ソフトバンクモバイルは、小学校~大学や専門学校などの学生向けサービスとして、ホワイトプランの月額利用料(980円)が3年間無料になる「ホワイト学割」を発表した。まずは2月1日~5月31日までの期間限定かつ新規契約者向けキャンペーンとしての提供となる。
同社では21日、記者会見を開催し、代表取締役社長兼CEOの孫 正義氏がプレゼンテーションを行なった。
■ ホワイトプランの980円が3年間無料
|
ホワイト学割の概要
|
今回発表された「ホワイト学割」は、端末利用者が学生であれば、ホワイトプランの基本利用料が3年間無料となるサービス。またパケット通信料定額サービス「パケットし放題」は通常1,029円~4,410円という段階制だが、「ホワイト学割」ではサービス内容に含まれており、0円~4,410円(パケット単価は従来と同じ)という料金体系となる。ネット接続やメールに必要な「S!ベーシックパック」(月額315円)もサービス内容に含まれ、料金は通常通り。「パケットし放題」や「S!ベーシックパック」を契約しない場合は、通常の「ホワイトプラン」として取り扱われる。
3G端末購入と同時に新規契約する場合が対象となり、利用者が学生であれば、回線名義は親権者でも良い。ただし、店頭での手続きの場合、学生自身が来店し、学生証を提示する必要がある。端末利用者が登録され、1ユーザーにつき1回線のみの契約となる。また通常、20歳以下であれば親権者の同意書が必要となっており、「ホワイト学割」でも同意書は必要となる。なお、端末購入時に新スーパーボーナスで割賦にすると、毎月の特別割引は通信・通話料など全体に対してかかるが、これも従来と同じ。このほか、「ホワイト学割」でも家族間通話定額の「ホワイト家族24」の対象にしたり、他社との通話料を割引できる「Wホワイト」を契約したりできる。
同社では、“学生”の定義として「小学校以上で、12カ月以上の就学期間があり、なおかつ入学・卒業が年2回以下で固定されている」といった点を挙げている。一般的な学校(放送大学・サイバー大学など含む)も対象で、年齢制限はない。ただし、いわゆる英会話学校や料理教室などは、条件を満たさないため対象外となる。
また、基本利用料が無料となる期間は契約からの3年間とされており、たとえば大学4年生が契約した直後に卒業・就職したとしても、契約から3年間は無料ということになる。
既存の学生ユーザーは、「ホワイト学割」対象外だが、同社では4月1日に何らかの施策を発表するとしている。
今回の発表にあわせ、同社では他社の料金プランに対して24時間以内に追随するという方針そのものは継続するものの、自社サービスが強固になったため、必要と判断した場合に対抗サービスを発表することにするという。この点について、21日に行なわれた会見では触れられなかった。
■ 学生にコンテンツ無料提供、メール素材は学生以外にも
|
「コンテンツ学割クラブ」の概要
|
あわせて発表された「コンテンツ学割クラブ」は、ホワイト学割向けのポータルサイトとされ、アレンジメール(2月1日からデコレメールに改称)の素材や、電子コミックの1話分などを3月1日より無料提供する。
「コンテンツ学割クラブ」の内容は、1万点以上(3月1日時点)のメール用素材を無料提供する「タダデコ」や、電子コミック1話を無料配信する「タダコミ」、ゲームコンテンツを配信する「タダゲーム」、文学などの電子書籍を無料で提供する「タダ本」、芸人が演じる漫才やコントなどの音声を着信音として提供する「タダネタ(仮称)」など。
このうち、「タダデコ」は、「ホワイト学割」以外のユーザー向けにも提供される。また、「タダゲーム」はS!番組プレーヤーを利用して体験版ゲームを提供する従来サービスと異なるもので、一般的なゲームコンテンツを無料提供するという形になっている。
|
|
メール素材を無料提供する「タダデコ」は学生以外も利用可。なお、アレンジメールは2月1日よりデコレメールに改称
|
漫画の第1話を無料配信する「タダコミ」
|
|
|
タダゲームは、従来版と異なるサービス内容
|
お笑いコンテンツを提供する「タダネタ」
|
|
|
電子書籍を無料配信する「タダ本」
|
タダ本のイメージ
|
■ 孫氏「学生層のシェアは低い、ARPUが低下しても数で補いたい」
|
「ホワイト学割」のテレビCM出演者と孫氏
|
21日の会見で、学生層への施策を発表した孫氏は「昨年、ホワイトプランを発表して以降、学生層や家族層の新規加入が多かった。しかし、ボーダフォン時代は学生層の累積シェアが7%であり、“ソフトバンクは学生に弱い”と言えた。しかし、学生は国の宝。携帯電話をヘビーに使う層でもあるが、その料金のためにアルバイトするのはおかしいと常々考えていた」と述べ、学生層を取り込むという目的と、学生層が負担する携帯電話料金の軽減を図るという目的を示した。
会見では、まずコンテンツ学割クラブ、その後にホワイト学割という順で発表が行なわれたが、孫氏は「学生層に対する施策では遅れていたソフトバンクだが、一気に愛されるようになりたい。学生と言えばauさんだったが、ソフトバンクと言われるように精一杯やっていきたい。春は初めて携帯電話を持つ学生が多く登場する時期で、そこに向けて提供したい」と、この時期に発表した背景を説明した。
期間限定提供となること、そして収益への影響を尋ねられると、ホワイト学割が孫氏自身の発案で検討がスタートしたことを明らかにし、「当初は管理部門などから減収などの影響を考慮して猛反対された。そういった声を押し切って5月末までのキャンペーンとして社内の意志を統一した。シミュレーションを重ねたものの、どの程度利用されるかはわからないが、学生層のARPU(1人あたりの月間収入)は減少するだろう。それでも7%しかシェアがないため、どんどん加入してもらえれば増収効果に転じる可能性があると見ている。ただ、どう受け入れられるか不明のため、損益分岐点も現時点ではわからない。開始後の動向を見て、あまりにもネットワークに負荷がかかるなどの状況になれば5月31日で完全終了する可能性もあるし、逆に継続する可能性もある。学生層を多く抱える他社にとっては頭が痛い施策ではないか」と説明。どちらもユーザーの動向によって、大きく結果が変わるとの見方が示され、現時点での予測値などは明らかにされなかった。
■ URL
プレスリリース(ホワイト学割)
http://www.softbankmobile.co.jp/corporate/news/press/2007/20080121_02/
プレスリリース(タダデコ)
http://www.softbankmobile.co.jp/corporate/news/press/2007/20080121_01/
(関口 聖, 津田 啓夢)
2008/01/21 17:24
|