ライブドアは8日、新ブログサービス「nowa(ノワ)」の正式サービスを5月末に開始すると発表した。サービスの概要やコンセプトを、ライブドア ソーシャルメディア部 コンシューマメディアグループの谷口正人氏に伺った。
■ ライトユーザー向けに「安心」「情報交換」「仲良く」がコンセプト
|
nowa。名称は人とのつながりを意味するという
|
「nowa」は、ライブドアが「PRAC」というコードネームで開発を進めてきたライトユーザー向けの新たなブログサービス。ライトユーザーのブログに対するニーズを「安心して楽しむ」「情報交換する」「仲良くする」の3点に特化し、気軽に利用できる簡単なサービスを目指していく。
4月末からライブドアの有料ブログ「livedoor Blog」の一部ユーザーを中心としたクローズドベータ版を開始しており、5月末には正式サービスを開始する予定。クローズドベータはライブドアからの招待を受けたユーザーのみ利用できるが、正式サービス開始前にも他のユーザーを招待できる機能を実装する予定という。
「安心して楽しむ」ための機能として、HTMLの知識無しで文字を装飾できる機能を実装したほか、記事ごとに公開範囲を設定できる機能を搭載。公開範囲は「全体」「友達のみ」「非公開」から選択でき、「友達のみ」に設定した記事を友達登録されていないユーザーが閲覧した場合には記事タイトルのみが閲覧できる。
コメントも「友達のみ」「受け付けない」という選択が可能なほか、公開に管理者の承認が必要な下書き機能、コメント投稿の際の画像認証機能も用意。なお、トラックバックに関しては「本来の目的とは違う(スパム的な)利用が普及してしまったほか、今回のコンセプトには合わないと判断した」(谷口氏)ため、nowaでは実装されていない。
|
|
管理画面
|
記事投稿画面
|
|
|
ブログ画面
|
「フレンドのみ公開」に設定した場合、フレンド以外にはタイトルのみが閲覧できる
|
■ 独自のポイント制度でスパム対策やブログカスタマイズが可能に
|
お互いに登録すると「フレンド」、一方からの登録は「ファン」で区別
|
「仲良くする」ためのコミュニケーション機能としては、nowaユーザー間での足あと機能や友達登録機能を搭載。他のユーザーをお気に入り登録した場合はそのユーザーの「ファン」として表示され、お互いがファンになった場合は「フレンド」になる。「リアルで知り合いでなくてもネット上で知り合っていればそれは友達。そうした“浅い”コミュニケーションもnowaでは大事にしていきたい」(谷口氏)。
リアルタイムのコミュニケーションを意識した「ナニシテル?」機能も用意。チャット感覚で現在の状況を一言で表す機能で、更新状況はブログの新着記事とともに表示される。谷口氏は「ユーザーの近況を知りたいという意味ではブログの記事も『ナニシテル?』も同じ。そのために新着情報では記事と一緒に表示している」と説明した。
スパム対策として独自のポイント制度「ノワエン」も導入。記事やレビューの投稿や、ファンが増えた場合にポイントが加算されるが、フレンド以外へのメッセージ送信やファン登録でポイントを消費する。フレンド同士のメッセージ送受信やフレンド以外へのコメントではノワエンは消費せず、「SNSで起こりがちな、過度にお気に入り登録や足あとをつけて回るというスパム的な行動を防止できる」という。
蓄積したノワエンは、ブログのテンプレートや機能追加などに利用する予定。「標準で用意されたテンプレートではブログの差別化が難しいため、高ポイントのノワエンを使った限定テンプレートなどを用意したい」と谷口氏は語る。一方、HTMLタグの利用などユーザーによるカスタマイズは「簡単かつ安全なサービスというコンセプトから、現在のところ対応は考えていない」とした。
|
|
プレゼンスを伝える「ナニシテル?」機能
|
お気に入り登録や投稿で蓄積できる「ノワエン」
|
■ 記事と切り離したレビュー機能で口コミサイトとしても展開
「情報交換」の面ではレビュー機能を搭載。Amazon.co.jpの商品やYouTubeの動画を利用したレビューを記事に加えることが可能で、レビューには○×での評価も付けられる。本文とは別にレビューを用意し、さらに○×という2択での評価を行なうことで、ユーザーのレビューを集計しやすくなるという。
他のユーザーのレビューから自分のレビューを投稿することも可能なほか、各レビューには○×の件数、評価したユーザーなどを表示。TOPページには新着レビューが表示されるが、今後は人気レビューなども対応を予定している。
今後は利用できる商品データベース、動画共有サービスなどの拡充を図る方針。各レビューから商品を購入することも可能で、「レビュー機能を利用した口コミサイトとしての展開も期待できる」という。また、記事ではなくユーザーにタグを付ける機能も実装予定。同じタグや関連タグがついた他のユーザーなど、「似ているがまだ他人」というユーザーのマッチングを図り、新たなコミュニケーションが促進できるとした。
|
|
レビュー機能
|
他ユーザーのレビューから自分もレビューを投稿できる
|
■ 「リアルタイムコミュニケーション」を意識したブログサービス
|
nowaを担当する谷口正人氏
|
|
モバイル版「nowa」の画面
|
正式サービスは5月末に開始し、半年で50万件以上のブログ開設を目標とする。nowaの利用は無料だが、正式サービスを招待制とするか登録制とするかは現在のところ未定。谷口氏は「1週間程度で搭載予定の招待機能の利用状況を踏まえた上で、正式サービスでの登録方法を判断する」とした。
既存のlivedoor Blogに関しては「livedoor Blogはカスタマイズ性の高さが特徴であり、中・上級者向けのサービス」とコメント。「nowaはブログすら難しい初心者のために敷居を下げている」と、サービスの位置付けを示した。これまでと異なる新たなコンセプトのため、サービス名称にも「livedoor」を関さず独自の名称を採用している。
ただし、nowaをライブドアの各種サービスと完全に切り離した訳ではないという。谷口氏は「ライブドアではいくつかの社内公開APIがあり、ライブドア内でのサービス連携も進めていく」と説明。今後はサービスのコンセプトを説明した上で、livedoor Blogからnowaへの誘導も図るとした。
nowaの大きな特徴として谷口氏が示したのが「リアルタイムコミュニケーション」というコンセプト。「ブログから口コミが生まれると言われるが、ブログは結果であって実際に口コミが生まれているのは友人間でのおしゃべり」とし、「ブログでは断続的であった友人の近況をチャットレベルにまで高めたい」と説明。そのための機能として「ナニシテル?」があるとした。
携帯電話にも対応し、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの携帯電話からPCとほぼ同等の機能が利用できるという。「ナニシテル?」も携帯電話から利用可能で、「携帯電話で『ナニシテル?』を使うと、まさにチャットの感覚でリアルタイムコミュニケーションが楽しめる」と説明。今後は「ナニシテル?」へ携帯電話の位置情報を投稿できる機能や、メッセンジャーソフトのプレゼンスを反映できる機能などもサポート予定とした。
シックス・アパートの「Vox」など、ライトユーザー向けに安全性を高めたブログサービスはnowa以外にも登場しているが、谷口氏は「ブログサービスを運営していれば、ユーザーから寄せられる要望もほぼ同じで、サービスのコンセプトも必然的に同じものになってくるだろう」とコメント。その上で「nowaは安心さや簡単さだけでなく、レビューによる口コミ機能が特徴の1つ」との違いを示した。
■ URL
ライブドア
http://www.livedoor.com/
nowa
http://nowa.jp/
(甲斐祐樹)
2007/05/08 18:30
|