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KDDI小野寺氏、MNPの動向や奨励金などについて語る
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KDDI小野寺氏
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20日、KDDI定例社長会見が開催され、同社代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が2006年最後の会見として、1年を振り返って、MNP(携帯電話の番号ポータビリティ)制度開始などに対する所感をあらためて述べた。
■ MNPシステム停止で謝罪
会見冒頭、小野寺氏は、12月17日にシステム障害でMNP業務を停止したことに触れ、「ご迷惑をおかけし、お詫びします」と謝罪した。障害の原因について、同氏からあらためて説明が行なわれ、「申し込み数が多く短時間に集中した。MNPが開始されてから、もっとも盛り上がるのは3月期と考え、例年の3月の動向よりも上に見てシステム設計を行ない、設備容量などは十分にあると考えていたが、今回の事象は、特定のハードディスクに処理が集中してしまい、そこから障害が派生していった。完全に停まったのではなく、全体の処理が遅くなった」と述べた。
MNP関連の障害は、開始直後の週末にソフトバンクモバイルでも発生していたが、小野寺氏は「ソフトバンクモバイルでの事象を受けて、チェックを行なっていたが、結果的にチェックミスがあり、試験が十分ではなかったと言わざるを得ない」とも語った。
今後については、通常通り運用する考えで、さらに処理能力を高めるほか、春商戦に向けてシステム増強を検討し、信頼回復に取り組むとした。
■ 今年のトピックは2つ
2006年を通じた大きな出来事として、小野寺氏が挙げたのは2点。1つは、当時の竹中総務大臣による懇談会で「2010年にNTT再編などを検討すべき」との提言があったこと、そしてもう1つがMNPの開始だ。
まず前者に対して小野寺氏は「総務省が定めた、2010年に向けた新たな競争プログラムにより、新ルールの検討が進んでおり、公正競争という面で大きな方向が示されたと思う」と感想を述べた。
MNP開始については「市場構造の変化に伴い、より一層、競争が厳しくなってきている。auは、MNP開始に備えて、ネットワークの充実や魅力的な端末、多彩なコンテンツなど総合力向上を目指し、順調な滑り出しだったと考えている」と述べた。一方、MNPの利用動向が低調とする声に対して小野寺氏は「まだ3カ月程度のデータしかないが、新規契約数が想定よりも減少していない。つまりMNPを利用せず、電話番号の変更を気にかけていない方がそれなりにいるということ。とはいえ、MNP開始によって市場そのものは活性化され、刺激があったと思う。12月の動向を見ると、MNPがきっかけになって、盛り上がっているのは事実。これは他社も同様だろう」と語った。
2006年の携帯電話契約数は、11月末までに450万件弱の純増を記録している。小野寺氏は2007年の市場規模について「年度ごとに検討しているが、現在その部分を検討しており、今の時点では予測しづらい。明確なのは個人ユーザーは人口もあり、鈍化するのは間違いない。ただ、モジュールは最近増えているし、法人契約も増えている。その辺りを含めると、個人的には今年度と差はないと見ている」と述べた。
増加しているという法人向けサービスについては「この数値がどう出てくるかということに(市場規模の動向が)全てかかっているのではないか。現状、個人の携帯電話を仕事で使っていて、それを紛失すると企業責任になりかねない。そういった観点からも、個人用途と業務用途で携帯電話を分ける時代が始まっている。(携帯電話の法人用途は)セキュリティに敏感な銀行や業務用アプリケーションを活用するような先進的な企業に限られているが、今後はより裾野が広がっていくだろう」と述べた。
MNP開始もあり、2006年には、携帯各社の端末ラインナップが拡充された。小野寺氏は「MNPに関わらず、普及が進んだことで携帯電話は一般家電と同じ傾向になりつつある。つまり、最初は大量生産でコストを下げる一方で、種類は少ないという状況だが、普及してくると少量多品種生産に移る。携帯電話はそういう時代に入ってきたと思う」と述べ、今後も携帯電話のラインナップが増加する傾向にあるとした。
■ 販売奨励金は?
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販売奨励金についても語っていた
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一般的に携帯電話は、キャリアがインセンティブ、あるいは販売奨励金という費用を負担して、店頭では本来の端末価格よりも安く販売されている。この仕組みについて小野寺氏は「奨励金は下げていくという方向が正しいと思っている。しかし、下げたからといって現状が変わるだろうか。ある店舗が値下げすれば、他店もそれに追随する。そこで赤字を補填しなければ、店舗は成り立たない。店舗が潰れていけば、最終的にはエンドユーザーに迷惑をかけることになる。この問題は流通側にも意見を聞いて欲しい。家電と同じ状況になりつつあるということだけ申し上げたい。その中の問題をどうとらえるか、だ」と説明した。
会見後、報道陣に囲まれた小野寺氏は、この点について再び質問されると、「奨励金がなくなれば、キャリアは楽になる。ただし、本当にそれで良いのか。たとえばワンセグ機能を搭載する機種が仮に5万円で販売されていれば、皆さん購入するだろうか。日本市場の先進性は、インセンティブモデルだから新サービスと対応機種を同時にリリースできたことにある。新機軸のサービスの普及を遅らせることが良いのかどうか、という面からの議論も必要ではないか」と多面的な見方が必要とした。
さらに同氏は「最新機種の販売数が減れば、店舗だけではなく、メーカーやコンテンツプロバイダへの影響も大きい。また日銀の消費者動向指数の判定材料に携帯電話の販売価格も入っているという。携帯電話という産業は日本経済全体を考慮すべき状況になってきた。インセンティブの減少は単純な解決法ではない。いかに軟着陸させるか、これは実務上の課題だ」と述べた。
■ Rev.AやWiMAXへの取り組み
上り速度が向上する新通信方式「CDMA2000 1xEV-DO Rev.A」が12月から導入されたことについて、小野寺氏は「基本的にRev.Aは全て2GHz帯で提供する。Rev.Aのシステムは、Rev.0(CDMA 1X WIN)対応の通信モードも用意されており、夏頃から投入している800MHz帯と2GHz帯対応のデュアルバンド端末では、Rev.A用システムに接続するものもある。Rev.Aはできるだけはやく全国展開するが、あわせて今後はRev.0へ投資する必要がなくなるだろう」とした。
WiMAXについては、「当社に免許が下りると考えているが、当面、WiMAXは携帯電話に取って代わるものではない。ノートパソコンで通信するというような新市場を開拓するものではないか。次世代の通信としてぜひやらせて欲しいと考えており、今後は無線LANとWiMAXのデュアルチップがノートパソコンに搭載されることになるだろう。WiMAXの急激な発展には期待していないが、次世代のインフラとして必要だ」と述べた。
2012年までに800MHz帯を再編するため、現在KDDIが利用している800MHz帯は、別の帯域へ移行しなければならない。これについて、小野寺氏は「ドコモのPDCとの関係もあり、ドコモとの協議を行なった上で、(引っ越し先の)新たな800MHz帯を利用したい。エリアは正式に決まっていないが、来年度の後半には使い始め、新たな800MHz帯でのサービスは再来年度(2008年度)くらいから提供することになるだろう」とした。
NTTドコモやNTT東西がWiMAXの利用意向を示していることについては、「個別に手を挙げているのは、グループ内で競争するということ。本当にそういうことであれば、良いことだと思う。NTTグループ内で相互に競争しようという意識がでてこないと、本当の意味でのNTT問題は片づかない。British Telecomのホールセールのトップと話をしているが、彼らの話を聞くと、自ら改革しなければ自由度がなくなるということで、必要な手段としてアクセス系のサービスを開始した。その結果、ホールセール分野では、競合の携帯電話事業者に対してバックボーンを提供することになった。日本で言えば、NTTコミュニケーションズが当社にネットワークを提供するようなもの」と語り、NTT内での競争が進むことに歓迎の意を示した。
このほか、小野寺氏は、NTTグループが進めるNGNに対する意見や、固定通信への取り組みについて語ったほか、3社合併によるKDDI成立から6年を経たことでこれまでの経営を振り返った。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
(関口 聖)
2006/12/20 17:29
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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