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KDDIは、2007年度連結決算を発表した。営業収益は前年同期比7.8%増の3兆5,963億円、営業利益は同16.2%増の4,005億円、経常利益は16.2%増の4,079億円、当期純利益は16.6%増の2,178億円の増収増益となった。5期連続での増収増益。営業利益では初めて4,000億円を突破した。
同社の小野寺正社長は、「移動体電話事業は、引き続き堅調であり、新サービスの拡販途上にある固定通信事業の営業損失を吸収している。4,000億円突破の過去最高の営業利益を達成した」と語った。
■ auらしさを追求することで差別化
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小野寺正社長
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2008年3月期 決算の総括
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auおよびツーカーによる移動体通信事業の営業収益は、前年同期比6.9%増の2兆8,626億円、営業利益は18.0%増の4,550億円、経常利益が17.8%増の4,635億円、当期純利益が27.2%増の2,665億円となった。
3月末時点での契約数は3,010万5,000契約で、auだけで初めて3,000万契約を突破した。「第4四半期は、販売一時金が41,000円と大幅に増加したが、これは想定を上回るもの。この増加は、3,000万契約という数字を目指し、第4四半期だけで計画よりも10万台も増加したことも要因だといえる」などとして、第4四半期において積極的な販売促進に取り組んだことを示した。年間の販売一時金は、37,000円と前年並み。「競争上、2008年度の具体的な数字は開示できないが、正常な形に戻したい」とした。
2007年度における純増数は215万。純増シェアは35.8%に達した。ARPUは、350円減の6,260円、音声ARPUは460円減の4,130円、データARPUは110円増の2,130円となった。また、auの解約率は0.95%となり、前年に比べて、0.07ポイント低下した。第4四半期の解約率は0.90%となっている。
しかし、小野寺氏は、「W42Kの電池のトラブルによる回収や、KCP+の遅れなど、商品に対する管理が甘いという反省がある。KCP+の端末の出荷が遅れたことによって、いろいろなところに悪影響を及ぼした。兜の緒を締めるといってきたが、端末に関してはかなり反省する部分がある。また、料金についても、新たに買い方セレクトを導入したが、顧客への周知期間が不十分であり、10月から1月まで厳しい状況に陥った。今後、端末や新たな料金体系の周知活動などをきっちりとやっていかなくてはならない。また、auの特徴が失われたという反省がある。かつては、サービスや端末では先進的といえたが、その傾向が薄れてしまった。auらしさを追求することで他社との差別化を図り、既存の顧客を守りながら、新規の顧客獲得にも乗り出していく」と、携帯電話事業に厳しい姿勢を見せた。
また、法人向けの事業展開については、ターゲット別に法人モバイルの営業体制を見直し、中規模から大手企業へのソリューション提供を強化。さらに、小規模法人市場への取り組みを強化したことを示し、3月から開始した法人向けキャンペーンが、好調な滑り出しを見せたことを示した。
なお、固定電話事業の営業収益は前年同期比0.6%増の7,186億円、営業損益はマイナス647億円の赤字、経常損益はマイナス648億円の赤字、当期純損失はマイナス517億円の赤字となった。3月末時点でのメタルプラスの契約数は327万9,000件。FTTHは71万契約、ADSLは139万6,000契約、ケーブルプラス電話は28万6,000契約、ケーブルテレビは66万7,000契約となっている。
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移動体通信事業の業績
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auとツーカーを合わせた純増数の推移
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auの販売一時金は平均で37,000円に
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ARPUの推移
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■ 割賦販売制度は2008年度中に導入か
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2009年3月期の業績見通し
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設備投資予定額なども明らかにされた
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同社では、2008年度の業績見通しについても発表した。営業収益は前年同期比2.9%増の3兆7,000億円、営業利益は同10.6%増の4,430億円。移動通信事業の営業利益は9.2%増の4,970億円、固定通信事業はマイナス580億円の赤字とした。
小野寺氏は、「中期経営計画であるチャレンジ2010の2年目として、あらゆるサービスにおけるお客様満足度No.1へ挑戦し、中期的増収増益体制の実現に向けた既存事業基盤の強化と、事業領域の拡大への取り組みを進める。移動通信事業においては、お客様の多様なニーズに対応したKDDIにならではの端末、サービスのタイムリーな投入による商品力の強化、大企業層へのモバイルソリューションと小規模法人市場への販売促進を図る。さらに、UQコミュニケーションズの2009年におけるモバイルWiMAXサービス開始への支援や、2008年半ばの開業を予定しているモバイルネット銀行のスムーズな立ち上げを実現したい」と語った。
auのARPUは600円減少の5,660円、累計契約目標は149万増加の3,160万契約を見込む。「2008年度の純増数は市場全体で390万台と予想しており、2007年度の601万台から縮小する。auでは、そのうちの1/3となる126万の純増獲得を目指す」という。端末販売台数は142万台減の1,440万台。メタルプラス累計契約数は20万減の308万契約、FTTH累計契約数は43万増の114万件とする。
また、携帯電話の割賦販売制度の導入については、これまでのコメント通りに、「検討はしている。導入時期は最終決定していない」と繰り返したものの、「2008年度の業績見通しに、割賦販売の影響を一定程度、組み込んだ形にしている」として、2008年度中の導入予定があることを示した。
さらに、スマートフォンの投入については、「諸般の事情で遅れている。販売開始時期は未定」とした。
一方、今年10月にも、ソフトバンクモバイルの端末が、2年契約の更新期を迎えることについては、「なにかしら手を打っていきたい。いろいろと考えている」と述べた。
今後、注目される3.9Gに対しては、「UMBも、LTEも、技術的な差はないと考えている。マーケットを見ながら決定したいと考えており、非常識な選択はない。きちっと説明する時間をとりたい」と述べた。
なお、会見の冒頭に、小野寺社長は、W42Kの回収問題に言及。「W42Kでは、15件のトラブルが発生し、お客様には多大なご迷惑と、ご心配をおかけした。24万個の回収対象に対して、4月21日までに11万8,000個を回収することができた。新聞での告知や個別メールによりお知らせしているが、利用者の方々には、電池パックを返却していただくようにお願いしたい。当社では、再発防止策として、設計時のチェックや安全試験を強化し、問題が発生した時には、私を本部長とする全社的な対策本部を立ち上げて対応を図ることにした。こうした活動により、信頼を回復したい」と語った。
■ URL
関連資料
http://www.kddi.com/corporate/ir/news/2008/
(大河原克行)
2008/04/24 19:54
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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