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NTTドコモの中村氏
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NTTドコモは、2007年度第3四半期連結決算を発表した。4~9月の9カ月間の業績は、営業収益が前年同期比2.1%減の3兆5,220億円、営業利益は7.7%減の6,250億円、税引前利益は7.6%減の6,287億円、当期純利益は6.7%減の3,765億円の減収減益となった。
同社の中村維夫社長は、「営業利益の通期予想は7,800億円であり、進捗率は80.1%。内部の実行上の数字では概ね想定通りであり、7,800億円は射程距離に入っている」と語った。
営業収益は、「2ヶ月くりこし」の失効見込み額計上の影響として267億円、さらに、8月から導入したファミ割MAXによる新割引サービスの拡大が影響して、携帯電話収入全体で971億円の減益。一方、営業費用は、新販売モデルの影響による代理店手数料の減少で約491億円減、70Xiシリーズの販売構成比の増加に伴う端末機器原価の減少により220億円減となり、物件費の増加を差し引いても448億円もの経費が減少した一方、償却限度額の変更の影響などにより減価償却費が206億円増加し、結果として営業費用全体で231億円の減少となった。
第4四半期には、昨年11月に開始した割賦販売により、「当初はキャッシュポジションで500億円ほどの悪化と見ていたが、年度末には1,000億円程度の悪化になりそうだ」(同社取締役執行役員の坪内和人氏)との見通しを明らかにした。
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第3四半期概況(出典:NTTドコモ)
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決算のポイント(出典:NTTドコモ)
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設備投資の推移(出典:NTTドコモ)
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オペレーション状況(出典:NTTドコモ)
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■ ARPUは音声減のデータ増
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ARPU(出典:NTTドコモ)
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公開されたオペレーションデータによると、第3四半期のARPUは6,290円となった。そのうち音声ARPUはファミ割MAX50などの影響により、12.2%減の4,090円。データARPUは9.5%増の2,200円と好調に推移した。
また、FOMAへのマイグレーションが順調に進み、12月末時点での構成比は79.2%となる、4,208万契約に達した。中村氏は「年度末には80%突破は確実になるだろう」と言う。
さらに、解約率でも第3四半期実績で0.74%へと低下。「新販売モデルの浸透によって、期待した効果が出ている。既存の顧客を大切にするという点でも、解約率は重要な指標」と語った。
ファミ割MAX50、ひとりでも割、オフィス割MAX50による新たな割引サービスの契約数については、12月末までに約1,760万契約となり、すでに年度末目標として1,900万契約に上方修正している。しかも、「今回、改めて上方修正することはないが、2,000万契約を上回ることになるだろう」と予想した。
純増シェアについては、第3四半期は18.9%となり、なかでも12月単月には26%となったことを強調した。
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FOMAへの移行(出典:NTTドコモ)
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解約率(出典:NTTドコモ)
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純増シェア(出典:NTTドコモ)
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■ 中村氏、905iシリーズは予想以上に好調
ドコモでは、下期に投入した905iシリーズが品薄になっているが、中村氏はこれについても言及。「予想以上に好調な売れ行きとなり、ここまで売れるとは思っていなかった。発売日に店頭にお客様が並んだのは久しぶりのことで、素直にうれしかった。しかし、一部製品は物がないという状況であり、大変ご迷惑をおかけしている。解消するにはもう少しかかる。2月先まで品物の手当に時間がかかるだろう」と説明。「とくに、関西地区では需要を大きく読み違え、発注量が少なかった。各地域会社に任せていたが、全体をもっと見ておく必要があると反省している。だが、春商戦では905iが供給できるようになるほか、705iも順次投入しており、今日発表した春商戦向けキャンペーンを加えることで、厳しい競争に挑んでいく」と、巻き返しに意欲を見せた。
905iが予想以上に好調な売れ行きを見せた理由として中村氏は、「想定される機能をすべて標準で採用したことに加え、これまで第3世代の携帯電話を製品化するのに苦労したが、薄さも、軽さも第2世代と同じ水準となり、いよいよ第3世代携帯電話が完成に近づいてきたことが大きい」と語った。
同社によると、905iシリーズは、12月に100万台、1月には200万台の出荷に到達しており、予想を上回る実績で推移しているという。また、「905iは新規の購入よりも、買い換えが多いのが特徴。しかし、従来の買い換えに比べると一定約束期間があり、ありがたいと思っている」などとした。
■ 分割払いの新販売モデル、未成年のフィルタリングについて
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新たな販売モデル(出典:NTTドコモ)
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一方、新たな販売モデルについては、11月26日のサービス開始から12月末までの状況について公開。94%のユーザーがバリューコースを選択し、さらに、そのうち76%のユーザーが分割払いによる割賦購入を選択したという。分割払いの76%の内訳は、24カ月が52%、24%が12カ月だという。なお、バリュープランの契約数は1月15日時点で200万契契約を突破。「新たな販売モデルが、市場に受け入れられたと判断している」とコメントした。
また、フィルタリングに関しては、「青少年に対する影響ということで、まず親の同意書という形で進めたが、システムを開発して、ホワイトリスト方式もやる必要があるだろう」と、新たな方式を追加で用意する準備があることを示した。
■ DCMX、年度末の500万契約に向け順調に推移
そのほかのオペレーションデータとしては、パケ・ホーダイが12月末で1,195万契約に到達、iチャネルの契約数が1,495万契約(1月3日に1,500万契約を突破と発表)としたほか、DCMXの会員数が466万契約となり、年度末見通しの500万契約に向けて順調に推移していることなどが示された。
また、HSDPAの人口カバー率は12月末で96%、今年度末には97%に達することから、「HSDPAの整備はほぼ終了になる」とした。FOMAネットワークに関しては、ビル低層階や地下エリア、あるいは高速道路や鉄道路線、歩行動線などの移動中での品質改善に取り組んでいく姿勢を示した。
「今年のおめでとうコールは、規制時間、規制範囲を大幅に縮小できたのは、ネットワークが充実してきたことの査証である」と、FOMAのネットワーク環境の強化が順調に整備が進んでいることを訴えた。
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パケ・ホーダイ契約数(出典:NTTドコモ)
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パケ・ホーダイフル(出典:NTTドコモ)
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クレジットビジネス(出典:NTTドコモ)
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■ ソフトバンクの学割、インパクトあるが期間限定
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「期間限定というのはどうもすっきりしない」と中村氏
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なお、質疑応答のなかでは、ソフトバンクの新学割制度に関してコメントを求められ、中村氏が「それなりのインパクトがある制度だと感じている。だが、期間限定というのはどうもすっきりしない」とした。また、ディズニーの携帯電話事業への参入については、「見てみないとわからない。注意深くみていくつもりだ」とコメント。さらに、iPhoneに関しては、「興味はあるが、使い勝手については、携帯電話メーカー各社が追いかけているので、そちらも楽しみにしている」とかわした。
また、昨日、ソフトバンクモバイルが発表した1,000万円の携帯電話については、「趣味の広がりもあり、コラボレートしたモデルもこれから増えるだろう。だが、1,000万円の携帯電話は考えていない」と、ドコモでは超高価格モデルの投入は予定していないことを示した。
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
NTTドコモ 決算短信
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/library/earnings/index.html
(大河原克行)
2008/01/29 20:24
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