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Kスタ、au design projectの新コンセプトモデル公開

 KDDIは、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオ(Kスタ)において、au design projectによる展覧会を開催。この中で、au design projectの新コンセプトモデル「actface」「ヒトカ」「sorato」の3端末が披露された。

 7月31日から9月2日にかけて、Kスタにおいて「ケータイがケータイし忘れていたもの」と題した展覧会が開催されている。今回の展示は、auの携帯電話においてコンセプチュアルな製品を提案しているau design projectによるもの。従来、プロダクトデザインに注力したモノ作りを行なってきた同プロジェクトであるが、今回は視点を変えて、インターフェイスに着目したコンセプトモデルを発表した。


actface

actface PLAY

展示コーナーに座る猪子氏
 「actface」は、猪子寿之氏率いるウルトラテクノロジスト集団「TEAM☆LAB(チームラボ)」が手がけた折りたたみ型端末。背面にまで透ける大型ディスプレイを備え、端末全体に映像が表示される。ボタン部は透明だが凸感があり、タッチパネル式となっている。猪子氏は「actface」について、「画面だらけにしたかった。モノとしての境界線が曖昧な光の塊、それ自体が情報にしたかった」としている。

 コンセプトは、「使うことが楽しくなるような」「ケータイを使うこと、それ自体で何かを生み出す」。今回、それぞれ印象の異なる「PLAY(プレイ)」と「Rhythm(リズム)」の2タイプの端末が披露された。

 「PLAY」は、端末自体が「街」になっていて、使うことで成長するインターフェイスを採用したモデル。2Dのドット絵、いわゆる「ファミコン」のゲーム画面を思わせるような「街」には、様々な仕掛けが仕込まれており、例えば、仕事関連の連絡ばかり取り合っていると、街にはビルが乱立。何度も電話に出ないと、街には「フザイチャクシン、デナインジャー」という戦隊ヒーローが登場する。

 このほかにも、恋人から連絡があると街はハッピーに、端末バッテリーがフル充電されていると、街には活気がみなぎり、電池が少なくなると寂れてくるなど仕掛けはさまざま。また、端末の所有者同士がすれ違うと、「街」の中でも人がすれ違うなどのインタラクティブな要素も盛り込まれている。

 一方の「Rhythm」は、書や水墨画の持つアクション性やリズミカルな面にフォーカスしたモデル。書や水墨画を3D化して流体アルゴリズムを適用、3D空間に水墨画が描かれていくような不思議な端末となっている。ボタン部を押すとそこに花が咲き、例えば、メール作成で文字入力中は花が咲き、送信すると、端末全体を大きな鯉が通り過ぎるといった具合だ。

 猪子氏は、携帯電話の文字入力にリズムがあるとしており、「VJをやっている感覚で使う」と語っていた。また「actface」について、現在の技術で実現できるような配慮を行なったとしており、ユーザーインターフェイスの部分もFlashで構築されている。


背面部にも液晶が映る こちらは「Rhythm」

全面タッチパネル式だが、方向キーやボタン部は凸加工されている 端末は折りたたみ型

利用シーンに応じてボタン表示が変化する メール着信

電話をとらなかったので「デナインジャー」が登場 メニューを選択すると「街」のマップが移動して選択した項目に応じた関連シーンが表示される

書や水墨画をイメージ ボタンを押すと花が咲く

メール送信などで大きな鯉が端末を通り過ぎる 墨が混ざるアルゴリズムを研究

アドレス帳 コンセプトモデルをケータイで撮影する人がたくさんいた

ヒトカ、sorato

 「ヒトカ」と「sorato」は、アートディレクターの森本千絵氏が手がけた端末。「ヒトカ」は、端末にぬくもりを与えるようなインターフェイスを採用したストレート型端末。端末の中にいる人物が、ユーザーの操作によって働いてくれる。中の人が操作に合わせて、機械に伝えようとしたり、メールを送信するとメールを抱えてダッシュするなど、携帯電話の単純な動作に体温を感じさせる工夫がなされている。


ヒトカ 体温を感じさせるケータイ

インスタレーションのような展示コーナー 森本氏のメッセージ

 「sorato」は、固形石けんのような形状の透明な端末。携帯電話が便利になるにつれて、人が下ばかりみるようになったとし、端末には空が映るようになっている。夜明けとともに端末には日が昇り、屋外に雨が降れば、端末にも雨が降るといった優しい端末だ。


埋め込まれるように展示されていた「sorato」 ホログラムのような、ぼんやりした映像で空が映し出されていた

Kスタ、坂井直樹×猪子寿之トークセッション

猪子氏(左)と坂井氏(右)
 31日の展覧会初日、Kスタではau design projectを担当するコンセプター坂井直樹氏と、actfaceを手がけた猪子氏によるトークセッションが行なわれた。坂井氏は冒頭、海外で発売されて話題を呼んだiPhoneについて、「アレはケータイ? それともコンピューター?」と問いかけた。猪子氏は、iPhoneについて「海外らしいもの」とし、そのインターフェイスについて「目的の為に直線的、合理的なもの」と評価した。

 猪子氏は、自身のインターフェイスについての考えを語り、「本来、インターフェイスは使いやすくするためにある。ケータイでメールするとき、伝えるためにしょうがなくボタンを押している。今回actfaceでは、行為自体を楽しく消費するような、ボタンを連打したくなるようなものを考えた。これは日本特有」と述べた。

 また、英国と中国と日本のお茶について紹介した海外の古い書籍を紹介し、「英国と中国がお茶のよりおいしい飲み方を紹介しているのに、日本は、お茶をおいしく飲む目的を忘れ、茶を飲む行為そのものを消費している。これはすごい面白い」とした。

 さらに、行為自体の目的化の例として、任天堂がファミリーコンピューターを発売していた時期に、子供たちの間で話題になったハドソン製の「シュウォッチ」にも言及し、「本来のゲームから離れて、ただ連打するだけの機器。ああいったものがスゴい。海外の人に、相変わらず日本は変態だと思わせたい」と会場を笑わせた。

 猪子氏は、「こじゃれたものや、単なるオシャレモノではなく、普通にテンションの上がるものを作っていきたい。actfaceは、メールする相手がいないのにひたすらボタンを押したくなるような、電話相手がいないのにボタンを押したくなるようなもの。最初、使いにくく思われるかもしれないが、メールを打つといった行為自体は邪魔しない。TEAM☆LABではactfaceを商品化したい。ただ、どうやったら作れるかはKDDIの方は教えてくれない(笑)。是非、皆さんに欲しいという声を挙げてもらいたい」とアピールしていた。


トークセッションは人で溢れた iPhoneについて語る坂井氏


URL
  ケータイがケータイし忘れていたもの
  http://www.au.kddi.com/au_design_project/models/2007/index.html
  au design project
  http://www.au.kddi.com/au_design_project/
  TEAM☆LAB
  http://www.team-lab.com/
  KDDIデザイニングスタジオ
  http://www.kds.kddi.com/


(津田 啓夢)
2007/07/31 22:20

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