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ソフトバンク中間決算、過去最高の業績
~アジアNo.1のインターネット企業へ

 ソフトバンクは、2007年度上期連結決算を発表した。売上高は前年同期比21.8%増の1兆3,674億円、営業利益は49.0%増の1,677億円、経常利益は77.3%増の1,111億円、当期純利益は221.8%増の464億円となった。いずれも過去最高の実績となっている。

 移動体通信事業は、売上高が前年同期比39.4%増の8,145億円、営業利益は66.4%増の942億円。


中間決算での業績概要 営業利益は49%増
中間決算での業績概要 営業利益は49%増

オペレーションデータ

ソフトバンク孫氏

ソフトバンク孫氏

MNP導入から1年、ソフトバンクモバイルの契約数は105万増

MNP導入から1年、ソフトバンクモバイルの契約数は105万増
 上期の純増数は114万2,800件、半期ベースで首位となった。これにより、契約者数は1,700万件を突破。「純増数では、NTTドコモは前年同期に比べて3分の1に、auはほぼ横ばいとなったが、ソフトバンクモバイルは約10倍に拡大した。純増シェアでは、5カ月連続ナンバーワン。10月の純増シェアは他社と比べても順調に推移したと考えている」と、明日発表される10月の純増シェアでも、首位獲得の見通しを示した。

 第2四半期における3Gの解約率は1.42%と、2年前には3%を超えていた解約率が大幅に減少。「3Gは、9月は1.02%の解約率、10月は0.93%とさらに改善している。第2世代の解約率は第2四半期で1.05%。割賦販売に限定すれば、解約率は0.75%となっている。3Gの解約率は今後も下がり、ますます経営効率はよくなる」とした。

 また、総合ARPUは4,800円となり、そのうち、データARPUは1,470円、音声ARPUは3,330円。孫氏は、割賦請求分と総合ARPUを合算した数値が5,530円になることを明らかにし、「割賦請求分を含めると、ARPUは減少していない」と語った。

 第3世代携帯電話(3G)の契約比率は64%に達し、1,092万契約と1,000万契約を突破した。そのうち、56%がパケット定額に入っているという。また、3Gの基地局数は4万7,439カ所となり、「auの3倍の基地局数になっている。ソフトバンクモバイルの3Gの接続性に対する満足度が大幅に改善している。これは1年間で基地局を倍増させたのが直接的原因といえる」とした。


ARPUの状況 解約率は低減
ARPUの状況 解約率は低減

販売は好調

スーパーボーナスの利用動向が明らかにされた

スーパーボーナスの利用動向が明らかにされた

Wホワイトの利用動向

Wホワイトの利用動向
 また、スーパーボーナス制度による割賦販売方式については、サービス開始から1年間で800万契約を突破したことを示し、「サービス開始当初は、競合やマスコミから、かえってわかりにくいとの指摘もあった。これが総務省のモバイルビジネス研究会において、正しいビジネスモデルと評価され始めている。ホワイトプランは900万件を突破し、Wホワイトプランでは270万契約に達している。現時点では、新規、機種変更の97~98%がホワイトプランシリーズで契約している。また、新規に入るお客の約6割が、Wホワイトプランとしている。シンプルなわかりやすい料金体系として、料金満足度でもナンバーワンになった」とした。

 販売チャネルは、30%増加し、2,417店舗になったほか、店舗内のカウンター数は、前年4月比63%増となる1万カウンターを突破した。

 「ボーダフォンの時代には、1/3の店が赤字であり、閉店したいという声が多く、危機的状況ともいえた。だが、現在では、ほとんどが黒字化しており、出店させてほしいという要望が来ている。引き続き、過熱しないような形で増やしている段階」とした。

 また、法人名義での契約数が33万契約となり、前年比5.5倍の純増となった。法人ルートに強い、ソフトバンクテレコムを通じた販売施策が功を奏している。

 さらに、ホワイト家族24のサービス開始によって、それまで家族の加入比率が4割だったものが、7割に拡大しているという。

 CM好感度でも、4,500作品3,100銘柄のなかで、CM観測業界市場初の過去12カ月の中で、3カ月連続で会社別、作品別、銘柄別で三冠王を獲得。これは、史上初のことだという。


競合他社の動向について

 同社では、冬商戦向け新製品として10機種を発表したが、「auは8機種であり、一番多いとされるドコモは秋冬に加えて、春までの製品を発表しており、秋冬モデルだけでは、ドコモはそんなに多くない」と指摘。一方、ソフトバンクモバイルの新製品が、春モデルの焼き直しが多かったとの指摘に対しては、「スマートフォンのような製品が季節の狭間で出ていないが、インターネットを意識した端末の開発を複数行なっている。それらが徐々に出てくる」とした。

 さらに、各社が発表した料金プランについては、「ドコモやauの半額割り引きによって、お客を奪われるのではないかと思ったが、無条件で半額になるわけではないということをお客が判断し、すぐに飛びつくといった行動はなかった。auは、無料通話分が0円になっており、通話分数によっては高くなるほか、端末は約2万円余計に払うことになる。実質的な値下げにはならないお客がかなりいると見ている。また、ドコモも、よく計算すると、実質的に値下げにはなっていないし、端末料金を払わなくてはならない。当社のホワイトプラン、Wホワイトプランは、十分競争力を持っていると考えている」とした。


孫氏「ホワイトプランは毒にも薬にもなり得る」

 900万契約を突破したホワイトプランについても振り返り、「参入時点で、ドコモ、auのマーケットシェアを持っていてサービスインしたかどうかは疑問だった。これはナンバーワンの会社が取るべき戦略ではなく、3位という立場を利用してスタートしたプラン。毒にも薬にもなり得るものだ。今後も未来永劫、提供し続けることができるかどうかは、よく検討してみないといけないだろう。しかし、一度、ホワイトプランに入っていただいた人には可能な限りサービスを提供したい。いま入っている人は安心して使ってもらい、『ただ友の輪』を広げてほしい」とした。


「ホワイトプランは毒にも薬になり得る」とした孫氏

「ホワイトプランは毒にも薬になり得る」とした孫氏
 また、「ホワイトプランで利益を出せるのは、シェアが小さいことから、他社の携帯電話会社にかける場合が多く、そこでは他社のプランと同じレベルの30秒あたりの料金をもらう。また、Wホワイトについては、着信は無料だが、ドコモ、auから着信相互接続料をもらうことで利益を得られる。Wホワイトのお客はARPUが大きく、顧客ミックスとして比重が増えている。健全な利益が出せる。さらに、端末料金を通信料金と切り分けることで、0円の端末を乗り換えするといったお客が減った。解約する顧客は経営にとっては最悪。端末は持っていかれるし、販売費用がかかり、コストが悪い。これが減ったことで経営の健全化が一気に進んだ」とした。

 さらに、ソフトバンク同士の無料通話することだけを目的に、2台目としてトランシーバー代わりに定額制を利用するユーザーは、「20数%あり、確かに最初は社内でも悪者扱いをする空気があった。しかし、実は一番おいしいお客であるということが、調査でわかってきた。最初の2~3カ月は2台を使い分けているが、3か月も経つと、ポケットに2台入れると邪魔になってくる。安くしゃべれる方をポケットに残す選択をするようになり、ソフトバンクを選ぶことになる。社内では、これを『と金』プログラムと呼んでいる。将棋の歩は金に化ける。トランシーバー利用は、『歩』のお客様だが、これが収入が多い『金』に化ける。今は、トランシーバー利用は大歓迎。そう心を入れ替えている。むしろ、一番たくさん喋るユーザーで、影響力をもっているユーザーが多い。大いに試してください。満足したら一本化して欲しい、と言っている」などとした。


グーグルへの対応、WiMAXの見通し

 グーグルが携帯電話事業に参入する姿勢を見せていることに対しては、「数カ月前から認識していたが、当社がこれにどう取り組むかは決めていない。グーグルの携帯電話用プラットフォームは、オープンソースであるLinuxを改良したもの。しかも、それを公開していくという。当社は、自ら携帯電話を作っているわけではなく、端末メーカーが作っている。オペレーターとして、グーグルと業務提携しないとこれを活用できないことはないと考えている。ただ、日本においてはヤフーの方が、検索サービスでも、グーグルの2倍のトラフィックがある。また、メールサービスでもヤフーメールの方がユーザーは多い。すでに、オークションやイーコマースも携帯電話に乗っている」などとして、ヤフーを持つソフトバンクの優位性を示した。

 WiMAXに関しては、「どこに免許が降りるのかはわからないが、明確な違いは、ドコモ、auが、MVNOに対して回線を提供する明確な指針を出していないのに対して、当社側では、第三者に対してもオープンな形でインフラの提供を行なう点。国民の共有資産の電波をより有効に活用するには開かれたビジネスモデルで、新規事業者にも参入のチャンスを提供することが必要。ドコモ、auは、優位な800MHzにおいて、大量の電波を持っている。当社は、それがないために、1兆円の追加投資をして、auの3倍もの基地局を設置するといったハンデキャップのなかである。繰り返し、不利な割り当てならば、いささか残念なことといえる。技術的には大きな差がない。フェアな考え方の中で、審査して欲しいと願っている」などと語った。


固定事業の動向、アリババ香港上場

アジアNo.1のネット企業を目指すという

アジアNo.1のネット企業を目指すという
 ソフトバンクBBを中心としたブロードバンド・インフラ事業の売上高は前年同期比0.6%増の1,298億円、営業利益は62.7%増の189億円。ソフトバンクテレコムを中心とした固定通信事業は、売上高は0.3%減の1,814億円、営業利益18.2%増の3億円。ヤフーを中心とするインターネット・カルチャー事業は売上高が20.9%増の1,104億円、営業利益が23.8%増の549億円。イーコマース事業は売上高が1.0%増の1,254億円、営業利益は26.6%減の21億円となった。

 一方、孫社長は、今日、アリババが香港で上場したことを説明した。「日本円に換算し、約1兆円の公募を行なったが、2.9兆円を調達できた。日本で行なってきたインターネットビジネスの手法を中国で成功させたものである。ソフトバンクは、日本で3位の携帯電話会社ではなく、アジアナンバーワンのインターネット会社であり、その会社が最近になって、日本で携帯電話事業を開始したと捉えてほしい」とソフトバンクの位置づけを強調した。

 さらに、「アリババは、BtoBにおいて、世界で最も成功したモデルとなった。これを日本に持ってくる。アリババ・ジャパンを、当社の過半数の持ち株比率で準備している」と、日本で新たなビジネスを開始する姿勢を示唆した。

 孫社長は、「ソフトバンクは、事業会社ではなくて投資ファンドではないかと言われる時期があった。投資ファンドとソフトバンクは大きく異なる。投資ファンドは、2~3%を出資し、経営には直接的な影響を与えない。しかし、ソフトバンクは、海外では30%前後を出資し、国内では過半数を出資する、戦略的事業パートナーシップによる投資を行なう。米国では、ヤフーに対して100億円の投資を行ない、ヤフージャパンには1億円を投資した。また、アリババには20億円を投資した。いずれも1兆円単位の含み益を得ている。今回のアリババの上場はBtoB部門だけ。個人的には、ネットオークションを行なうタオバオ、アリペイの方が潜在的価値は大きいと認識している。これは、まだ未公開のままであり、投資した20億円すべてが顕在化したものではない」とした。タオバオには、日本のヤフーオークションの10倍もの商品が出品されているという。

 また、孫社長は、「ソフトバンクが出資した企業は、すでに40~50社が上場している。数十社の単位で傘下の企業を上場させたグループ会社、事業会社は世界を見ても類がない。そして、それらのすべてがインターネット関連の会社であるということ。戦略分野に特化して投資を行なう、戦略的インターネット企業集団であり、インフラ、ポータル、コンテンツという領域に事業を拡大している。また、米国で投資し、それを回収し、タイムマシンのような時差を利用して、日本に投資する。さらに、今度は、時間差を利用して中国で投資する」として、今後も継続的に中国市場に対する投資をしていく姿勢を示した。


携帯電話もデータ中心となっていくことで、同社が優位になるとした

携帯電話もデータ中心となっていくことで、同社が優位になるとした
 加えて、「当社は、なぜ、携帯電話に取り組みはじめたか。携帯電話は、これまではボイスマシン。しかし、これからの第2ステージでは、インターネットマシンに進化する。当社では、携帯電話で競合他社の後追いをするのではなく、インターネットの世界からやってきた企業。インターネットのノウハウ、技術、土地勘を使って、携帯電話市場に参入している。4Gの世界になると、ますますボイス中心からデータ中心の世界が加速する」として、今後、同社が優位になるとの見方を示した。



URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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(大河原克行)
2007/11/06 21:53

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