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KDDI株主総会、WiMAXに積極的に取り組む姿勢は変わらない
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KDDIは6月20日、都内のホテルで第23期定時株主総会を開催した。2006年度の事業報告では、4期連続で増収増益を達成したことを示しながら、携帯電話事業における契約純増数が275万、MNPによる純増数が82万に達したことなどを示し、2006年度の純増シェアがナンバーワンになったとした。3月末時点でのauのシェアは29.1%となっている。
KDDIの小野寺正会長兼社長は、「携帯電話事業では、端末機器の投入、料金メニューの充実、コンテンツおよびアプリケーションの充実など、総合的な商品力強化が功を奏した」と説明した。
さらに、2010年度を最終年度とする中期経営計画「チャレンジ2010」への取り組みにも触れ、営業収益で4兆円、営業利益で6,000億円を目標としているほか、あらゆるサービスでお客様満足度ナンバーワンを目指すこと、量的拡大と質的向上を両立し、売り上げ拡大を伴った利益拡大を目指す、持続的成長へとつなげる方針を示した。
事業報告に続き、書面による質問への一括回答として、両角寛文取締役執行役員常務が説明した。
三菱東京UFJ銀行と共同で設立を予定しているモバイルネット銀行のサービスについては、「携帯電話の利便性を生かしたサービスとして提供するものである。ATMの自社所有は予定していないが、携帯電話からの入出金などが可能になる。この分野におけるセキュリティ環境の充実は必須であり、様々な機能を盛り込む」とした。
また、業務委託先の顧客情報の取り扱いについては、「DIONおよびauの顧客情報の流出に関しては、ご迷惑をおかけし、深くお詫びする。いずれも委託先において発生したものであり、委託先とは、顧客情報の保護、機密情報の取り扱いにおける覚え書きを取り交わすなどのほか、運用が適切に行なわれるのかを改めて確認している。再度、点検やコンプライアンス教育を実施していく」と、改善に取り組んでいく姿勢を見せた。
さらに、6月13日にケーブルプラスによるIP電話サービスが、一部ユーザーで利用できない不具合が発生した点について、「関係者に対してお詫びする。発生原因はIPアドレスを管理するサーバーの不具合によるもの。処理能力を確保し、影響範囲を局所化するように改良を加えているほか、サーバーやルーターには十分な余力を持ち、万が一の障害でも影響範囲を広げない工夫を行なっている」として、IP電話の安定運用環境の整備に取り組んでいることを訴えた。
■ ソフトバンクへの対抗施策も検討中
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KDDI会長兼社長
小野寺正氏
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会場からの質疑応答では、au事業に関する取り組みについて、いくつかの質問が飛んだ。
シェアを大きく左右する春商戦の結果や、今後の取り組みについては、「ツーカーを除くauの純増シェアは4月は76%、5月57.8%。ツーカーを含めても、2006年度実績では純増シェアが55.8%となった。この夏商戦に関しては、ケータイワンセグを中心に7機種を一斉に発売。ソニーのウォークマンケータイ、カシオのEXILIMケータイなど、ライフスタイルにあわせたものを投入していく。au design Pojectで発表した4モデルがニューヨーク近代美術館に展示されたことは、デザインに取り組んできた当社の姿勢を評価してもらったものといえる」(高橋誠執行役員)とした。
また、ソフトバンクモバイルの攻勢に対しては、「対抗するための各種施策を着実にやっていく。料金については、様々な要素があり、検討しているところ。料金施策をどういう形で出すかは、別途報告することになる」(小野寺社長)として、具体的な料金施策に関する考えは示さなかった。
ツーカーが来年3月末で終了することから、CDMAを中心としたサービスになることについては、「WINの比率は53%に達している。また、音声データをあわせたトータルARPUでは、全体が6,380円であるのに対して、WINは8,310円と高い」と、高橋執行役員がWIN端末利用者が増加していることと、WIN利用者のARPUの高さを提示。続けて、小野寺社長が、「今年度末には、WINの比率はさらに高まるだろう」とした。だがその一方で、「音声だけの利用、あるいはメールの利用といったユーザーには、WINは必要ない場合もある。あまり高機能を必要としないシニア向け、ジュニア向けには、1Xの端末を継続的に販売する」として、1Xベースの単機能モデルの継続販売を示した。
動向が注目されているWiMAX事業に関しては、「総務省がパブリックコメントを求めており、それに対しては、当社が単独で事業申請できるように返している。最終的には総務省がどんな判断をするはわからないが、議決権の3分の1しか持たなくても、当社が中心になって取り組む子会社戦略を取ることができるだろう。WiMAX事業を積極的にやっていきたいという当社の姿勢は変わっていない」(小野寺社長)とした。
携帯電話市場全体が飽和状態に近づいているという現状については、「個人需要は、あるところで止まるだろう。だが、法人系はまだまだこれから伸びると見ている。個人情報保護法の問題もあり、個人の電話に、会社の情報を入れるのはまずいという傾向がある。実際、社員に対して、会社の携帯電話を支給して使わせる例が増えている。プライベートと、会社の携帯電話の2台を所有するという形になるだろう。一方、モジュールによるビジネスも伸張する。例えば、トヨタ自動車のG-BOOKにもモジュールを搭載し、ネットワークを介して、トヨタのセンターとやりとりして利用するという使い方が出ている。携帯電話の形には見えないが、オートバイや自動販売機などにも搭載されるなど、まだまだ伸びる余地がある」とした。
携帯電話事業に対する負の面の影響に対しては、「フィルタリングサービスの提供や、小学生などを対象に、携帯電話に関する勉強会を開くといった活動を広げたい。携帯電話の悪い面をできるだけ削除し、いい面を伸ばす。安心して使ってもらえるようにしたい」とした。
■ さらなる顧客満足度向上を
一方、光ファイバー事業については、「関東地区は、東京電力から資産譲渡を受けて、ひかりoneサービスとしてFTTH事業に乗り出しているが、それ以外の地域は、NTTのダークファイバーを借りたり、GE-PONと呼ばれる仕組みを使って、マンション向けに展開していくことになる。一戸建てへの対応はコスト的に難しい。また、当社単独で全国すべてをカバーできるとは思っていない」とした。
株主から、将来の夢や方向性について説明を求められた小野寺社長は、「TCS(トータル・カスタマー・サティファクション)を掲げ、顧客満足度を高めることに取り組んでいる。また、次の技術に対しても積極的に投資している。当社は、3年前からWiMAXをやってきたように、喜んでいただけるサービスを実現するための技術を開発し、新たなサービスを検討している。社内では、驚きを持って攻めるということを言っているが、利用者からすごいと思われるサービスを出すことが、当社が成長を続ける鍵である。この点については、研究所をはじめ全社をあげて取り組んでいく」と語った。
なお、同株主総会は、午前10時からスタートし、午前11時40分に終了。三菱東京UFJ銀行と共同で設立を予定しているモバイルネット銀行の代理業務実施に伴う定款一部変更や、剰余金処分、取締役および監査役選任などに関する第1号議案から第6号議案まではすべて可決された。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
(大河原克行)
2007/06/20 12:40
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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