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ソフトバンク孫社長、「iPhoneは発売と同時に売り切れる」
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有楽町の東京国際フォーラムで開催された
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ソフトバンクは、6月25日午前10時から、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、第28回定時株主総会を開催した。会場には1595人(昨年は1751人)の株主が出席。インターネットなどによる議決権行使を含めて、議決権行使株主数は88万451人、議決権個数は661万8852個に達した。
iPhoneの発売が7月11日に控えていること、また、iPhoneに関してはプレスリリースだけの発表となっていたことで、代表取締役社長の孫 正義氏は、iPhoneに関する説明に時間を割き、いみじくもiPhoneの製品発表といった様相を呈した。
iPhoneに関して孫社長は、「世界で最も先進的な機種がiPhone 3Gである。発売と同時に初期出荷量は売れてしまうだろう」と語り、「1時~21時まで無料通話ができるホワイトプランによる980円の基本料金によって、データアクセスの利用料金が定額で5985円、Sベーシック契約で315円をあわせた7280円という料金体系でスタートする。iPhoneの端末価格は、実質負担金で2万3040円。24回分割で、月々960円となる。16GBでも3万4000円という価格である。16GBを積んだ端末は、日本にはない。メモリーを最も積んだ機種であり、この価格は圧倒的な安さ、機能を持ったものになる」とした。
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WWDC2008の会場で握手を交わすソフトバンクモバイルの孫 正義社長(左)とアップルのスティーブ・ジョブズ CEO(右)の写真
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アップルが米国で開催したWWDCにおけるiPhoneのデモストレーションの様子をビデオで放映。また、孫社長自らがすでに使用しているiPhoneを株主に見せながら、「iPhoneは電話としても、音楽マシンとしても最高の機能を持ち、インターネットにアクセスする意味でも最高の機能を持っている。電話機能は、触るだけで便利にかけることができる。これは驚きの快適さである。メールも、タッチするだけでさまざまな文字を入力でき、閲覧でき、快適にサクサク見られる。みなさんもiPhoneを使ってみると、その快適さに驚くはずだ。インターネット利用については、指で触るだけで、拡大、縮小、そして画面を動かすことができる。パソコンを使ってインターネットを見るよりも自由に見られる。これには私も驚いている。パソコンを使ってネットを見るということが急激に減った。みなさんのライフスタイルが変わると信じている」などと語った。
さらに、「iPodは、世界中の若者の音楽の聴き方を変えた製品。それと同じ機能がiPhoneで実現する。この一台のなかに100枚、300枚のCDが入っている。auが音楽ケータイのポジションを一度獲得したが、iPhoneによって、いままでのケータイで音楽を聞いていたのは何だったんだろうと思うはずだ。音質が良くて、もっと便利に使える世界がもたらされる」と述べた。
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iPhone 3G
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そのほか、「GPS機能を利用して、自分がいまどこにいるのかがわかり、スターバックスのコーヒーが飲みたい場合にも、瞬時に地図上に場所が出てくる。また、自分のいる場所を相手に教えることもでき、デートの誘い方もiPhoneによって変わる可能性がある。カレンダー、スケジュールなどの機能が、パソコンと完全に連動して、画面に触るだけで、自分のスケジュールが見られる。加えて、iPhone向けに、全世界で25万人の人たちが、新しいコンテンツを競争して作っている。これが7月11日からオンラインのアップルストアでも入手できるようになる。ゲームマシンとしても優れた機能を持っており、WiiやニンテンドーDSで実現されているような操作性を取り入れたのがiPhoneである。音楽の演奏もできる。従来の単純な電話機から、インターネットマシンになり、ゲームマシン、音楽演奏マシンとして、パソコン以上に便利なツールであり、生活に欠かせない、新しいライフスタイルを提供するものとなる」などとした。
さらに、「iPhoneの出荷によって、インターネットマシンとしての利用が、爆発的に牽引されることになる」とし、「これまでのケータイは、音声通信で利用され、収入も音声通話が圧倒的大半だった。だが、これからはデータ通信の収入が大半を占める時代がやってくる。iPhoneの料金体型は、音声収入よりも、データ収入に力点をおいたものであり、これが新しいビジネスモデルの流れになる。iPhoneでは、1台あたりの情報量が増加し、10~20倍もデータパケットへのアクセス量が増えると見ている。これだけ使っても定額料金で利用できる。利用者にとってもメリットがある料金プランだ。1年半前に、ソフトバンクは、割賦販売方式を新たに生み出したが、もはやドコモもauも右ならえになっている。iPhoneによって提案する、データ通信中心のモデルも、彼らは目指していくことになるだろう。これが世界的な流れになる。米国でのAT&Tの事例を見ても、一般ユーザーからの通信収入は、iPhoneの場合、通常の端末より1.8倍の収入を得ている。経営面でも魅力的なものである」と語った。
■ 携帯事業でインターネット企業の強みを活かす
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ソフトバンク孫社長(写真は6月3日、夏モデル発表会のもの)
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総会の冒頭に行なった2007年度の事業報告は、ビデオを通じて行ない、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益が、いずれも創業以来最高になったこと、携帯電話事業において第3世代携帯電話ネットワークの増強、第3世代携帯電話端末の充実、携帯コンテンツの強化、営業体制/ブランディングの強化を重点課題として掲げた。また、顧客基盤の拡大やソフトバンクブランドの認知度向上に取り組んできた結果、月間純増数が今年5月末まで13カ月連続で純増シェア首位に立ち、通期ベースでの純増首位を初めて獲得したことなどを示した。
同期における携帯電話端末の機種数は、36機種172色になったという。また、ソフトバンクショップは、570店増加し、約2600店舗に拡大した。
孫氏は、「今日は、過去10年のソフトバンクを振り返り、これから10年どんな方向に向かっていくのか説明したい」とし、「私は、携帯電話を使ったインターネットを制するものがインターネットを制する、またアジアを制するものが世界を制すると考えている。ソフトバンクは、今後10年間はこの2つに集中する」とした。
孫氏は10年前を振り返り、「10年前の売上高は約5000億円であった。PCソフトの卸売り販売、雑誌の出版が主軸であったが、その後、ブロードバンドに参入し、日本テレコムを買収し、さらにボーダフォンジャパンを買収し、携帯電話事業に参入した。現在は、ここ数年に新しくスタートした事業が売上のほとんどを占め、成長路線に入っている。3年ちょっと前には営業利益、経常利益とも大幅な赤字だったが、現在は、創業以来最高の業績を達成している。営業利益でも、新しく開始した事業による利益がほとんどである。ソフトバンクは、常にチャレンジをし続け、世の中よりも一歩か二歩先行して投資し、それが現在の業績に結びついている。かつて切磋琢磨していた企業は業態を変えていない。それらの企業は、パソコン業界の業態が変化するとともに輝きを失った。ソフトバンクは、市場の変化、技術の変化に果敢にチャレンジした結果、今の業績につながった」と語った。
また、「これまでは、PCによるインターネットのアクセスが中心だったが、これからは携帯電話を使ったインターネットへのアクセスが中心になる時代へと入ってくる。インターネットは世界が注目する熱い業界である。そして携帯電話を中心にインターネットの事業が展開されると信じている。なぜ、ソフトバンクが携帯電話事業に参入したのか、また携帯電話によるインターネット利用がパソコンを越えると考えているのか。パソコンは全世界で年間2億7000万台が出荷され、パソコンの前に座るのは一日2時間程度。だが、携帯電話は年間で11億台が出荷され、24時間所持している。出荷台数、そして利用時間数で携帯電話はパソコンを大きく上回っているからだ」と述べた。
さらに孫氏は、「2008年は、モバイルインターネット元年である。それには、3つの理由がある。ケータイのCPUの速度が大きく進展したこと、通信速度が375倍になったこと、画面の精細度が約24倍に高まったこと。インターネットを見るのに適した技術的要素が揃ったといえる。ソフトバンクは、2008年にはケータイがインターネットマシンに進化することを想定し、2年前にボーダフォンジャパンを買収した。また、投資のほとんどを、通信インフラをハイスピードネットワークに進化させるための事前準備に費やしてきた。物事を準備するのに2年程度はかかる。いまや代表的なインターネットサービスの利用は、急速な勢いで、ケータイに移行している。ケータイがインターネットマシンに進化するまでは、電話会社が携帯電話事業をやっていたが、これからは、インターネットをやってきた会社が携帯電話事業を行なう方が、より先進的なサービスを提供できる時代がやってくるだろう。携帯電話事業において、中心的な役割を果たすのは、マイクロソフトやアップル、グーグル、ヤフーといった企業になるだろう。ソフトバンクは、音声サービスをやるために携帯電話事業に参入したのではなく、インターネット事業をやるためにボーダフォンを買収した」とした。
■ 海外市場への展望、投資活動など
アジアにおけるインターネット事業に関しては、チャイナモバイルとボータフォンで合弁会社を設立したことに触れ、「この3社で7億人のユーザーを持っている。日本では、ソフトバンクは1900万人の利用者に留まり、ドコモやauに負けているが、3社連合では全世界20億人の携帯電話ユーザーのうち、7億人を占める。ここに日本での先進的サービスを提供していきたい」とした。
また、「世界最大の経済大国は米国である。だが、あと数年で中国が抜き、インドも米国に追いつき、追い越すことが見えている。世界のインターネット人口は、米国が50%を占めており、アジアが19%。しかし、2015年にはアジアが50%、米国は12%という時代がやってくる。これまでのように、米国で一番を取らないと世界で一番にならないというのではなく、アジアで一番にならないと世界の一番にはならない時代となる。中国で圧倒的ナンバーワンであるアリババ、タオバオ、アリペイ、シャオネイというネット企業がソフトバンクグループにはある。また、日本にはヤフージャパンという圧倒的ナンバーワンの企業がある。アジアでは確実に1位であり、これを維持するためにアジアの国に広く展開していく」とした。
一方、「ソフトバンクは、左手に営業キャッシュフローと、右手に投資事業がある。営業キャッシユフローでは年間6000億円、投資事業では3000億円の投資が2.6兆円になった。10年前には米国に投資し、5年前には日本に投資し、現在はアジアを中心に投資している。しかもインターネット事業だけに集中した。投資家としてはウォーレン・バフェット氏が有名だが、インターネット業界のバフェット氏のポジションにあるともいえる。ソフトバンクをインターネット企業として捉えるならば、米グーグルに次いで、世界で2番目に営業キャッシュフローを持っている会社である。ヤフー、イーベイ、アマゾンよりも、ソフトバンクは高い位置にある。また、グーグルは、検索サービスと、コンテンツとしてYouTubeを持っている会社。それに対してソフトバンクは、インフラ、プラットフォーム、その上のコンテンツを持ち、垂直統合、水平統合が可能な企業である。グーグルは欧米市場をターゲットとし、パソコンを中心にやっている。ソフトバンクは、携帯電話でのネット接続を中心に、市場もアジアを対象としている。今後、どちらの成長率が高くなるか。ここに私の経営理念、ビジョンがある」と述べた。
■ Android、3.9Gへの考え方など
約1時間に渡る説明の後に行なわれた質疑応答では、グーグルのAndroidの採用について質問が飛び、「Androidのほかにも、ノキアを中心としたSymbian、マイクロソフトのWindows MobileといったOSがある。これらのOSは、1つに偏るのでなく、互いに競争し合うことになるだろう。ソフトバンクは、ハードだけでなくインフラとソフトを含めたトータルサービスで競争すると考えており、グーグルのAndroidは、その要素技術の1つになる」と答えた。
3.9世代への取り組みについては、「どの事業者も、3.9世代に対しては、まだ設備投資を開始していない。LTEを中心とした技術があるが、技術標準が定まっていないためだ。慌ててやると、ドコモが第3世代の投資を慌てたために無駄が発生した事例があるし、第2世代では日本だけが先行し、世界の技術標準から孤立し、共通性をなくしたという弊害が発生した。技術検証などをやっており、ベストなタイミングで投資したい。意志決定と行動は、世界で最も早い部類である。素早い行動で事業を展開していく。タイミングについては任せてほしい」と回答した。
また、「3.9世代は、電波のカバーエリアを広める技術でなく、通信速度を上げるものである。カバーエリアを広めるには、総務省から周波数帯の許認可を得る必要がある。ドコモやauは、優位な800MHzを許認可で得ており、当社がボーダフォンを買収した時には、その許認可が得られていなかった。2012年には、周波数帯の再割り当てが予定されている。2社に追加で割り当てるのではなく、これまで周波数帯が割り当てられていない我々に、先に割り当てていただけると信じている。2012年の時には、正当な主張としてさせてもらうつもりだ」とした。
一方、配当金の引き上げなどの提案に関しては、事業投資を優先する姿勢を見せたほか、「これまで自社ビルを持ったことがないのは、不動産の価値の上昇を待つより、借入金の返済や事業投資した方が良いと判断しているから」などと回答した。
IPTVについては、「インターネットは、文字、写真、音声、動画をトータルに提供するもの。ケータイでのインターネット利用に力点を置くが、PCをないがしろにするわけでなく、テレビも同じだ。すべてのテレビがインターネットに繋がる時代がやってくる。それに向けた技術投資や、ビジネスモデルの実験も繰り返し行なっている」とした。
このほか孫氏の人生50年計画についても質問があり、「60代には、次の経営者にバトンを渡す考えでいる。今、50歳なので、10年~20年をかけて見極めてバトンを渡していく。今でも不慮の事故の場合は、しっかりとした経営陣がいるので委ねることができる。2~3年前までは波瀾万丈で、いつ倒れてもおかしくないという冒険をしていた。だが、経営基盤が整い、組織がかなりしっかりとしてきた。今日現在は、私個人の力で持っているよりは、集団体制となっている」と語った。
なお、決議事項である剰余金処分については、満場一致で可決され、12時13分に閉会した。
■ URL
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
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(大河原克行)
2008/06/25 13:06
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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