|
左からドコモ夏野氏、グーグルのコーデスタニ氏、ドコモ辻村氏、グーグル村上氏
|
NTTドコモとグーグルは、業務提携すると発表した。これによりiモードの検索サービスの連携強化や連動広告の導入が図られるほか、GmailやYouTube、Picasaなどのグーグルのサービスがiモードで利用できるよう検討される。
両社では24日午後、報道関係者向け発表会を開催。NTTドコモ取締役常務執行役員プロダクト&サービス本部長の辻村 清行氏、同社執行役員プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏、米Google業務開発権国際営業担当上級副社長のオミッド・コーデスタニ氏、日本法人の代表取締役社長の村上 憲郎氏が説明を行なった。
■ 今春に検索機能を強化、検索連動広告も
|
業務提携の内容は5つ
|
|
iメニューのトップに検索フォーム
|
ドコモとグーグルの提携により、2008年春にiモード公式メニュー内「メニュー/検索」の検索フォームが改善される。現在は、まず公式サイトを対象にした検索結果のみ表示されるが、今後は同時に携帯向け一般サイトやパソコン向けWebサイトも検索結果に一覧表示される。さらにiメニュートップに検索フォームが設置され、よりスムーズに検索機能が利用できるようになる。
将来的には、検索結果から地図アプリ「Googleマップ」の地図情報をシームレスに参照できるような機能も検討される。
未成年の携帯電話利用にあたって、フィルタリングサービスを原則義務化する流れになってはいるが、辻村氏は「子供がネットの力を正しく使うのは重要。現状のフィルタリングを強化し、きちんと利用してもらえるようにする一方で、ホワイトリスト/ブラックリストという現状のやり方ではカバーできないニーズに対応していく必要があるだろう」とコメント。コーデスタニ氏も「グーグルも各地の規制を遵守しているが、今回のフィルタリング義務化はネガティブなインパクトがあるとは思っていない」と述べた。
検索サービスがより利用しやすくなるということで、公式サイトへの影響を尋ねられた夏野氏は「公式サイトは1万以上存在し、その中から適切なサイトを見つけるための検索機能が必要」などと説明し、iモードのビジネスモデルへの影響はないとの見方を示した。
また、同時期の2008年春には、グーグルの広告配信プラットフォーム「Google AdWords」をiモードの検索機能に導入し、検索ワードと連動した広告を表示する。ドコモでは、検索連動広告の導入により100億円規模の収益を期待しているとのこと。今回の提携により、ドコモと電通の子会社で携帯向け広告を手掛けるD2C(ディーツー コミュニケーションズ)を交えて、ドコモ・グーグル・D2Cの3社で新たな広告商品の開発などを検討していく。
|
|
検索サービスの利用イメージ
|
今後はプリインアプリと検索の連動も
|
■ グーグルの各種サービスがiモード対応、年内登場へ
|
グーグルのサービスがiモード対応に
|
グーグルでは、Webメールサービスの「Gmail」や動画共有サービス「YouTube」、画像管理ソフトとWebアルバムサービスを組み合わせた「Picasa」など、さまざまなサービスを展開している。今回の提携によって、これらグーグル提供サービスのうち、いくつかをiモード対応にする。あわせてドコモのフルブラウザ対応機種では、フルブラウザ起動時のスタート画面がGoogleになる。
どのサービスがiモード対応となるか、現時点では確定していないが、ドコモの夏野氏は「プレスリリースやプレゼンテーションで触れられた「Gmail」「YouTube」「Picasa」は、早期に実現する可能性が高い」と説明。提供開始時期は未定だが、年内にも複数のサービスでiモード版が提供される方針とのことで、市場規模がある程度見込めるのであれば、発売済の機種でも利用できるようにするという。夏野氏は既存機種のなかでも「905iには対応したい」とコメントしている。
また、YouTubeに関連し、「次の機種からFlashの動画再生コーデックを導入したい。携帯でもフルブラウザベースでYouTubeが見られるようになる」(夏野氏)としている。また、GmailやPicasaなどのサービスは、その都度Javaアプリ、あるいはWebサービスのどちらが良いか個別に判断していくという。
現時点では、N905i/F905iに地図アプリ「Googleマップ」がプリセットされているが、グーグル提供サービスのiモード対応に向け、今後発表されるドコモの新機種でも全機種で「Googleマップ」がプリセットされる予定。
■ Google提唱のプラットフォーム「Android」商用化に協力
|
Android開発で協力
|
グーグルは昨年11月、携帯電話プラットフォーム「Android」(アンドロイド)を発表している。「Android」の開発に向けて設立された団体には、NTTドコモやKDDIが参画しているが、今回の提携により、ドコモ向けの「Android」端末の商用化を含め、検討が進められることになった。
具体的なスケジュールは未定だが、夏野氏は「最新モデルの905iシリーズは、十分なスペックだと思っているが、Androidのプロトタイプを見て、案外貧弱なハードウェアでも良く動いていた。『これは我々のやり方以外の方法があるのではないか』とすごく感じた」と、Androidに対する率直な印象を述べ、ドコモ向け端末の登場に期待感を示すとともに、従来型の携帯電話の開発にも良い意味で刺激になるとの見解を披露した。なお、Android端末が仮に登場するとしても、既存の90Xiシリーズから切り替わるようなものではなく、Linuxベースのプラットフォーム「MOAP(L)」と統合することもないという。
■ ドコモとグーグル、それぞれの狙い
今回のグーグルとの提携により、ドコモが目指すものは何か。辻村氏は「リアルとサイバーの融合」「ブロードバンド化」「グローバル化」という3つの柱を示し、「検索エンジンの強化で、サイバーとリアルの距離が短くなる。Androidで端末のグローバル化も図る。これらの結果として、最終的にインターネットのモバイル化・携帯化をもたらす。これまで、モバイルがインターネット化してきたが、これからはインターネットがますますモバイル化していく。より革新的なサービスを提供したい」と説明した。
また夏野氏は「今回の取り組みで、携帯電話の検索エンジンを使ったことがない人にも使ってもらいたいし、使いやすくしたい。辻村がインターネットのモバイル化と述べたが、iモードは一環してインターネットにモバイルが入っていくという構図だった。インターネットサービスの象徴的な存在であるグーグルと連携することで、さらに飛躍したい」と述べた。
|
|
3つのポイントを示したドコモの辻村氏
|
Androidやサービス内容についても語っていた夏野氏
|
同氏は、24日の午後からYouTubeのiモード対応版がスタートしたことに触れ、「革新的なサービスは既に始まっている。長期的なパートナーシップになるが、日本のユーザーにも期待したい」とコメントした。
また、グーグル日本法人社長の村上氏は「これまでグーグルは、他社からの力添えを得て発展してきた。日本という携帯電話・モバイルの先進的な市場は、グーグルにとってきわめて重要な位置を占める。従って、今回の提携は、グーグルの世界戦略にとってもきわめて重要な意味を持つ」と、提携の重要性をアピールした。
|
|
コーデスタニ氏は「(会見開始の1時間前に)YouTubeが904i、905iでも利用できるようになった」と説明
|
グーグルにとっても重要な提携と説明した村上氏
|
■ KDDIとの違いは
国内の携帯電話サービスでは、2006年5月にKDDIとグーグルが提携している。その点について、夏野氏は「他社と違って、検索エンジンやマップだけに限定しない。あらゆるサービスを対象に連携をしていく。グーグル提供サービスのiモード対応についても、どんどん入れられるものを考えている。積極的に取り組んでいきたい」と述べ、より幅広い分野での提携になるとの見方を示した。
同氏によると、グーグル提供サービスの携帯向けバージョンは、ドコモが独占するものではなく、他社向けにも提供される可能性があるとのこと。ただし、他キャリアよりもいち早くサービスが登場すると予測していた。
またコーデスタニ氏は「グーグルはネットユーザーを基点にしてサービスを提供する。パートナーごとにいろいろな革新性を出していきたい」と説明していた。
■ URL
ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080124_00.html
■ 関連記事
・ Googleら34社が携帯プラットフォーム提案、ドコモ・KDDIも参加
(関口 聖)
2008/01/24 15:07
|