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「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」 創立記念総会
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健全なモバイルコンテンツの発展を目指し、コンテンツプロバイダや有識者、通信事業者らが参画する「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」は30日、都内で創立記念総会を開催した。改正定款や役員の選出、活動内容など6議案が提出され、すべてが承認された。今後は、すでに一部が始まっている基準策定などの活動が本格化することになる。
総会には設立発起人を始め、有識者やコンテンツプロバイダからなるEMA会員、通信事業者や総務省、経済産業省などのオブザーバー、インターネットプロバイダー協会など関連団体の賛助会員ら総勢100名以上が出席し、理事の選任や紹介、各議案の承認などが行なわれた。なお、設立発起人は100の企業・団体・個人からなり、現在EMA会員は、5つの賛助会員を含む51社・団体が承認されている。
EMAの活動内容は、8日の設立発表時に示された内容の通りで、民間主導により審査基準や審査機構を設け、青少年をモバイルサイトにおける違法・有害な情報から保護することを目的とする。審査基準の策定や審査活動に加え、啓発・教育プログラムなど、青少年の保護者や教育機関に向けた活動も盛り込まれている。
EMA全体で中立性を確保するため、活動の中心となる2つの委員会「基準策定委員会」と「審査・運用監視委員会」では、利害関係の無い第三者の学識経験者が最大10名ずつで担当する。また、これら2つの委員会の構成委員を選任する「理事会」は、過半数が利害関係の無い有識者で構成される。また、基準策定委員会で策定された基準は、公表可能な範囲で開示される。
■ 基準案を検討するWGの活動報告も
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コンテンツプロバイダや学識経験者、弁護士などが多数出席
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「基準策定委員会」の下には、さまざまな種類のコンテンツについて、それぞれ審査の基準を検討するワーキンググループ(WG)が設置され、「カテゴリー基準WG」や「健全コミュニティ検討WG」などで参加各者が持つノウハウなどを取り込みながら具体的な基準案が検討される。
総会では、すでに活動を開始している「健全コミュニティ検討WG」と「啓発・教育プログラム部会」の2つについて、現在検討されている案の説明が行なわれた。
「健全コミュニティ検討WG」から報告された現在の検討案によれば、青少年の利用を前提としたコミュニティ系の携帯向けサイトでは、健全性を維持する管理体制として「基本方針」「監視体制」「ユーザー対応」「啓発・教育」の大きく4つが示され、これらに付随する具体的な基準が満たされることが認定基準になるとしている。
「啓発・教育プログラム部会」では、保護者や教育機関に向けた啓発活動が検討されており、具体的には、関連団体への啓蒙や団体を対象にしたセミナーの開催などの活動に加え、児童や青少年、保護者や自治体向けの啓発・教育テキストの認定、テキストの更新指導、教育プログラムの義務化や支援といった活動が盛り込まれている。
教育という観点からは、青少年を中心に保護者、地域、学校と連携した取り組みが求められるとし、また、国、通信事業者、EMA、保護者、学校、地域行政など各者でそれぞれ求められる活動があると指摘。EMAだけでの取り組みには限界があり、ほかのWGなどと連携しながら、各者に対して積極的に働きかけていく方針が明らかにされた。
■ 国連の世界人権宣言から60年、「情報の受発信の自由」が身近な問題に
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議事を進める代表理事の堀部 政男氏(左から4人目)
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EMA総会にあたり、理事会の代表理事に選任された堀部 政男氏(一橋大学 名誉教授)は、60年前に国連総会で採択された世界人権宣言から「すべての者は、意見・表現の自由を有する」「情報および思想を受け及び伝える自由を含む」などとする部分を紹介。これらについて「バーチャルな世界での理想を掲げたようにも思える内容。ネットの普及により、リアルな世界でも(現実味を持って)語れるようになった」と語り、現在の情報化社会においても当てはまる考え方であるとした。
同氏は、インターネットの拡大は人類の歴史に残る事柄であるとし、「世界人権宣言から60年目の今年、発信者の自由を確保しつつ、受信者である青少年の保護はますます重要になっている」とし、EMAの目指す青少年の保護と民間主導の審査機構が「モバイルコンテンツの自由と責任を実質化するうえで、重要な意味を持っている」と語った。
■ URL
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)
http://www.ema.or.jp/
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