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ソフトバンク、2007年度業績は過去最高を更新

ソフトバンクの孫正義社長
 ソフトバンクは、2007年度連結決算を発表した。売上高は、前年比9.1%増の2兆7,761億円、営業利益は19.6%増の3,242億円、経常利益は68.6%増の2,586億円、当期純利益は277.0%増の1,086億円となった。連結業績は、いずれも創業以来過去最高となった。


移動体通信事業の営業利益は12.1%増の1,745億円

連結業績

純増数でドコモ、KDDIと比較
 移動体通信事業は、売上高が13.1%増の1兆6,308億円、営業利益は12.1%増の1,745億円。ソフトバンクモバイルの純増数は267万6,500件となり、通期純増ベースでは初の首位となった。全契約者数は1,800万件を突破。3G携帯電話の契約数は1,400万件を突破したという。

 「純増数が増加したのは、3社のうちソフトバンクモバイルだけ。前年比で3.8倍もの純増数となっている。3Gの契約比率は75.4%に達しており、新規では99%が3Gになっている」(ソフトバンク・孫正義社長)とした。

 3G携帯電話の基地局数は前年期末から2万9,404局増加し5万1,320局に、期中に発売した3G端末機種数は36機種、172色に達し、「AQUOSケータイや、HSDPA対応、インターネットマシン、そして、ガンダムケータイやディズニーケータイもある。業界一の品揃えであり、なんでもあるソフトバンクといえる状況になった」(孫社長)とした。また、ソフトバンクショップは2,653店に、ホワイトプランの申し込み件数は1,200万件を突破したという。

 ホワイトプランは、新規加入者の90数%に達しているほか、全ユーザーの2/3にあたる65%がホワイトプラン加入者となった。割賦販売制度である新スーパーボーナスの契約数は59%に達し、新規では90%近くが新スーパーボーナスに契約。とくに、個人ユーザーでは90数%の比率に達しているという。

 「これまでは3月が重要なことであるとは考えていなかったが、今年は半年以上をかけて入念な準備をしてきた。ホワイト学割を用意し、広告宣伝にも力を注いだ。結果として、通常月の3カ月分の契約数を獲得し、過去最高の契約数で純増シェア首位を獲得できた」と、最大の商戦期での首位獲得を自己評価した。

 ARPUは4,310円と前年度期末に比べて900円の減少。音声ARPUは2,710円、データARPUは1,600円となっている。「しかし、割賦請求分を加えた本質的なARPUは5,540円となっている。ソフトバンクモバイルになってからARPUが激減しているというイメージがあるだろうが、本来の姿は拡大している」として、割賦請求分を加えた、前年度期末に比べて110円増加していることを示した。「音声ARPUは減少しているが、通話分数は激増している。若者は、音声通話を利用しないと言われているが、むしろ通話を多く利用している」という。

 なお、iPhoneの投入については、これまでの回答と変わらず、「ノーコメント」とした。

 また、ソフトバンクBBを中心としたブロードバンド・インフラ事業は売上高が2.3%減の2,580億円、営業利益は48.1%増の397億円。ソフトバンクテレコムを中心とした固定通信事業は売上高が0.9%減の3,707億円、営業利益は33億円と黒字転換。ヤフーを中心とするインターネット・カルチャー事業は売上高が27.5%増の2,476億円、営業利益が19.4%増の1,152億円。イーコマース事業は売上高が0.3%減の2,707億円、営業利益は52.8%減の31億円となった。


セグメント別の売上高 連結の利益

飛躍的に伸びた純増数 他社と純増数の推移を比較

ホワイトプランは全体の3分の2に 割賦販売も順調に拡大しているとする

3G端末が中心に ARPUや割賦請求分について

「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する」

「インターネットマシン」を手にする孫社長
 孫正義社長は、説明の最初と最後に、「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する」、「アジアを制する者が世界を制する」と書かれたスライドを示し、「このスライドは、今後10年間に渡り、継続的に示すものになる。ソフトバンクの事業は、この2点に集約する形で進んでいく。当社のすべて活動の本質的な部分はここにある。このスライドを記憶に留めて欲しい」と語った。

 モバイルインターネットへの取り組みとしては、今年から孫社長が打ち出した「インターネットマシン元年」としての取り組みを説明し、Yahoo! JAPANの携帯トップページのページビューが、「Y!ボタン」を携帯電話に搭載した2006年6月末に比べて約91倍に増加していること、有料音楽配信の実績では約9割が携帯電話で利用されていること、mixiのページビューの68.1%が携帯電話から閲覧されていることを示しながら、「携帯電話がインターネットマシン化することで携帯電話の利用環境が大きく変化する。インターネットマシンでは、フルキーボードによる入力が可能になり、テンキーで操作するのに比べて3~5倍も早くなった。業務が大きくはかどる。一度、フルキーボードに慣れると元のテンキーには戻れない」などと語った。


モバイルとアジア地域への注力を打ち出す

キャリア連合の規模は7億人に
 さらに、チャイナモバイル、ボーダフォンと共同でJoint Innovation Labを設立したことを紹介し、これを「戦略的3社連合」と位置づけた。Joint Innovation Labは、3社が33%ずつを出資。孫氏が会長に就任。チャイナモバイルの王建宙氏が副会長に、ボーダフォンのポール・ドノバン氏がCEOに就任した。

 「3社が共同で、新たなソフト、コンテンツ、ハード、セキュリティのためのプラットフォームを開発するとともに、新たなビジネスモデルも3社で開発していくことになる。ラボという名称だが、コストセンターではなく、プロフィットセンターとして、収益を追求する組織になる。すでに、開発チームをジョイントで起こしているが、どのようなテクロノジーで、どう展開していくかということは、来年早々か、その前後の時期に発表していくことになる」という。

 新会社では、携帯電話用のOSなどを開発するのではなく、新たなプラットフォームを開発することで、すべてのOSが利用できるようにする一方、異なるOSでもコンテンツやアプリケーションソフトが共通に動作させることができるプラットフォームを定義。サーバーによる事業モデルや、共通課金モデルなどを提案していくことになる。「毎月課金しているというオペレータの強みを生かして、マイクロペイメントなどの課金ビジネスも展開していけるようになるほか、共同サーバーで様々な収益を稼ぐことができる」のが狙いだという。

 さらに、「ソフトバンクモバイルは国内に約1,900万人のユーザーを持つが、日本人すべてのシェアをとっても1億人。しかし、ボーダフォンはすでに2億5,000万人のユーザーを持ち、チャイナモバイルは3億9,000万人ものユーザーを持つ。3社をあわせると、7億人のユーザーに対してアプローチできることになる。これは、5年以内に10億人の規模になるだろう。この10億人に対して、着メロや携帯電話用のゲームを配信するといったビジネスができるようになる。7億人、10億人という数字を聞いただけで、目の色が変わる。それだけのビジネスチャンスを提供できようになる。ビジネスモデルの次元を変えることができるもの」と述べた。


 また、孫社長は、「ソフトバンクモバイルは、日本以外の国において、どうビジネスを展開していくのかという質問を受けるが、他国で携帯電話の事業免許を取得し、鉄塔を建てるのでは、時間と資金がかかる。世界一のユーザー数を持つチャイナモバイルと、世界一の売上高を持つボーダフォンは、薩摩と長州であり、そこに当社が海援隊として、利益を得るような仕組みである。だが、これだけ規模の違う会社と対等の出資比率にできたのは日本が3Gの圧倒的な先進国であるのが理由。インターネットマシン化には、3Gが前提であり、できればHSDPAによる3,5Gが必要となる。これがソフトバンクの海外に向けた施策ともいえ、この3社連合確立のために1年半に渡り、黙々と準備をしてきた」などとした。

 かつてのボーダフォン時代の端末は、海外仕様となっていたことで、シェアを落とした経緯があった。それを日本人好みの端末開発にこだわり、シェアを拡大してきたのは確かだ。今回の3社によるジョイントベンチャーの動きが加速すると、また海外仕様に転換するのではないかとの質問も出たが、「日本人による、日本人のための端末づくりはますます強化する。だが、その上に載るコンテンツ、アプリケーションは、どんな端末にも載るようにしたい。ここは世界共通のものになる。携帯電話を端末を外国人風にすることはない」と否定してみせた。


CMキャラは「犬」から「猫」へ

白い猫が登場する新CMを披露
 一方、フェムトセルの取り組みについては、「順調に開発が進んでいる。5人の社員を対象に実験をしているが、6月からはこれを100人程度に拡大し、9月末にはユーザーが設置できるようになる。規制緩和を待って商用化に入る予定である。これまで、制度の問題や、コストが高かったという問題があったが、これが解決されつつある。フェムトセルは積極活用していく」と語った。

 また、今日付けで発表した、携帯電話と固定通信の融合サービス「ホワイトライン24」、「ホワイトコール24」についてもコメント。「法人向けと個人向けにそれぞれ24時間に渡り、携帯電話と固定電話を24時間通話無料としたのは世界で初めてのことになる」とし、サービスを開始する6月3日から放映するテレビCMでは、ホワイトプランで採用していた「犬」から、キャラクターを「猫」に変更することを明らかにした。

 さらに、NTTドコモが、ロゴマークを変更したことに対しては、「昔のロゴマークの方が格好良かったのではないか。人好きずきであるが。我々のロゴマークを気に入っているので変えるつもりはない」とした。

 なお、孫社長は、これまでのインターネット関連投資を振り返り、「これまでの累計投資額は3,000億円。評価額および売却額をあわせると2兆8,000億円となっており、投資額の9.4倍になった」と話した。また、中国でのインターネット事業が着実に成長していることを強調した。



URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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(大河原克行)
2008/05/08 20:37


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