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インテル杉原氏「WiMAXなら携帯より安く高速に」
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イー・アクセスの千本氏
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28日、イー・アクセスとイー・モバイルの主催によるセミナー「モバイルWiMAXはブロードバンド革命を起こせるか」が開催された。
WiMAXの国内展開を見据えた内容で、冒頭に挨拶したイー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、「高速無線通信が今後どうなるのか、総務省も我々も、誰もわからない。当社サービスは今は3Mbps程度で10~20Mbps程度までHSDPAベースの技術でいくだろうが、100Mbpsとなるとどうなるのか。現在、WiMAXと携帯の技術をどう位置づけていくか、勉強しているところ」と語った。
■ インテルはWiMAXで何を狙うのか
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インテルの杉原氏
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WiMAXの仕様
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WiMAXを推進する企業の1つであるインテルだが、今回のセミナーでは、事業開発部 政府渉外部長の杉原 佳尭氏が壇上に立ち、同社の考えなどを説明した。
同氏は「インテルは、WiMAXをできるだけ利用してもらい、エコシステムを作っていきたい。では、WiMAXで何をするのか。パソコンだけではなく、デジタルカメラなどさまざまな機器が接続して繋がっていく。重要なのは、いつでもどこでも最良で安価ということ。これはWiMAXで実現できる」とする。技術的には、OFDM、MIMO、そしてIP網に無線で接続できることが特徴とされた。
インテルでは、WiMAX向けチップセットは基本的に移動サービス対応チップを中心に据え、固定での利用を想定した機器に対しても移動サービス対応チップを提供する。また、年末から生産するチップセットではWiMAXがサポートされており、早ければ来年度に登場するパソコンではWiMAXが利用できる状況になるという。杉原氏は「現在、Centrinoと記されたノートパソコンではすべて無線LANが利用できるが、同じような形でWiMAXをサポートする。ブランド名などはまだ決まっていないが、ノートパソコンのほとんどに入ると思ってもらってよい」とした。
WiMAXをサポートすることでチップの価格はどうなるのか。この点については「高くなるだろうが、CPUとしての性能は現行モデルよりも確実に進化している。最新のCPUで無線LANとWiMAXがサポートされるという形になる」(杉原氏)という。
■ 携帯との関係
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携帯とは補完関係になるという
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WiMAXフォーラムの日本版も設立される
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無線通信技術としてのWiMAXの位置づけはどうなるのか、杉原氏は「現在のワイヤレスサービスには、広域をカバーする携帯電話と、限られたエリアの技術である無線LANとの間にギャップがあるように思う。これを埋めるのがWiMAXではないか。データ通信という点では競い合うかもしれないが、携帯電話とは基本的に補完関係になるだろう」とした。
その一方で同氏は、「インテルとしては、コンピュータを使ってもらわなければいけないが、電話をベースにしたアクセスは、幅も料金も含めてボトルネックになっている。そこを何とかしなければということで、WiMAXを推進している。携帯電話と競争関係になって、切磋琢磨したいと思う。ただし、携帯電話ベースの技術のロイヤリティ構造は……」と述べ、言葉を濁しつつも、携帯電話のあり方に疑問を投げかける。
さらに、WiMAXのライセンスは安価と繰り返しアピールし、「携帯のように、1社に帰属したライセンスではない。ある特定の1社に帰属する技術で、さらにライセンス料が高ければどうなるのか。たとえば、無線LAN機器は、現在店頭で安価に販売されている。しかし。携帯電話ベースの技術では、ライセンスがあるから、そこまで安くならない。WiMAXでは、無線LANで経験したビジネスモデルを展開していきたい」と語り、携帯電話とは異なるライセンスの形がアドバンテージになるとの考えを示した。
また、標準化された点についても、日本メーカーが海外で展開しやすい構造をもたらすと指摘。ライセンスの安価さ、世界標準技術という点がWiMAXの強みとし、「日本のブロードバンドは非常に安いが、日本のケータイが世界で一番安いという人がいるだろうか。携帯電話の値段は高止まりしている」と語り、総務省が示した、2.5GHz帯での割当方針案で、新規事業者を対象にしたことを「インテルは非常に好意的に受け取っている」とした。
なお、携帯電話業界に対する意見としては、続いて壇上に立った東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏も「日本では標準化の動きがない。各社ごとに仕様が異なるが、モバイルビジネス研究会で“モバイルとはそういうもの”と説明した某社に対しては“おまえがそうしたんだ”と怒った」と語っていた。
■ 世界の動向や今後の進化
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各地でWiMAXの検討が進められているという
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杉原氏は、世界各国でもWiMAXの導入に向けて検討を進める動きがあるとして、「米国ではスプリント・ネクステルが来年サービスを開始する。アジアでは台湾やマレーシア、インドでも検討されており、タイでも実証実験に意欲を見せている」と説明。いわゆる開発途上国とされる地域にとっては、次世代通信への投資は高コストで、3Gの携帯電話かWiMAXか、どちらにすべきか考えているところだという。
同氏は「日本は豊かな国で、一気にアンテナも揃うだろうが、他国はそうはいかない。さまざまなコストを考えた上で、その国なりのワイヤレスブロードバンドが検討されている」と説明した。
将来的な話としては、「現在の規格では10MHz幅で行なう形だが、進化系となる802.16mでは20MHz幅が基本で、将来的には統合していく。通信速度は、単純に考えても倍程度になるだろう。総務省が示した高速無線通信向け周波数の割当案は1社あたり30MHz幅となっているが、これは最初10MHz幅のWiMAXでスタートし、その後、20MHz幅の802.16mを……という形にぴったりで、総務省でそう考えたのではないか、と我々は見ている」と述べた。
最後に杉原氏は「携帯でなしえなかったインフラを構築する。それは、幅広い帯域で高速で定額制というもの。WiMAXの安価なロイヤリティも定額制に繋がる。また、WiMAXはアプリケーションとインフラを切り分けた水平型モデル。さまざまな方に使ってもらえればいい。MVNOも新しいチャレンジができる」と、WiMAXの魅力をあらためて聴衆に訴えかけていた。
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モバイルWiMAXの仕様
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「固定が世界でもっとも安いのに対し、携帯は高い」と杉原氏は指摘
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■ URL
インテル
http://www.intel.co.jp/
イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
(関口 聖)
2007/06/28 19:11
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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