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三洋の「eneloop」とコラボ、ウィルコムW-SIM端末のプロトタイプ

 8月24日~26日に東京ビッグサイトで開催されるイベント「グッドデザイン・プレゼンテーション2007」で、ウィルコムと三洋電機の協力で誕生したPHS端末のプロトタイプ(試作品)が展示されている。初日の24日には、会場内で発表会が開催され、両社によるプレゼンテーションが行なわれた。


単3型eneloop1本で動作するW-SIM端末

今回発表された試作品

今回発表された試作品
 今回発表された試作品は、三洋電機の充電池「eneloop」の単3型一本で動作するW-SIM対応端末。低消費電力というPHSの特徴を活かしたもので、一般的な端末よりも省電力性に優れているという。現時点で商品化される予定はないが、連続通話時間は約5時間、連続待受時間は約250時間というスペックが明らかにされている。

 電池を模したボディが採用され、ディスプレイやカメラは装備しない。テンキーと発話・終話ボタンというシンプルな構成。実際に通話が可能で、着信するとLEDが点滅する。上部のカバーを外すとW-SIMが収納されている。バッテリーカバーは部分的にクリアパーツが用いられ、外からeneloopが収まっている様子がわかる。


テンキー周辺 上部 カバーを外すとW-SIM
テンキー周辺 上部 カバーを外すとW-SIM

バッテリーはeneloop1本 底部 着信中にLEDが点滅
バッテリーはeneloop1本 底部 着信中にLEDが点滅

スケルトンモデルも うっすらと内部構造が透けて見える 背面
スケルトンモデルも うっすらと内部構造が透けて見える 背面

 その概要を紹介するプレゼンテーションでは、三洋電機デザイン担当の水田一久氏、技術担当の前田泰史氏、ウィルコムプロダクト企画担当の安島望氏、デザイン担当の堀田氏が登壇した。


互いの長所とは

三洋の水田氏

三洋の水田氏

三洋の前田氏

三洋の前田氏
 なぜ、両社が協力し、試作品が作られたのか。その経緯を説明するため、まず「eneloop」の特徴を紹介するところからプレゼンテーションはスタートした。eneloopの技術的な特徴について、前田氏は「従来のニッケル水素電池は、自然放電に対する不満の声があった。これを独自技術で抑えたのがeneloop。充電後、従来型であれば1年経つと極端に電力残量・電圧が下がる。しかし、eneloopは約75%残る。自然放電を抑えたことで、リモコンのような長期間動く機器でも使えるようになった。また従来型は約500回程度の充電で使えなくなったが、eneloopは1,000回使える」と説明した。

 eneloopは、三洋電機が掲げる「THINK GAIA」という理念に合った製品だが、三洋ではeneloopの考え方を中心に据えた、製品開発などに取り組んでいる。そのうちの1つが、他社との協力関係による製品作りで、第1弾としてタカラトミーとのコラボによる玩具が発表されている。今回、ウィルコムと作り上げた試作W-SIM端末は、第2弾としての取り組みになるという。

 ウィルコム安島氏からはマイクロセルネットワークにより、低消費電力、小型化、高品質通話などの特徴が実現できていることが紹介された。続いて堀田氏が、今回の試作品を手にして、「外観はeneloopをイメージした。内部構造は簡単な作りで、実際に通話できる。今回は、双方の良さが出せるものを4カ月半かけて作り上げてきた。美しい未来のために、何ができるか考えてきた」と述べ、試作品を聴衆に紹介した。


自然放電すると、容量と電圧が低下する eneloopは充電から2年を経ても約75%保っている プロトタイプの概要
自然放電すると、容量と電圧が低下する eneloopは充電から2年を経ても約75%保っている プロトタイプの概要

コラボの背景

ウィルコムの堀田氏

ウィルコムの堀田氏

単4電池で駆動する、12年前のPHS端末を手にする安島氏

単4電池で駆動する、12年前のPHS端末を手にする安島氏
 両社の協力のきっかけについて、堀田氏は「産業デザイン振興会主催のイベントで、eneloopに関するプレゼンテーションを聴き、そのすごさを実感した。同時に、“これでPHSが作れるかもしれない”と考え、三洋さんに声をかけた」と、ウィルコム側からのアプローチで、プロジェクトがスタートしたことを明らかにした。

 声をかけられた三洋側は、どう捉えたのか。水田氏は「W-SIMを入れ替えて、気分やTPOにあわせて着替えられるというのは心に刺さった部分。そして、昔使ってい端末が使えるという発想はすごく面白い。乾電池以上に、携帯電話・PHSを捨てることには罪悪感がある。eneloopは使い捨てない電池で、コンセプトも合った」と語っていた。

 また、前田氏は「片思いの相手から告白された気分だった。というのも、かつて携帯電話はニッケル水素電池を使っていたから。やがて軽量・コンパクトといった点からリチウムイオンに切り替わっていったが、ニッケル水素電池を愛する身としては“ニッケル水素のケータイがあってもいいじゃないか”と思っていた。そこに来た話だったので、すごく喜びがあった」と述べ、電池技術者としての視点で今回の試作品を従来のケータイとは一線を画すプロダクトに位置付けた。

 ウィルコム安島氏は、12年前のPHS端末を手にして「実は単4電池で駆動する端末だが、今回eneloopで動かしている。今回の試作品が実際に動作するものになって、嬉しく思う」と語っていた。

 今後については、商品化の予定はないとされたが、前田氏は「災害に強い電話というコンセプトが面白いのではないかと話している。充電しておけばeneloopは2年使える。使い切っても太陽電池で充電できる」と述べると、水田氏は、自身が1995年の阪神淡路大震災で被災した経験に触れ、「コンビニに行くと、食品はあるが電池がなかった。今でも思い出す出来事で、電池の重要性を感じた。また親類や会社に連絡できない中で、当時珍しかった携帯電話を持っている人をみかけ、うらやましく思った」と述懐していた。

 最後に堀田氏は「今回の試作品は、商品化される予定はないが、今後も両社の相乗効果を出せるプロダクトを作っていきたい」と、今後の展開に意欲を見せた。


ウィルコムブースの模様

 会場内のウィルコムブースは、店舗風に仕上げられた作りで、今回の試作品をはじめ、ウィルコムのコンセプトモデルが数多く並んでいる。ただし、一般来場者はブース内に立ち入ることはできない。


ウィルコムブース。報道関係者のみ内部が公開された 店舗風、ということでレジも 熊を題材にしている店舗デザインだが、これはコンセプトモデルの「くまふぉん」が元になっている
ウィルコムブース。報道関係者のみ内部が公開された 店舗風、ということでレジも 熊を題材にしている店舗デザインだが、これはコンセプトモデルの「くまふぉん」が元になっている

コンセプトモデルの「hard customize」 外装も
コンセプトモデルの「hard customize」 plamo phone 外装も

W-ZERO3 future editoin パステルカラー調のボディを採用したモデルも 店舗の棚をイメージ
W-ZERO3 future editoin パステルカラー調のボディを採用したモデルも 店舗の棚をイメージ

Tシャツも 大振りのパンフレット
Tシャツも 大振りのパンフレット

 このほか会場内には、グッドデザイン賞に応募したさまざまな製品が並んでいる。ベビーカーやテント、建築用品など多種多様な製品群の一角には、携帯電話のコーナーもあり、シャープやカシオ、NEC、パナソニック、富士通などの携帯電話が並ぶ。国内だけではなく、海外向けの携帯電話も展示されており、LG電子の「PRADA Phone」などが用意されている。


PANTONEケータイ 812SH W53CAもエントリー
PANTONEケータイ 812SH W53CAもエントリー

台湾mobinnova社のWindows Mobile6搭載3.5G端末 PRADA Phone。国内での展示は珍しい
台湾mobinnova社のWindows Mobile6搭載3.5G端末 PRADA Phone。国内での展示は珍しい


URL
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/
  三洋電機
  http://www.sanyo.co.jp/
  グッドデザイン・プレゼンテーション2007
  http://www.g-mark.org/gdp/2007/


(関口 聖)
2007/08/24 22:29

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