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2007年度第1四半期連結決算は大幅な増収増益
「基幹事業としての手応え感じた」と孫社長

ソフトバンク孫氏

ソフトバンク孫氏

連結決算のサマリー

連結決算のサマリー
 ソフトバンクは、2007年度第1四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比34.2%増の6,630億円、営業利益は44.9%増の787億円、経常利益は96.8%増の511億円、当期純利益は17.7倍となる251億円となった。

 説明を行なった代表取締役社長の孫 正義氏は会見の冒頭、「これまでは、ボーダフォンの買収は成功だったのか、という話が中心だったが、いまは、移動体通信事業が当社の基幹事業として位置づけることができる手応えを感じている。純増数で3か月連続首位となっているが、勝つときもあれば、負ける時もある。ただ、急激に逆回転して、我々のお客がソッポを向く状態になったり、赤字に転落したりすることはない。競争は始まったばかり。他社もさまざまな手を考えて、努力をしており、決して安泰な状況ではないが、着実に事業基盤を強化し、健全に事業をやっていける手応えを感じ始めている」とした。

 移動体通信事業は、売上高が前年同期比68.5%増の3,916億円、営業利益は59.5%増の435億円。

 「移動体通信事業は前年同期には2か月分しか計上されていないため、実際の成長率はもう少し低いが、KDDIが16%増、NTTドコモが25%減という状況と比較すると、評価できる成長率と言える」とした。


セグメントごとの売上高 営業利益
セグメントごとの売上高 営業利益

経常利益 当期純利益
経常利益 当期純利益

オペレーションデータ

7月まで3カ月連続で純増1位に

7月まで3カ月連続で純増1位に
 6月末時点でのソフトバンクモバイルの契約者数は、約120万件増加の1,644万500件。純増数は53万800件となった。前年同期には純増数が3万人に留まっていたことに比較すると大幅な増加。純増数は、5月、6月の2か月連続で首位。四半期ベースでの純増数も首位になった。なお、昨日発表された7月の純増数では22万5,000回線、45%のシェアを獲得して1位となっており、3か月連続の首位を達成した。プリペイド契約を除くと25万6,000回線の増加となり、「さらに圧倒的な純増数になる」(孫氏)と強調した。

 ソフトバンクモバイルの解約率は1.46%。総合ARPUは5,000円(うちデータARPUは1,410円、音声ARPUは3,590円)となった。スーパーボーナスによる割賦販売請求分を含めるとARPUは5480円と2006年度第4四半期に比べて上昇しており、「今後も音声ARPUの減少分を、端末機の割賦請求分でカバーできるだろう」とした。

 ホワイトプランの申し込み件数は8月7日時点で690万件、ダブルホワイトは170万件に達したという。現在加入者の約99%のユーザーがホワイトプラン、ダブルホワイトプラン、ホワイト家族24のいずれかに加入しており、オレンジプラン、ブループランの加入者は極めて少ないという。

 孫氏は、「他社が基本料金を半額にしても、ソフトバンクモバイルはさらにその半額である。依然としてホワイトの3つのプランに集中している」と語る。

 昨年10月からスタートしたスーパーボーナスの契約者数は630万件に達している。

 また、第3世代携帯電話契約数は7月末時点で985万3,000件となり、第3世代の構成比率は59.1%となった。


累計契約数

累計契約数

機種数で他社と比較

機種数で他社と比較
 孫氏は、「ネットワーク、端末、コンテンツ、マーケティング(料金、ブランド)の4つのエリアで劇的な改善を遂げたことが、純増ナンバーワンの理由」として、それぞれ改善内容について説明した。

 ネットワークでは、8月1日時点で4万6000局の基地局設置を達成。買収時点に比べて、2倍以上に拡大したという。「auは2万基地局を切ると聞いている。auの倍であり、auが10年以上かけて整備した数をわずか1年間で整備したことになる。1年間でこれだけ3Gの基地局を作ったのは世界最短。社内ではこの記録をギネスに登録したらどうかと、冗談半分本気半分で言っている。私自身、10年以上使っていたドコモからボーダフォンに切り替えて、つながらないと仕事にならないと心配していた。事実、昨年今頃は、つながらないということも結構感じた。だが、いまはほとんど不自由しない。顧客のネットワークに対する満足度も27%も改善している」とした。

 フェムトセル型の基地局に対しては、「免許の許認可に改善すべき点がある。世界的な流れは小さな投資でキャパシティを増やしていくのに適している。技術上の問題は解決している。大量生産するための部品の調達の調整をしている」と語った。

 端末の観点では、第1四半期におけるドコモとauがともに16機種の新製品投入に留まったのに対して、ソフトバンクモバイルは23機種を投入し、色数でも99機種と圧倒的な数を取り揃えたことを示した。「前年度第1四半期には、世代別、目的別で見ても貧弱な品揃えだったが、今年度第1四半期では、すべての世代や目的に適したラインアップを揃え、店頭を賑やかにすることができた。また、他社に比べて、より薄くて、より軽いものが品揃えできたと考えている」と語った。

 また、「携帯電話端末の平均仕入れ価格は、「4万数千円の下の方。ただ、これまでは品揃えに重点を置いたことも影響している。今後も機能は進化させるが、コストの効率化もあわせてやっていく。コスト削減効果は今年後半から効いてくるだろう。中期的には平均仕入れコストを下げられると考えている」とした。

 コンテンツでは、Yahoo!ケータイを導入した効果を訴え、トップページのアクセス数が66倍に伸びたことを示した。「日常的に得たい情報は携帯電話だけで済む。私自身も一日10回以上、ヤフーボタンを使っている。フォントの大きさ、画面のレイアウトまで私がこだわって作り込んだもの。ユーザー登録をせずに、簡単に株価、ニュース、音楽などを見ることができる。ワンクリックで、パソコンで得られる情報と同じものが、一瞬にして一覧できるメリットは大きい」とした。


「ソフトバンクモバイルは携帯におけるSkype」

安いというイメージが浸透してきたという

安いというイメージが浸透してきたという

料金面での顧客満足度も向上した

料金面での顧客満足度も向上した
 料金プランにおいては、「ソフトバンクらしいユニークさを出した。業界の習わしに従うのでなく、世界初の割賦販売制度を導入した。導入当初は、他社はこの制度を批判していたのに、いまは参考にしたいとしている。割賦販売では、店頭での説明が長くなるという点で大変苦労した。また、店員の教育に時間がかかり、説明に疲れて辞めたスタッフもたくさんいた。やっと混乱がなくなり、慣れてきた。他社もこれを導入した途端に、生みの苦しみを理解するのではないか。割賦販売は、当社の解約率を改善する、あるいはキャッシュフローを改善するという経営的ニーズから出てきたものであり、割賦販売をしなければ、もっと純増数は伸びたかもしれない」とした。

 また、「一番おトクな料金プランはなにかという調査では、ソフトバンクモバイルが圧倒的な安いというイメージがある。実際、MNPで当社に移行した74.6%が安くなったと答えている。こうした利用者が友達に草の根が広がるといった動きも出ている」と語った。

 5月10日にスタートしたホワイト家族24によって、従来は家族での加入比率が40数%だったものが70%まで拡大。「もともとボーダフォンは、家族割がないために家族での加入が弱いといわれていたが、これが、ホワイト家族24によって大きく改善された」とそのメリットを強調した。

 また、「ソフトバンクモバイルは、携帯電話におけるSkypeだ」として、「Skypeのビジネスモデルは、Skype同士が無料になるというもの。ホワイトプランは実質的にはSkypeと同じであり、夜9時まで、あるいは家族であれば24時間無料でしゃべれる」などとした。


iPhoneについては言葉少な

ショップ数は約25%増

ショップ数は約25%増
 営業体制では、ソフトバンクモバイルのショップ数が約25%増となる2,310店舗、ショップ内のカウンター数は、昨年10月のMNP開始時点に発生したトラブルにより、多くの顧客からの問い合わせに対応できなかった反省から、45%増の約9,000としたという。

 一方、九州地区では4か月連続の純増トップとなっていること、同地区での純増シェアが67%となっていることを示し、「九州では圧倒的なナンバーワンとなっている。ソフトバンクホークスを持ったことが、地元ファンに応援してもらえる結果になっている」とした。

 ホワイトプランなどの契約者数の増加により、無料通話が急激に増加しているが、「今後、顧客基盤を増やしていく考えであり、それにあわせて、ネットワークを強化していく。顧客に迷惑をかけないように配慮した設備計画を推進していく」とした。また、パソコンの定額通信サービスの提供は、「ネットワークの負荷を考えて検討したい。ただし、サービスを開始するぎりぎりまで発表しないのが当社のやりかた」とした。

 iPhoneに関しては、「すばらしい携帯端末、情報端末であると感じている」としたに留まった。


固定事業は携帯との相乗効果に期待

グループでのシナジーを発揮

グループでのシナジーを発揮
 なお、ソフトバンクBBを中心としたブロードバンド・インフラ事業は、ADSL累積接続回線数が513万4000回線に達するなど、売上高が3.8%増の657億円、営業利益は58.2%増の86億円。ソフトバンクテレコムを中心とした固定通信事業は、おとくラインの接続回線数が125万7000回線となり、売上高は2.0%増の904億円。だが、営業損失はマイナス1億円となった。ヤフーを中心とするインターネット・カルチャー事業は売上高が18.3%増の527億円、営業利益が25.5%増の271億円。Yahoo!ショッピング、Yahoo!オークションの合計ストア数は2万8368店舗になった。イーコマース事業は売上高が4,3%増の616億円、営業利益は20.1%減の11億円となった。

 孫社長は、「現在、当社は、携帯電話事業に対して、技術、営業部門の主力を最優先で投入している。きっと、NTTは、光サービスを伸ばしやすくて喜んでいるだろうが、ADSLの次の戦略として、光ファイバーサービスを準備している段階にある。準備が整い次第、そちらに行く」とした。

 「昨年のある時期には、買って失敗したかなと思った時期もあったが、おとくラインがだいぶ改善し、設備投資の部分も収穫期に入ってきた。また、85%が法人比率となっており、これらのユーザーに対して、携帯電話が思いの外売れている。FMCによるサービスメニューを増やすことができる。グループに取り込んでおいてよかった」と語った。

 また、業績に対する自己評価については、「日々小さな反省はあり、昨秋は顧客に対してご迷惑をおかけした反省もあるが、今は特段、大きな反省はない。だが敢えて言えば、もっと早く買収しもっと早く基地局を設置していればという反省ある」などとした。

 一方、モバイルビジネス研究会については、「特定のやり方を押しつける、あるいは誘導するのはいかがなものかと思う。我々の割賦販売も1つのやり方、奨励金も1つのやり方。自由主義の世の中ではいろいろな手法がある。顧客が善し悪しを選んでいくのが本来のやり方だろう」とした。

 なお、イー・アクセスとの共同歩調を模索しているWiMAXに関しては、「前向きに可能性を検討している。出資の時期までには他の出資者とも検討していくことになる」と語った。



URL
  ソフトバンク 第1四半期決算概況(PDF形式)
  http://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/pdf/softbank_results_2008q1_001.pdf


(大河原克行)
2007/08/08 19:54

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