード氏にインタビュー

インタビューに応じるナイジェル・クリフォード氏
 記者向けの説明会の後に、英Symbian CEOのナイジェル・クリフォード氏にインタビューする機会を得たので、Symbian Foundationや日本市場について伺った。

 Symbian Foundationは、既存のプラットフォームや技術を各社が持ち寄り、オープン化して提供していくという新たな試みであると同時に、業界をリードしている大手企業が中心メンバーとして参画しているのがAndroidやiPhoneとは異なる特徴となっている。

 Symbian Foundationの強みについて、クリフォード氏は、「さまざまな機種に提供できるのが強み」とし、これまでのSymbian OSでも実現されてきたさまざまな端末のサポートがより拡大するとの見方を示す。日本国内では、FOMA端末を軸として、2007以降に採用端末が急速に拡大している。これら日本での活動は「基本的だが、不可欠なことを成功体験として学んだ」とのことで、品質の高さや、モバイルコマース、GPS、高いセキュリティ機能などがSymbian Foundationでも活かされるとした。

 日本国内の一般ユーザーにとって、Symbian Foundationの取り組みがどういう変化をもたらすのか? との問いには、世界中で展開されているようなアプリが国内でも展開できるようになるといった例が示された。もっとも、具体的なサービスは端末メーカーや通信キャリアの施策次第で変わる部分であり、Symbian Foundationで許容される多様性の中での一例となる。

 マルウェアといった脅威に対する取り組みでは、現在はアプリを事前に認証する「Symbian signed」などの仕組みが用意されているが、Symbian Foundationにおいては現在専門家と具体策を検討中とのことだった。

 アプリなどの開発者に対するメリットとしては、世界の市場をターゲットにできることが挙げられ、「大手企業であれ個人であれ、開発者はより多くの人に使ってもらいたいと考えている。世界の携帯電話メーカーがSymbian Foundationのプラットフォームを使うことになれば、大きな市場になる」と語り、アプリケーションの市場としても大きな可能性をもったプラットフォームになるとした。



URL
  シンビアン
  http://www.symbian.com/japan/
  Symbian Summit Tokyo 2008
  http://www.symbian.bz/summit2008/

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(太田 亮三)
2008/07/16 16:57


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